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14話

お金に鉄貨と大鉄貨を追加。鉄貨1枚が1セントで100セントで1ルクです。


5話変更

ルクとセントいうのがお金の単位なんだそうだ。貨幣は鉄貨、大鉄貨、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、水晶貨、大水晶貨の10種類。銅貨1枚が1ルク、大銅貨が10ルクといった感じで価値が上がる。鉄貨1枚が1セントで100セントで1ルクになる。



14話


ノワールの食糧を狩りに森に行った日から2日たった。

今日も日課の散歩後に朝食に出かける。

食堂でクリスティーナさんに出会った。2日ぶりだ。

朝食を一緒にと誘われたので、クリスティーナさんと同じテーブルについた。


まず、クロハとニュクスを新しくテイムしたことを報告した。


「ちょっと前に捕まえて来たクロハとニュクスです。挨拶しなさい」


『『ヨロシク』』


「よろしくだそうです」


「クリスティーナよ。ティナって呼んで……って言っても喋れないわね。まあいいわ、よろしく。マキト様もこれからはティナって呼んでね。親しい人はみんなそう呼ぶから」


呼び捨ては難易度高い。


「わかりました、ティナさんって呼ばせてもらいますね」


その後は、この世界の事で気になっていた事があったので色々と質問した。


この世界に来てから、太陽を1度も見ていなかったので、そのことを尋ねてみたら、太陽や月、星なんて見たこともないと言われてしまった。

星といえば、ステータス欄の☆の事で、月とは暦の月か月の石という宝石の事をいうそうだ。月熊というモンスターもいるとか。


まあ、太陽がなくても夜が明けるんだし、寒くもないし、問題ないといえばない。

元の世界の常識を封印しないと、この世界で生きていくのは難しい。


この大陸では、地球平面説のような説が信じられているそうで、空や海の果ては壁のような物に覆われていて、それに触れた生物は消滅してしまうと言われているらしい。

壁の外側には、天国があるという説や無の世界が広がっているという説など、色々な説があるそうだ。

実際何があるのか調べてみるのも面白そうではあるね。


ついでに季節や気候についても聞いてみた。

季節や気候等は地域によってバラバラで、例えばこのブラックバーン辺境伯領は1年中20℃~30℃くらいの気温で、適度に雨が降る過ごしやすい気候だ。1年中春といった感じかな。1日のサイクルは、朝昼夕が大体3時~21時で、残りの時間が夜でそれが1年中変わらない。

隣国のミルズ王国は、四季がありヨーロッパに似た気候で、季節によって1日のサイクルが変わるそうだ。

基本的には四季がある地域が多いが、中には夜が来ない地域や夜が明けない地域、年中極寒や灼熱等、色々な地域がある。

やっぱりゲームみたいな世界だ。


色々と話を聞いている内に訓練の時間が来てしまったので、クリスティーナさんにそのことを伝え席を立ち、箱庭から出てきたノワール達と裏庭に向かった。

なぜかクリスティーナさんも席を立ち、俺の後ろをついてきた。


「どうかしました?」


「今日は私も訓練に参加するんだけど聞いてないの?」


「聞いた記憶はないですね」


「もしかして、今日の訓練の事も聞いてないの?」


「いつもと違うんですか?」


「まったくお母様は……ちょっと説明するわね」


クリスティーナさんの説明によると、どうやらグレイスさんの訓練を受けているのは俺だけではないらしい。

グレイスさんは5日、10日、15日、20日、25日、30日に町の冒険者志望の子供達のために、道場を開いている。今日は4月10日なので、その道場が開かれる日だ。


「子供達がいるだけで、いつもとやることは変わらないって事ですよね?じゃあ、問題ないですよ」


文句を言える立場でもないし。


裏庭に行くと人が大勢いる。

10歳前後の子が20人位、俺より少し年上かなって感じの人が4人いる。


「ティナおねーちゃん、おはよー」


女の子数人がティナさんの所に走って来る。


「モンスターだ!」


男の子たちはノワールの周りを囲む。

元の世界だと牧羊犬の本能で子供に噛みつく事があるって聞いて、なるべく子供には近付けないようにしてたんだけど今なら平気だろう。

【念話】で意思疎通も出来るし、しばらくほっといてみよう。


「ノワール、適当に遊んでやって」


『了解』


しかし俺の所には誰も来ないな。まあ、知り合い居ないからしょうがないけど、ちょっとさみしい。


『マスター、ニンキネエナ』

『ダイジョウブ、ワタシ、マークン、スキ』


肩に乗っている、クロハにディスられ、ニュクスに慰められる俺。


「よう、新人。確かマキトだったよな」


知り合いがいないからと油断していたら、年上4人組のリーダーっぽい茶髪のイケメンに声をかけられた。


「なんで名前を?」


「お前の事は師匠から聞いてる」


「グレイスさんに?あ、でも一応自己紹介させてもらいます。マキトです。ギルドランクはFです。あっちの大きいのがノワールで、両肩にいるのがクロハとニュクスです。よろしくお願いします」


「俺はルイスだ。後ろにいる赤毛のショートがノーラで、ロングがノーマ。そっちのハゲがティム。全員Cランクだ」


「ハゲじゃねえ、剃ってるんだよ!」


ハゲじゃないティムとやらがめっちゃ怒ってますよ?


「今日は来てないが、他にエリーとヒューってのがいて、6人でパーティーを組んでる。よろしくな」


「よろしくね」「よろしく」


「おいコラ、ルイス。無視すんじゃねーよ」


赤毛の2人がクスクス笑っているからいつもの事なんだろう。明らかにティムとやらはイジラレ役だな。


「ティナの呪いを消してくれたんだってな。感謝する」


ルイスさん達はティナさんのお兄さんの友人で、ティナさんの事も妹のように可愛がってるんだって。


「たまたま、スキルを持ってただけなんで。まあ、お役にたてて良かったです。あの、今日って子供達の訓練をするって聞いてたんですけど、ルイスさん達も訓練に参加するんですか?」


「ああ、俺達は教える側だけどな」


「そうなんですか。グレイスさんを師匠って呼んでるって事は、以前は教わる側だったってことですよね?」


「まあな」


この道場はグレイスさんが無料で開いていて、通っているのは町の低所得層の子供達だ。今日来ていない子も合わせると40人近い人数がこの道場に通っている。他に孤児院でも教えているそうだ。

訓練後に無料で食事を提供している関係もあって、たくさんの子供が集まるが、食事だけが目当ての子は訓練の厳しさについていけずやめていく。


元々はティナさんのお兄さんとお姉さんのパーティーの訓練をしていたが、そこにルイスさんのパーティーが加わるなどした結果、規模がどんどん大きくなって、今のような感じになったらしい。

あまり友達がいなかったティナさんに友達ができるようにと子供を集めたってのもあるらしいけどね。


ちなみにティナさんには、兄が3人と姉が1人いて、2人がエルフで2人が人族だ。人族の2人がグレイスさんの子供で、残りの2人はサイラスさんと亡くなった前の奥さんの子供だそうだ。

ティナさんの兄弟は、ギルド自治国にいる。上の2人はハイクラスでギルド幹部、下の2人もギルド総本部で働いているらしい。

総本部は世界中から人や色々な情報がはいってくるので、【スキル消去】を持っている人を探すには最適な場所だったようだ。4人にはギルドの魔道具で呪いが消えたことを連絡したらしい。

忙しい人達なのでなかなか時間が取れないけど、1~2年のうちには1度この街に顔を出すって言ってたらしい。


以前はグレイスさん1人で色々な武器を教えていたそうだが、冒険者になった教え子がボランティアに来るようになってからは、それぞれの得意武器を教えるようになっている。


ルイスさん達は、レベルを上げて取得可能欄に追加された戦闘系スキルを取得して、Cランクまで成り上がったらしい。

ここにいる子供達の大半は戦闘系スキルを持っていない。そういう子達にとって、努力すればこうなれるかも、という目標が近くにいるのは良いことかもしれない。


「みんな、おはよう」


ルイスさん達と話しているとグレイスさんがやってきた。


「「「師匠、おはようございます」」」


グレイスさんに気付いた子供達が集まって整列した。


「紹介するわ。今日から参加するマキト君よ」


「マキトです。田舎から出てきたばかりで分からないことが多いので、色々教えて下さい。よろしくお願いします」


「「「よろしくお願いします」」」


「はい、それじゃあ、始めるわよ。格闘の人は私の所に、他の武器を習いたい人はそれぞれの先生の所に集まりなさい」


「「「はい」」」


格闘、斧をグレイスさん、槍をルイス、剣をノーラ、弓をノーマ、メイスをティムが担当するようだ。


「マキト君こっちよ。ティナはノーラの所を手伝いなさい」


グレイスさんの所に来た子供は3人。1人は【斧術】、2人は【格闘術】のスキル持ちだそうだ。

今いる20人の子供の中で、戦闘系スキル持ちはこの3人だけらしい。


グレイスさんの受け持ちはスキル持ちだけだ。

斧は攻撃力は高いが重くて扱いづらく、作る時に他の武器より金属を多く使うので、値段が高いということで不人気。格闘は【格闘術】のスキルなしで、モンスターと殴り合いなんて無理だと思う人が多いから不人気。そういう事らしい。


まずは型の練習。

次はグレイスさんと組手。子供達を相手にする時と俺を相手にするときでは、明らかに厳しさが違う。子供達がひいてるじゃないか。


最後は子供同士で試合をする。俺はその試合には不参加だ。うまく手加減をする事が出来ないから危険って事らしい。レベル1桁の子供とレベル40近い俺だと、身体能力がかなり違うから仕方ないね。

子供達が試合をしている間、俺は庭の端でティナさんと魔法の訓練をすることになった。



「最初に、体内の魔力が減少することで、体にどんな影響があるかを体験してもらいましょうか。そのついでに、今の時点で魔法が何回使えるのか調べましょう」


魔法やアクティブスキルを使い過ぎて発動できなくなった状態を、魔力切れという。

まず、魔力切れになるまで【フォース】を使う。そうすれば、魔力が減少した影響を体感できるし、【フォース】の最大使用回数もわかる。


ちなみに、魔力切れの状態でもパッシブスキルの効果は消えないらしい。



空に向かって、【フォース】を5回使う。特に体調に変化はない。10回使ってもほとんど変化がない。

15回目を使うと少し倦怠感を感じるようになった。20回目になると強い倦怠感と呼吸の乱れが。

さらに使い続け、27回目になると、ティナさんに支えてもらわないと立っているのが辛いような状態になる。

もう限界だったので、ティナさんに支えてもらいながら地面に寝転がる。


その後は寝転がったまま上に向かって2発撃ったが、それで打ち止めだった。

どうやら最大で29回使えるようだ。グレイスさんと組手をした時に何度か【ヒール】を使ってるので、それがなかったら後1~2回使えたかも知れないけど。


「お疲れ様。体は大丈夫?」


「しばらく動けそうにないですけど、なんとか大丈夫だと思います。それにしても、体内の魔力が少なくなるとこんな状態になるんですね」


「分かったと思うけど、消費魔力が多いスキルの使い手にとって1番注意しなければいけないのが、魔力の使い過ぎなの。戦闘中に今のマキト様みたいになったらまずいからね」


まずいどころじゃない。仲間がいなかったら間違いなく死ぬよね。


「魔法を使い過ぎると戦いどころじゃなくなりますね。20回……いや15回が限界かな。それ以上使うと動きが鈍くなりすぎる」


20回までなら、なんとか使えるかもしれないけど、その後しばらく休憩が必要になる。いつ突発的な戦闘が起こるかわからないし、余程のピンチに陥らないかぎりは余力を残して置いた方が良いよな。


「私はソロで活動することが多いから、半分ぐらい魔力を消費したら、ある程度魔力が回復するまでは、次の魔法を使わないようにしているわ」


やっぱりそうだよね。


「慣れてくるれば、体調の変化で魔法やスキルの残り使用回数がわかるようになるわ。それまでは何回魔法を使ったか常に数えた方がいいわよ」


「わかりました」



『マークン、ダイジョウブ?』


寝転がっていたらニュクスが近づいてきた。


「大丈夫だよ。魔法を使い過ぎて動けなくなっただけだから」


『ツカイスギ?』


『マスターニ、ツカマッタトキノ、オレタチトオナジ?』


クロハも来たらしい。


「簡単に捕まえられたのは、魔力切れだったからなのか」


『ソンナカンジ』


【ダークアロー】3回で魔力切れってしょぼいな。3回しか使えないとなると練習も満足にできない。魔力が増えるのを待って特訓してやりますかね。



「1時間もすれば動けるようになると思うけど、そんなに待ってられないからこれ飲んでもらえる?」


魔力切れの状態から魔力が全回復するには大体4~5時間位かかるそうだ。


ティナさんが、アイテムポーチから取り出したのは親指大の瓶、中に何か怪しい液体が入っている。

言われるがままに怪しい液体を飲んでみる。すると、さっきまでの倦怠感が一瞬でなくなった。


「これは?」


「Fランクの魔力ポーションよ」


「へー、これが魔力ポーションですか。これは便利だ。これでどのくらいの値段なんですか?」


これを大量に持っていれば、魔力の限界を考えなくてもいいわけだ。


「店によって多少違うけど、400ルク前後ね」


400か。この町に来て数日で調べた感じだと、1ルクが100~150円位の感じだから、400ルクは40000円て所だな。めっちゃ高いじゃん!

いや、この効果なら高くもないのか?元の世界の高級栄養ドリンクだってここまでの効果はない。

まあ、訓練でホイホイ使えるような値段じゃないことは確かだ。


「興味があるなら、この後で薬屋さんに案内するわよ?」


「良いんですか?」


「今日は仕事がお休みだから大丈夫よ。で、どうする?」


「そうですか?じゃあ、お願いしてもいいですか?」


「ええ、よろこんで」


その後は魔法を的に当てる練習して、それが終わると回復魔法の練習ということで、怪我をした子供達に【ヒール】をかけて回った。

その結果、子供達から‘使える奴’認定をされた。仲間にしてやってもいいと言ってきた生意気な子がいたので、拳骨落として説教してやりました。

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