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居候  作者: KMY
59/60

第59話 心中

「ハルス・・・、なぜここに?」

 治は、自分の部屋で、警察に補導されたはずのハルスがいるのに気づき、座っていた机の椅子から立つ。

「だって・・・。」

ハルスは、気弱そうに答える。

「だって、何だよ?」

「・・・・・・ちょっと散歩に行かない?」

「話題をそらすなよ。」

「外にいたほうが、ちょっと話し易い・・・。」

「だから、今言えよ。今言わないと、」

「・・・・・・。」

ハルスは一時ためらっていたが、ぼそっと言った。

「無実の可能性が大きいと突然言われて、解放されたの。」

「そうか。」

治は安堵の息をついた。

「俺さ、すっとハルスのこと心配していたよ。」

「えっ?」

「いろいろな騒ぎがあってすっかり忘れていたんだけれと・・・、」

まだ続きを言っていないのに、ハルスの顔は真っ赤になる。

「ねえ、」

と、くいくい治の服を引っ張る。

「散歩しようよ。」

「もうすぐ晩御飯だよ。」

「だから、すぐ終わるって。」

「なんで今すぐ行かなければいけないんだよ。」

「ちょっとね・・・。」

「晩御飯食べてから。」

「そこをなんとか・・・。」

「だからなんで今すぐ行かなければいけないんだよ。」

「だからお願い、行ったら話すから。」

「・・・・・・、ハルスは前からそう言う人だったしな。」

 治はハルスに譲歩した。ハルスは無言でうなずく。

「じゃ、今すぐ行こう。」

「うん、その前にお母さんに挨拶を、」

「ううん、そんな時間ないの。」

「そんなに重大な事なのか?」

「うん・・・、」

と、ハルスは言い、走って部屋のドアを開け、治の部屋からかけだす。

「おい、ちょっと待て!」

と、治もハルスを追う。


 治は、お母さんに挨拶をするのを忘れ、家から出てハルスの後を追う。

「治?」

台所で調理していた母は、今火を使っているので手が離せない。

「治!どこいくの?・・・まったくしょうがないわね。」

そう言い、買ってきた鯖をさばかんと包丁をかけてあるところまで行く。

「うん?」

包丁は、1つ足りなかった。3つある中で、2つしかなかった。

「あらやた、なくしちゃったかしら・・・。」

それっきり、母は調理に戻る。


「ハルス!」

 治は暗くなっていく中、走って行くハルスの後を追う。薄暗いさなか、ハルスはようやく立ち止まった。そこは公園であった。

 ハルスは、治に背中を向けたまま言った。

「なつかしいわね・・・。」

「何がだよ?」

「ここで、あたし、治の記憶を奪って、」

「・・・・・・まさか?」

「ううん、そういうことはしない、たた・・・。」

「たた?」

「ううん、何でもない。それより治、」

と言い、ハルスは振り返る。

「ちょっとこっちに来て。」

「何?」

と、治はハルスの方へ近寄る。

「今でもあたしの事、好き?」

と、思いかけない質問をされ、治は答えた。

「当たり前じゃないか。なんでそんな事聞くんだよ。」

「・・・あたしがこれから何をしても、あたしの事好き?」

「当たり前だよ。」

「・・・いつまでもあたしのことを愛してくれるって誓う?」

「すっと一緒にいてくれるって条件ならば、」

「そう・・・、言われなくでもすっと一緒にいる。すっと治のそばにいるからね・・・。」

「なんでそんな事言うんだよ?」

治がそう言うのと、治の腹に激痛が走るのと、ほぼ同時であった。

「えっ?」

治は目を丸くする。ハルスは、治の腹に包丁をさしたのであった。治の腹からどくどく血が出てくる。先ほどの言葉とこれから全てを察した治は、やわらかく言う。

「幽霊か・・・。」

そう言うと、ハルスも無言で治の胸に自分の頭をくっつける。治はそのハルスの頭を持ち、顔に、ハルスの唇に、自らのそれを合わせてやった。そして唇を離すと、ハルスの顔が涙まみれになっているのに気付いた。

「楽にしろよ。」

治がそう言うと、ハルスの顔はさらに涙にまみれた。

「ごめん・・・。」

しかし、治はさわやかに、ハルスの頬をなでてやった。

「一緒にいよう。すっと、すっと、すっと―――・・」


 この日、一人の男性、一人の少女、一人の少年の命が無に帰した。

すっかり言うの忘れていましたが、

第59話は短くなります。


王子の全体の概念が決まりました。

一つの出来事のまとまりを節とし、

これまでは区切りに話を合わせていましたが、

次回作は区切りを話に合わせます。

また、節にはユニークな名前を付けたりしますw


さて、今回のセリフには、

「〜、」が目立ちますが・・・。

そこんとこはとうかご容赦ください。

ちょっと演出渋すぎますか?勘弁w


さて、次回の第60話は最終話ですが、

第60話も、短くなると思います。

が、二人の遺体が見つかった直後の朝についても

書いておきますので、どうなるかは僕にも分かりませんw


さて、前回言いました詩ですが、

この世のはかなさを・・・(オイ

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門前
居候をリメイクして新しく書き直した小説です。
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