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居候  作者: KMY
41/60

第41話 放送

「では、今から修学旅行の説明をします。」

 崎森さきもり先生が、中学3年生の教室で、生徒達に言う。

「では、修学旅行は、何月何日にありますか?」

多くの生徒達が手を挙げると、崎森先生は、一人の子を指名した。

梅田利佳子うめたりかこさん。」

「はい、今年の10月31日と11月1日と2日の3日間となります。」

「そのおとといに何があるか知っていますか。最上才人もがみさいとさん。」

「はい、10月29日に体育大会があります。」

「そのとおりです。では、運動会から1日またいて、疲れているとは思いますが、気を引き締めましょう。では、今年は、諸理由があって、特別に・・・。」


「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」


 3年生の教室からこんな、あまりにも大きい声が響き、学校は校舎こと揺れた。

「な、」「な、」「何ですか!」

校門の前では、たくさんの近所の人が集まり、心配そうに校舎を見上げている。そして、そのほとんどが児童玄関に突入した。こんな時に限って2年1組の教室では、無知主義者の理科の関口疾風先生が教えていた。生徒達は、各々の欲望を抑え、授業に集中した。

 理科の授業が終わると、生徒達は全員教室から出た。廊下は混み合っている。なぜか近所の人が多い。

「こらこら、お年寄りには道を譲れ!」

とか言うマナーじいさんもいる。

「母さん!?」「おかん!?」とかいう声も、生徒の中から漏れる。

「お母さん?」

治が彼の母に言うと、治の母は言った。

「見て分からないの!3年生の教室から、」

「だからそれは俺も知ってんだよ!」

人ごみの中には、1年生、2年2組の生徒達も混じっていた。お互い押し合っている人々はどれも苦しそうで、ついに2年1組の教室にも漏れてきた。

「本日は晴天なり。3年生の教室から出た大きな声につきましては、今日中にプリントをまとめて全校生徒達に配布しますので、今のうちはとりあえずお帰りください。」

という校舎放送が響いても、混雑はやまない。

「君、あの時の女の子?」

 突然、ハルスは、教室に漏れてきた一般人に話しかけられた。

「はい?」

「やっぱりそうなんだね。爆発させたの?」

「えっ?」

「だから、マナーじいさんの前で、」

「あれですか、あたしです。」

ハルスと一般人の会話が、一連の騒動を隔てた空間の中で進められた。治も、騒動の渦中に巻き込まれ、気付いていない。

「ってことは・・・。」

男は、一枚の名刺を取り出し、ハルスに突き出す。

「私は読買放送の、才本貴雄さいもとたかおと申します。」

「はい?」

「ぜひとも、『迷探偵真実』という番組に出ていただきたく・・・。」

「はい?」

「親と相談の上、この名刺に書いている電話番号まで連絡していただきたく・・・。」

「はい?迷探偵真実って?」

「いろいろな摩訶不思議なことを取り上げ、それを科学的に考察する番組でございます。」

「はい?」

「じゃ、絶対OKをくださいね。」

「わかり・・・ました?」

「じゃ、絶対OKね。絶対、ここの電話番号にOKをくださいな。相談して。」

「わかりました。」

男が「相談して。」と言ったのが、緊張の余り、ハルスには聞こえなかった。

「あっ!」

騒動の渦中にいた治が、ハルスが男と話しているのを見て、人ごみから抜け出し、二人のところへ行き、ハルスと話していた男に怒鳴る。

「ハルスに何をするんですか!」

「いや、これのね。」

そう言い、才本貴雄は、彼の名刺を治に見せる。治は、その名刺を受け取って見る。

「こ、これは・・・だめです!」

「なんで!」

治が怒鳴ると、ハルスが問いかけた。

「いいから、ここではハルスの常識は通しないから俺の言う通りにしろ!」

「うっ、うん・・・。」

「才本さん!」

「はい?」

「ハルスを口説くなど、どういうことですか!」

「マスコミとして、特ダネを集めているのです。」

「いくら特ダネとはいえ、これはあまりにも人のことを考えていないじゃないですか!」

「いいえ、現に本人もいいと言いましたし。ね?」

貴雄が、ハルスに話しかけるように言うと、ハルスも思わず頷いた。

「ですね?」

貴雄が再び治の方を向くと、そこには誰もいなかった。

「さっきの発言を撤回しろ!」

「何も言っていないじゃないの!」

治は、ハルスの襟を掴み、口論をしていた。治は、振り向くと、貴雄を指差して大声で言った。

「んたく、絶対に行かせないからな!」


 給食の時間が終わってからも、騒動は終わらない。依然として、廊下にはたくさんの人が集まっている。

 将棋倒れの心配はあったが、何事もなく放課後までには皆散っていった。


「うまくいったか。」

 ハデスが自宅の電話で、アジトに話している。

「はっ。」

「そう。ヘファイストス、君の活躍には期待しているわ。」

「はっ。」

「して、計画は?」

「それは、リサめを読買放送局へ連れて行き・・・。」

ヘファイストスが闇で、計画の全てを打ち上げると、ハデスも言った。

「それはいいわね。ヘファイストス。しっかりやっていきなさい。」

その声は、期待に満ちた声ではなく、冷たい、黒い声であった。


「何でだよ、母さん!」

「いいじゃないの!本人がいいって言っているから!」

 母がチラッとハルスを見ると、ハルスも思わず頷いてしまう。ここは治の家の晩御飯の食卓。晩御飯を食べ終わりこちそうさまを言い食器を片付け、治が母に話題を持ちかけたのである。

「だからなー。」

治は、母に働きかけるのは無駄だと悟った。治は、苦渋の決断を迫られた。頭を抱え、重い声で言った。

「ハルス。」

「何?」

「あまり、でしゃばるなよ。」

「うん。」

ハルスがそう言うが、治は安心できない。頭を抱えたまま、一人で、居間から出ようとする。その片肩を、ハルスは両手で包む。

「何?」

「何でもない。」

ハルスがそう答えると、治は黙ってその場から出ていこうとする。

「ねえ。」

「何?」

「てれびって何?」

「それはね・・・。」

説明すると長くなる。現に、ハルスは、てれびを爆発させている。(第2話)今ざら説明しても、爆発したあの箱が未知の世界への扉だという事は、治には説明する自信はなかった。

「・・・死語。」

「死語?」

「だからさー。」

治は、それだけ言うと、階段を登る。ハルスは、死語と聞いた後一動もせずに、その場に立ちすくんでいた。


 木曜日。学校に特別の許可をもらい、治とハルスは、読買放送局へ行く事になった。母は、スーパーで働いており、(第5話)今日も出勤であるため同行していない。

「なんでそんなに暗いの?」

放送局の入り口前で、手をつないているハルスは、治に話しかける。

「何でもない。」

悩みを持った濁った顔の治は、濁った声で返す。

「様子がおかしいわよ?」

「何でもない。」

「やあ、君、やっぱり来たね!」

放送局に入り、受付前で、治とハルスは、こう話しかけられた。声の主は、才本貴雄であった。

「才本さん。」

治が言う。

「何ですか?」

「あまり、ハルスにでしゃばった真似をさせないでください。」

「何でなの!」

ハルスが治に怒鳴りかけるが、治が真面目な顔をしているのを見ると、ハルスは思わず手を引っ込める。貴雄は、しばらく考えてから言った。

「いいでしょう。」

「ありがとうございます。」

そう言う治の声と顔は、少しは晴れていたのだが、濁っていることには変わりなかった。

いよいよハルスがテレビデビューします。

そもそもテレビとは何か知らないハルスに、

果たしてゲストはつとまるのでしょうか?


あと、ヘファイストスのある計画とは!?


第42話から、わくわくしない話が展開します!

ぜひとも、この小説を、お気に入りから削除してください。

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大不評なんです。はい。

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門前
居候をリメイクして新しく書き直した小説です。
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