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居候  作者: KMY
44/60

第44話 計画

 その日の夜、ハルスと治は、治の部屋にいた。治は机の椅子に座っていて、ハルスはベットに座っており、それぞれお互いを見ていた。

「なあ、ヤモリってどんな組織?」

治がまず口を開いた。

「善に貢献するものを殺す組織、としか分かっていないんだけと。」

「檸檬と一緒に何をした?」

「えっ?」

「だから、俺に忘却術をかけてから。」

「あ、あれね。」

ハルスは、一区切りを置いて、厳粛な声で言った。

「あたし、檸檬とね、ヤモリを探っていたの。」

「うん。」

「でね・・・、本当はもう一人いたんだけれと、物陰に隠れている途中で真っ青になっちゃって、」

「えっ?それ、誰?」

「その人はね・・・。」

ハルスは立ち、治の椅子の方へより、しゃがみ、治の耳に何かを打つ。

「ええっ!?あの人が!?」

「うん。」

ハルスは、重い顔でうなずく。ほんの軽い気持ちで聞いただけに、治は気まずい空気を感じた。治は、話題を変えんと、いろいろ探ってみる。

「あのさ、ハルスのお母さんは死んだけれど、お父さんは?」

「お父さん?お父さんは・・・。」

ハルスは更に治の耳に打つ。

「えっ!?」

聞くんじゃなかったという驚きで、治は目を丸くした。

「それ、本当か!?」

「本当よ。」

「そんな・・・。」

治は、あきれた顔で、宙を仰ぐ。どうすれば話題を変えられるのか。

「そういえば、」

ハルスが口を開いた。

「あたしのお父さん、いい言葉ばかり言うと評判で、格言がぼんぼん出てくるの。」

「例えば?」

話題をようやく変えられたとほっとしつつ、治は尋ねた。

「朝がよければ昼を恐れろ。」

「えっ?それってどういう意味?」

「それはね、今楽しい事が続いていたら、いずれ悲しいことが続くだろう、って意味。」

「へー・・・。」

これとあれを関連付けられてはたまらない。まだあの重い雰囲気に戻ってしまう。

「で、ハルスのお父さん、変なことばかり言うんだね。」

焦りを含んだ声だった。しかし、それに対し、ハルスは目を丸くして答える。

「えっ?」


 次の日の朝。ぼこぼこになっている治をハルスが上からつき落とす。階段の下の地面に頭を強打した治は、上を見上げる。

「ねえ、しもべ。」

にこにこして、ハルスは言った。治は黙ったまま、立ち上がる。

「ねえ、僕。朝ご飯作ってよ。」

「はひです。」

治がゆっくりと歩き出す。居間へついた治は、そのテーブルに母が座っているのを見つける。

「どうしたの、治!そんなにけかして!」

母が心配そうに立ち上がって尋ねるが、治はそれをはねのける。

「いいんだよ、そのうち治るし。」

「治るし、で済む問題?」

「でもさー・・・。」

そう言う治の後ろから、にこにこした顔でハルスが歩み寄っているのを確認した母は、それ以上言わなかった。

 治は、ハルスの父を侮辱した罪で、こうなってしまったのである。

 ハルスは、テーブルの上に朝食が置かれているのを確認すると、すでに座っている治の隣に座る。


 朝ご飯を済ませて、玄関でハルスが靴を履いている。靴を履き終えた治は、ドアの前で待機している。母がハルスの傍らから言った。

「ねえ、いくら怒っているからってあれはやりすぎじゃないの。」

「あれといいますと?」

「だから、治をあんなに傷付けて、」

「当然の結果よ。」

ハルスはつんと言い放ち、立ち上がる。

「ねえ、許してあけて。」

母が背後から言う。しかし、ハルスは、母を振り向くと言った。

「あんたも僕?」

「まあ・・・。」

母の返答を聞くなり、治はハルスの体を引っ張り、ドアをばたんと閉め、家の敷地から出、学校へ走ってゆく。

「止まって!」

「だめだ!」

「止まって!」

「だめだ!」

「僕!」

ハルスがそう言うと、治は恐怖から止まった。

「何だよ!」

「あんたこぞ何なの!人をいきなり引っ張って!」

「だからさ、お母さん怒っているよ!」

「そんなの魔法で止めればいいじゃない。」

「あのなあ、魔法で何でもできるって訳じゃないんだぞ!」

「確かに人を生き返らせるのは無理だけと、感情を操るのは何でもないのよ。」

そう言い、ハルスは杖を治に向ける。

「ましてや、記憶を操るのも容赦ない事よ。あんたをあたしの僕にしましょうか?」

「ひぃ・・・。」

治は真っ青になる。

「そ、それだけは、か、かんべんしてくれまふぅ・・・。」

ハルスは平然と言った。

「それじゃ、行くわよ。」

そう言い、ハルスはそのまま歩いて行く。治も、その後ろから、歩いて行く。ふとハルスが言った。

「ねえ、あたしのかばん持って。」

「はい?」

「だから、あんた僕だから。」

そう言い、ハルスは自分のかばんを、歩き前を向いたまま後ろに放り投げる。それを治は受け取り、自分のかばんを持つ手で持つ。

「ねえ、」

ハルスが前を向き、歩いたまま言う。まだ圧政か・・・。治も、歩いたまま言う。

「はい?」

「ねえ、あたしのお父さんを侮辱した罪、これだけじゃ軽すぎると思わない?」

「思いません。」

「当然それは犯罪者の言い訳よね。」

ハルスはそう言い、肩の上に治の方へ向けた杖を乗せる。ハルスは、後ろを向かぬまま呪文を唱える。

「イクスプロージョン」

爆発が起こり、治は体こと後ろへ吹っ飛ばされる。

「あのなあ。」

立ち上がりながら、治は怒鳴る。ハルスは、後ろを振り向く。

「あたしのかばん返して。」

「はい?」

「これから、もっとすばらしいお仕置きがまっているから。」

「ひぃぃぅ・・・。」

治は、泣き泣きハルスにかばんを差し上げる。

「あっ。」

「ん?」

ハルスの気付いたような声に治が後ろを振り向く。そこには、黒いスーツを着たヘファイストスが立っていた。

「あ、あんた・・・。」

ハルスが杖を構える。ヘファイストスは、黙って治の体を自らの体へ押し付ける。

「人質です。」

しかし、ハルスは平然と言う。

「だれが人質?それ、ごみ。」

「おい!」

治がハルスに言うが、ヘファイストスはにやりとして言った。

「ごみならば私が代行して廃棄して差し上げます。」

「いいわ。」

ハルスはそう言うと、学校へ行く道を再び歩き出す。

「おい、ハルス!」

治が怒鳴るが、それもむなしく、治の体はヘファイストスに引っ張られていった。


「エロス。」

 ハデスごと玲子が、歩きながら携帯電話で話しかける。

「はい、ハデス様。」

「例の事件の手続きは進んでいる?」

「はっ、進んでおります。」

「そう。ヘファイストスの次の戦いも、敗北は確実だから・・・、ヘファイストスが敗北次第行動に移るわ。」

「はい、ハデス様。」

「どう。首尾は。」

「はっ、手抜かりなく進んでおります。あとはハデス様の呪文により、完成いたします。」

「そう。厳密には呪文じゃないけれと・・・、あれでようやく凶暴な人物を殺せるわ。リサ・ド・ブラウンを。」

「は、ハデス様。花鳥風月鬼殺人事件の犯人を、あの人に仕立てるなど、ハデス様の優れた頭を以ってしか考えられないことでして、その頭脳には感服いたします。」

「そう。じゃ、早急にね。」

「はっ、ハデス様。ああ、それと、彼女についてですか・・・。」

「ああ、あの人ね。死。」

「はっ。」

電話が切れると、ハデスは前を向く。誰かに話しかけるように、つぶやく。

「これからクラスメートが二人、死ぬ。」


「ぐぐ・・・。」

 さるぐつわをはかされた由美は、暗闇で胴体を縄にくるされ、座って前を見ていた。前には、一人の男・・・、エロスが立っていた。

「では、今から拷問を致します。」

黒きスーツをして、赤きネクタイをして、そしてエロスは平然とした声で、紳士の如く言った。

「うう・・・。」

エロスが由美のさるくつわを解く。

「帰して!」

スイッチの入ったように、由美は怒鳴りつける。

「いいえ。あなたは、ハデス様のいけにえになるのです・・・。」

エロスは、一区切り置いていった。

「あなたは、唯一、ヤモリに所属していない・・・、ハデス様の正体を知っている人なのです。正体を知られては、死。それがハデス様のお答えでした。」

久しぶりの投稿です。

三国志NET KMY Versionの改造に追われまして、

なかなか更新できませんでした。


僕が今まで書いた小説の中には、

全て殺人事件が挿入されました。

癖なんです。ミステリー好きで、SF小説も巻き添えにしてしまうほど好きなんです。

というわけで、第5部は、この殺人事件でいっぱいにします。

また、僕の書く小説での殺人事件の特徴はもう1つあります。

殺人事件を契機に、話が終末に向かうのです。

そして、ここがおもしろいのです。はい。


いままで途中で飽きて殺人事件は全部書ききれませんでしたが、

・・・・・・・・

居候の場合、なるべく避けたがったのですが、

殺人事件がないと終われない伏線があるんです。

うう・・・・。

我慢してください。ごめんなさいです。


衝撃の最終話は、第6部の予定でして、

本当は第12部までするつもりでしたが、

次回作の構造が浮かんでしまいまして、

こうなりますと次回作のことばかり考えて小説が進みません。

なので、早めに終わらせる事にしました。

本当の本当の最終話は、第72話の予定です!!!

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門前
居候をリメイクして新しく書き直した小説です。
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