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歩の道  作者: 寿々音ノ風
3/4

下心

ピロリン


携帯が鳴った。

見てみると次は先ほどとは違う男性からだった。

つい先日行った合コンで知り合った男性である。


『おはよう。今日夜、あいてない?ご飯でもどーお(^^)?』


私はすぐに返事を打った。


「ごめんなさい。今日は予定があるんです」


彼氏がいるから後ろめたくて…という理由ではない。

今日は本当に、予定が入っているのだ。


男にメールを送信したあと、別の人へメールを開いた。


「おはよう、遥。今日何時に仕事終わる?私は早く帰れそうだから、何時でも行けるよ☆」


そんなメールを送った。

相手は同い年の女。


私はメールが帰ってくる間、ベッドに横たわって目を瞑った。


ピロリン


携帯が一度だけ鳴った。

私は内容を確認する。


『そっかー残念。もしかして、男?(笑)』


面倒くさいやりとり。


「違いますよ〜!女友達です。合コンに一緒に行ったメンバーですよ(^.^)」


『ならよかった(笑)』


大して妬いてもいないくせに。

適当なこと言わないでよ。


私はそれから、返信は打たなかった。

上っ面だけのやり取りほど、虚しくなるメールはない。



思っていることを正直に言えば、私は外見だけで得をするタイプだ。

少し化粧をして少しお洒落をしていれば、知らない男によく声をかけられる。

そのことは充分理解していて、合コンに行けば全員から連絡先を聞けるということも、分かっていた。


しかし、得であると同時に、損でもある。

寄ってくるのは下心のある男。

優しく控えめな男は、他の男に遠慮して引いてしまう。

私は、チャラチャラした男より、真面目で一途そうな男が好き。


私だけを見てくれる人。

私を一番に考えてくれる人。


私の渇きを癒やしてくれる人。


自分の欲を満たすために、ただおべんちゃらを並べる男に用はない。


私が欲しいのは、私を、私だけを必要としてくれる人。

君がいれば他に何もいらない。

そんなことを本気で思って言ってくれる人。



私のような薄っぺらい人間に、そんな大層な男が寄ってくるはずないとちゃんと分かってはいるんだけど。

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