第二層「1月25日」
〔ヤ、ヤベェ、こいつは非常にまずい状況だ・・・〕
〔も、もう、打つ手がない・・・〕
〔くそ!こんな所で終わっちまうのかよ・・・〕
〔いや、まだだ!まだ終わらんy・・・〕
キーンコーンカーンコーン
「はい、鉛筆を置いてください。」
と、無慈悲な声が部屋のなかに響きわたった。
「ウソダドンドコドーン!!」
と机の上に倒れ伏す少年がいた。
「おい!うるさいぞ黒!!」
と、少年の頭をはたいてくる少年がいた。
「いてーんだよ!竹!!馬鹿になったらどーすんだよ!」
と、黒と呼ばれた少年は頭をさすりながらその、はたいてきた少年を睨みつけながら言った。
「安心しろ、お前はどうせ元々馬鹿だから問題ない。どうせまた禄でもない点でも取りそうなんだろ。」
と、竹と呼ばれた少年は少し馬鹿にしたような感じだった。
「てめぇもたいして変わらねーだろーが!!」
「ああ?お前より二点ぐらい良いし!!」
「それを変わらないっていうんだよ!!」
「馬鹿かお前は?二点違えば世界が違うんだよ!」
「違わねーよ!バーカ!!」
「それはお前だ!バーカ!!」
「そういうのを人はドングリの背比べと言うのですよ。」と、誰かが二人の肩に手を置いた。
「「ああ!?」」 と、二人が振り返るとにっこりと笑みを浮かべた初老の男性が立っていた。
「「げぇ!八雲先生!」」
「私の授業で、まだ、終わりの挨拶もしないうちから口喧嘩とは良い度胸ですね?」と、肩に乗せた手に力がこもり二人の肩がミシミシと鳴る。
「イタイイタイイタイ!!」
「うがぁー!許してください!
と、さっきまでの姿はみる形もなく二人そろって崩れ落ちた。
「全く、これだけ元気があれば部活の時にもっとしごいても良さそうですねぇ。」
と、少々恐ろしい笑みを浮かべたまま、八雲先生は教卓の上に立って。
「それでは皆さん、テストお疲れさまでした。今日はこのまま終わりとします。あ、そうだ、黒森君は今日は二十五日なので黒板を消しておいてくださいね。」
と、八雲先生は黒板の端に書かれた日付を見ながら言った。そこには、『一月二十五日』と、書かれていた。