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居候  作者: KMY
36/60

第36話 開戦

「よう、みこと!」

 窓からは黒い外が覗ける。とあるレストランで、酒を注文した一人の陽気な男が、テーブルをまたいて向かい合って座っている白衣のめがねをかけた男に言った。

 さっき命と呼ばれた男は、名を酒井命さかいみことといい、酒井医院を経営している医師である。

「命のお兄ちゃん、いるだろうか?」

「うん。」

命が返事をすると、陽気な男は黒いかばんから一冊の本を取り出し、テーブルの上に置く。果たしてその本は、表示に「究極の何か 酒井望」と書いていた。

「望の書く事は面白いなあ。」

「そうだね。ホロム。」

ホロムと呼ばれた男は、ご機嫌な顔をして、その本を開く。そして、一つのページを開き、命に出した。

「究極の犯罪 鉛筆で100円玉を黒く塗る、だってさ。」

「本当に、お兄さんの言う事は分からないから。」

「そっか。わはははは・・・。」

二人は、笑いあった。


「んたく。」

 ハルスが不機嫌そうな顔で、どんとベットに座る。机の椅子に座っていた治は、そんなハルスを見ることが出来ない。檸檬との対戦に敗北し、約束としてハルスと治は一切関わってはいけない事になっている。治も不機嫌そうな顔で、かばんから宿題と筆記用具を取り出すと、宿題を始めた。

 治の部屋に、沈黙が走る。さっき晩ご飯を食べたばかりだが、二人の不機嫌は収まらない。治がどうどう投げ出したように、独り言のように言った。

「夜は同じベットで寝るか?」

禁断の行為である事は知りつつ、最低限の言動ならいいだろうと、ハルスは応じた。

「1つしかないからね。」

「でもさ、禁じられているんだろ。」

「じゃ、あたしはどこで寝ればいいの。」

「ハルスがベットに寝ろ。」

「え?」

「んでもって、俺は他の所で寝る。」

「他の所ってどこよ!」

「まだ決めていない。」

部屋に、再び沈黙が走った。

「こら!!」

 この怒鳴り声が、部屋の沈黙を一瞬にして破った。と、檸檬が治の机の前の窓ガラスを割って入ってきた。檸檬の靴が、治の顔を直撃する。

「痛っ!」

と、治は、バランスを崩して椅子こと後ろに倒れる。ガラスは檸檬のフォール(落下)の魔法を以って、全て机の上に散らばった。檸檬は、治の顔の上に片足を乗せると、ハルスに怒鳴った。

「約束を破ったね!」

「どこから見てたの!」

「部屋で、水晶玉から。」

「あんた、いやにしつこいわね!」

「約束を破るほうが悪いのよ!」

「そもそも、テニスのうまさが違うんでしょ!」

「負け惜しみ?」

「くっ・・・・・・。」

ハルスは唸る。そんなハルスを無視して、檸檬は治を踏んだ足をとけると、しゃがみ、治に柔らかい声で言った。

「ねえ、昔約束したでしょ。」

檸檬は、治の頬に頬すりをする。治の顔が真っ赤になる。

「おい!」

「ねえ、結婚してくれる?」

ハルスは顔が真っ赤になり、ベットから立った。その片手には杖が握られている。

「あ、あのな、」

「ねえ、やましい事はないでしょ。」

檸檬の柔らかさに苛まれる治は、後ろにいるハルスのオーラに気付き、慌てて立つと檸檬に言った。

「約束、破っていいか?」

「えっ?」

「だからさ、俺はさ、」

「それって、ハルスが怖いだけでしょ。」

「う・・・・・・。」

「どっち?はっきりしなさいよ!」

檸檬が大きな声で言うと、ハルスも治にかけよる。

「絶対あたしよね!」

「ううん!嫉妬少女なんかに治君を渡すものですか!」

「嫉妬少女だってぇ!?あんたもさっきまて部屋で見張っていたんでしょ!」

ハルスが檸檬に抗議すると、檸檬はハルスの股間を蹴る。ハルスは治にしかみつく。

「いい?あたしは居候よ!居候として話しちゃだめなの!」

「だめ。」

「ひどい!それでも人間なの!」

ハルスのその問いに、檸檬は言った。

「人間よ!」

「本当?」

「あたしが人間じゃなきゃ何なの!」

「恋の鬼。」

檸檬は、再びハルスの股間を蹴る。その二人の様子を見て、治が怒鳴った。

「あのな、二人ともいい加減にしろよ!俺が好きなのはさ、」

治がそこまで言うと、二人は希望の顔をして治を見つめる。二人のきらきらした4つの瞳を見て、治は続きが言いにくくなった。

「は、は、は、は、は、は、は、は、」

「あたし!?」

ハルスが嬉しそうな声で言うと、檸檬が治に杖を向ける。檸檬が第二の嫉妬少女と化している事を分かった治は、その続きを言った。

「っくしょん!」

わざとっぽいそのくしゃみに、ハルスは苦笑する。

「ぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぅ・・・・」

「何よ!」

檸檬は、その矛先をハルスに変える。

「だってぇ、」

ハルスも、顔を真顔にして、杖を檸檬に向ける。

「何のつもりよ!」

「あんたこそ。」

二人は、額をくっつけてにらみ合う。

「ぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ・・・・・・・・・・・」

その様子に耐え切れず、治は椅子に座ると、机の上のガラスを払い落とすと、宿題を再開した。


「結局。」

 次の日の朝。葛飾先生が、教室の教壇に立って、立っているハルスと檸檬に向かって言った。

「宿題が出来ていないのは二人だけだぞ。」

「はいぃ・・・。」

「廊下に立ちなさい!」

「はいぃぅぇぉ・・・・・・。」

二人は、弱弱しい奇声を発すると、そのまま教室を出た。ドアが閉まると、廊下の方から

「何よ!」

「負けないわよ!」

のかけ声が始まる。生徒たちと先生は、呆れ顔をした。葛飾先生が、言った。

「では、これより朝のHRを始める。」

「起立。礼。」

「おはようございます。」

「着席。」

羽生かおるの指示に従い皆座った生徒達。葛飾先生が続ける。

「では、いよいよしあさってからテストだ。というわけで、テスト3日前に付き今日から部活は休みだ。では、何か連絡はないか。」

葛飾先生が言うと、玲子が手を挙げる。

「長谷川。」

「はい。」

玲子は、立ち上がる。

「零時モリスと岡田檸檬の二人が、治をめくって喧嘩してばかりで困っています。」

「続きは帰りのHRで、二人に聞いてもらおう。」

葛飾先生が言うと、玲子は座った。それと同時に、葛飾先生はHRを進行する。

「玲子。まだケアレスミスがあるぞ。」

「す、すいません・・・。」

玲子は、顔を真っ赤にする。

「テストの時はくれくれもケアレスミスに気を付ける事。これは、他の生徒でも例外ではない。テストに向けて、心構えを整えておきなさい。」

「はい。」

生徒達が返事をすると、葛飾先生は一区切りを付けて言った。

「テストが終わった次の日から、制服は半そでに。以上。」


「では、これより数学の勉強を始めます。」

 是川世々これかわせせこ先生が、教室に入る。

「あれ?森内先生はどうしたんですか?」

かおるが目を丸くして是川先生に問いかけると、是川先生は答えた。

「風邪で休みだそうです。」

「そうですか。」

納得した顔でかおるは座る。是川先生は、教壇に立つと教室を見回して言った。

「二つの空席がありますか?」

是川先生のこの言葉に、生徒達はみんな驚き顔をして一斉に立ち上がる。

「えっ!?」

「教室の外、誰もいなかったんですか!?」

「おかしいですよ!」

「普通気付きますよ!」

生徒達のかけ声に対し、是川先生は一喝する。

「座りなさい!廊下で立っているのですね!でも、わたしは見ませんでした。」

教室に、沈黙が走る。

「わたしが探してきます。みんなは、テスト勉強をしておく事。」

是川先生は、それだけ言うと、教室から出た。

 窓際の席に座っている由香は、ぼーっとしてて窓の外を覗いていた。

「!!」

由香は、運動場で杖を向けあっている二人の少女に気付く。

「ハルスと檸檬見っけ。」

由香が窓を指差して言うと、生徒達は一斉に運動場に注目した。




第3部「当組は問題の多い教室ですからどうかそこはご承知ください」おわり

 第4部「ヒジニモ負ケズヒザニモ負ケズ」に続く

ついに、ハルスと檸檬の戦いが始まります!

実際は由美も加わって三つ巴になっているのですが、

一応タイトルを開戦にしておきました。


第4部は、

さよなら絶望先生第5話のタイトル

「ヒジニモ負ケズヒザニモ負ケズ」

を基にして進行します。

どんな話かと言うと、

絶望先生の中では虐待についてで、

そしてこっちでは、

戦いで劣勢となったハルス(予定)の奮闘です。はい。


第3部、ようやく完結しました。

さあ第4部を!といきたいところですが、

CodeZineなどの色々な事情があるので、

第4部スタートは早くでも11月の10日あたりからかもしれません。

・・・・・・でも、10日以前でも時間があれば入れるかもしれませんので、

常連客(いないとは思います)は、

今までの定期的な周期での確認をお願いします。


http://my.formman.com/form/pc/FAAqNvkpZs9T3UCC/

への、アンケート、

まだ2つしか来ていません。

片方は、好評案で、

もう片方は、苦情でした。

どっちでもいいので、

みなさん、アンケートを入れてください。

お願いします。

途中経過意見で、

物語がもっと進んでからもう一回入れても構いませんので、

とりあえずパソコンの人はお願いしますw


オフィシャルサイト

http://www.abcoroti.com:8000/~kmy/

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門前
居候をリメイクして新しく書き直した小説です。
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