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居候  作者: KMY
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第45話 仲直

 学校の教室。ハルスは、独り机に座っていた。静寂の如く目立たな過ぎで、そんなハルスの隣に治がいないことさえも、みんなは気付かず、それぞれのしたい話をしていた。

 檸檬もその一人であった。檸檬とは、ハルスとの昔からの友達であり、治をめくってその友情が壊れていた。二人は、現在敵対関係にある。

 長谷川玲子も、同じ教室にいたのだが、まだヘファイストスから報告はもらっていないため、治がなぜいないのか知らず、その前に治がいないという事自体に気付いていなかったため、窓辺を眺めるのみであった。

「あのさ、」

 渉が、玲子の机の前に立つ。向かい合って座っている玲子は、平然と応じる。

「何。」

「こ、こ、こ、今度・・・、買い物にいきませんか。」

「そう。」

まだこりないのね、と、玲子は、極端に小さくつぶやき、それから渉の顔を見上げる。

「返事は、前と同じ。」

 零時治がいない事に真っ先に気付いたのは、檸檬であった。

「ちょっと、ハルス!」

檸檬がハルスに声をかけるが、ハルスは答えない。

「ハルス!」

ハルスは答えない。檸檬は、ハルスの体を揺さぶる。

「ハルス!治君は!」

しかし、ハルスは答えない。その顔は重かった。

「ハルス!」

檸檬が幾度揺さぶってもハルスは口を動かさない。そんな二人の様子に、第二に気付いた小池正志がその場に駆け寄り、檸檬に問う。

「どうしたんだ?」

「治君がいないの。」

「え?」

正志が檸檬に指摘され、治の机を見る。空っぽ。正志は、視線をハルスに回す。

「ハルス!治はどこだ!」

しかし、ハルスは答えない。正志は、いよいよハルスの襟を掴む。

「答えろ!治はどこだ!」

「まあまあ・・・、ここでは僕の顔を立てて、」

この場に、蛍崎惇が割り込む。しかし、正志は、惇の顔を正面からぶん殴って怒鳴る。

「気障は引っ込んでろ!」

 いつのまにか、クラスメート達は、この4人を見ていた。しかし、正志は夢中で続ける。

「治はどこだ!」

「さあ、どこでしょうね。」

突然背後から声がする。振り向いて見るとそれは葛飾先生。生徒達は、慌ててそれぞれの席に座る。正志帰りを離すと、ハルスも座る。葛飾先生が言う。

「では、今から朝のHRを始めます。」

羽生かおるがそれに合わせる。

「起立、礼。」

「おはようございます。」

「着席。」

生徒達が皆座ると、葛飾先生は、まずハルスに問いかける。

「零時治は?」

しかし、ハルスは答えない。

「零時治は?」

葛飾先生が再度問うが、ハルスは答えない。ただただ下をうつむいて、木の目を目で追うような感じであった。葛飾先生は、ハルスの机の方へいき、ハルスの頭の上で、再度問う。

「零時治は?」

しかし、ハルスはびくりとも動かない。体罰は禁止されていて、無理やりハルスの口を開かせる事は出来ない。その弱みもあり、葛飾先生は教壇に戻るしかなかった。しかし、葛飾先生は、最後の手段を用意していた。それは、ハルスが治のことを好きである、ということを踏まえての手段である。葛飾先生は、教壇に立つと言った。

「では、零時治はする休み、ということで。」

する休み、という句を聞いたらハルスは怒るだろう、というのが葛飾先生の意図であった。しかし、ハルスは、予想に反して、動かない。これを深めたら暴言になるので、葛飾先生は、それ以上言うことができなかった。

「では、今日の予定は、変更があります。1時間目社会です。それから、2時間目は理科、3時間目は体育になりました。その他はいつも通りです。」


 社会の時田先生が教壇に立つが、ハルスの机の上は、依然として空っぽのままである。檸檬が心配そうな顔をして、そんなハルスを覗きこむ。

「では、今回は、元寇について勉強します。・・・ん?一人足りないようだか。」

時田先生が生徒達に問うが、みんな何も言わない。

「あーあ・・・、全員一緒にやろうとしたのに・・・。」

時田先生が失墜の声を上げる。

「では、チンギス・ハンがーーー・・」


 3時間目の体育。1組の教室は男子更衣室、2組は女子更衣となる。女子達が次々と1組の教室を出ていくが、ハルスは立とうとさえもしない。

「一緒に行こう。」

檸檬が声をかけるが、ハルスは何もいわない。檸檬は、ハルスの腕を引っ張る。しかし、ハルスの体はこの時ばかりは重く、動かない。

「行こうよ、ねえ。」

檸檬が再度声をかけるが、ハルスは何も言わない。ついには男子の更衣が全員終わってしまい、教室が檸檬とハルスの二人のみになってしまった。

「ねえ、」

檸檬が再度声をかけるが、ハルスは依然として何も答えない。檸檬は、いよいよしびれを切らし、杖を取り出し、ハルスに向ける。

「ブロー」

空気の塊によりハルスは教室の端っこに飛ばされ、横にしゃがんだような体勢になる。檸檬が、ハルスの前に立つ。

「立ちなさい。」

ハルスは、黙って立ち上がり、窓枠につかまる。

「何でそんなに落ち込んでいるのよ。」

「・・・・・・・・治が・・・、」

ようやくハルスが何かをいった。

「やっぱり家に置いてきたのね。」

「ちがうの。」

「じゃ、何。」

「あんたにだけは教えない。」

ハルスはそれだけいうと、その場から去ろうとする。

「どこへいくの。」

檸檬がハルスを呼び止める。しかし、ハルスは答えない。

「どこへいくの。」

檸檬が再度聞くが、ハルスは答えない。

「あたしに取られるのが怖いから言わないの。」

檸檬が言うと、ハルスは黙ってうなずく。

「あのねえ、」

と、檸檬は、ハルスの顔に向かって言う。

「あたしを敵だと思ってる?」

「うん。」

「あたしさえいなければ、と思ってる?」

「うん。」

ハルスは不機嫌そうな顔でうなずく。

「敵同士は、仲が悪いと思っている?」

「うん。」

「ほんとに?」

「うん。」

寝ている所を理不尽な理由で起こされたような顔をしているハルスは、その場を離れんとする。檸檬は、そんなハルスの肩を捕まえる。

「敵同士で、仲良くしているのもあるのよ。」

「うそつけ。」

「ほんとよ!」

「じゃ、誰。」

「スポーツしている人。」

「え?」

ハルスが、檸檬の方を振り向く。檸檬は続ける。

「スポーツをしている人たちは、事前と事後にきちんとあいさつをするわよ。」

「うう・・・。」

「あたしたちだって、」

「あれとこれはちがうじゃないの!」

「同じ。」

檸檬が両手で、ハルスの両手を掴む。

「よろしく。」

「え?」

ハルスが言うと、檸檬は、ハルスの顔へ視線を向ける。

「ライバルは、それぞれを嫌がっているってイメージがあるんだけれと、友達でもあれば、はじめてきちんとしたライバルになるのよ。」

「・・・・・・」

「ねえ、よりを戻す?」

「・・・・・・」

ハルスは返答に詰まった。檸檬はさらに聞く。

「よりを戻す?」

「・・・・・・」

「よりを戻す?」

「・・・・・・」

「ねえ、戻そうよ、元々友達だから。治をめくってはライバル、ってことでおしまいにすればいいじゃないの。」

「・・・・・・」

ハルスは、首を全く縦にも横にも動かさない。

「ねえ、これからもずっと友達だよね・・・?」

「・・・・・・」

ハルスは、しばらく詰まった顔をしていたが、小さく首を下に振る。しかし、それがあまりにぼやけすぎだったので、檸檬はさらに問う。

「ねえ、それは、うなずいているの、うつむいているの、どっち?」

ハルスは再度詰まる。返事がしにくい質問に返事をし、さらに確認までされたのである。ハルスは、どうしようかと迷う猶予もなく、無理やり首を大きく上下に振る。

「そんなに強がらなくでも・・、友達になってあける。」

檸檬がさらに言うと、ハルスは、檸檬の体を強く抱く。

「あたしね、治が友達に取られそうで、それで、友達じゃないと錯覚していて、」

ハルスが言うと、檸檬はハルスの頭をなでる。

「・・・でも、それはまちがいだった。」

そして、ハルスは、一区切り付け続ける。

「嫉妬のために友達と縁を切るあたしって・・・、まだ子供だよね?」

「子供じゃない。」

檸檬は、真面目な声で言う。

「えっ?」

ハルスが頭を上げると、檸檬が続ける。

「だって、今、仲直りしたから。」

ハルスがこっくりとうなずく。ハルスはさっきと比べ、首を縦に振りやすい環境であった。檸檬が、笑顔で続ける。

「じゃ、体育に行こう。」

ちょっと読みにくいと思います。

とりあえず、これで、仲直りもして、てめたしてめたしなわけなのですが(笑)、

治はどうなるのでしょうか・・・?


最終話までのシナリオを全て書き終わりました。

最終話は、とっても感動するはずなのですか・・・!

では、感動する予定の最終話に向けて、

居候が終わるまで登場人物にインターピューする事にします。

では、インターピュー記念すべき第1号の相手は、

ぶーすか仮面です!

ぶーすか仮面は、この小説には出てきませんが、

居候印刷用文書(http://xxz.jp/kmy/にで公開中)の中の、

文書単位のあらすじ(文書最後のページ)に時たま出てきます。


KMY「では、ぶーすか仮面さん、まっさきにこの小説の内容について、意見をお願いします。」

ぶーすか仮面「俺も出せよ!つーか、俺って誰だよ!」

KMY「それは自分で考えてください。では、意見を・・・。」

ぶーすか仮面「だからさ、俺も小説に出せよ!」

KMY「意見をどうぞ。」

ぶーすか仮面「出せ!出さないと意見を言わないぞ!」

KMY「それはもしかして北朝鮮の真似ですか?」

ぶーすか仮面「どこをどうしたら北朝鮮が出てくるんだよ!絶交だ!」


インターピューの成果は、皆無に近いです^^;


でわ、第45話を書いた後、

まだ執筆が滞ります。

でも、1週間に1話は必ず最低限更新していきますので、

常連客は毎週の確認をお願いします。

(そのまえに常連客の存在そのものが不明なのですが)


あとそれと、アンケートもお願いします。

http://my.formman.com/form/pc/FAAqNvkpZs9T3UCC/

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門前
居候をリメイクして新しく書き直した小説です。
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