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居候  作者: KMY
33/60

第33話 証明

「そこまで信用できないの。」

 ハルスと治は立って、お互いをにらみ合っている。小池正志が、二人を横から見ている。ハルスは、治に杖を向けている。

「ああ!」

治は、大声で肯定した。

「それじゃ、あんたが今から言うことをあたしがやってのけるわ。」

ハルスの言葉を治は挑発としてとらえた。怒った治は、つい怒鳴った。

「魔法の基本は浮遊術だよな。」

治はちらっと正志を見る。正志は顔を真っ青にする。

「お、お、俺以外だよな、きっと、」

それにも関わらず、ハルスは黙って正志に杖を向ける。

「実験台決定。」

「ひぃ!」

正志は、すぐさまその場から逃げていった。しかし、ここは教室の中である。たくさんの子供達が目のまわりにいるではないか。

「誰にする?」

今度は、ハルスが治をチラッと見る。しかし、魔法を信じない治は、顔色を変えない。教室にいる生徒達の半分くらいが、視線を治とハルスに集めている。それにも気付かない二人。

「信じないの。」

「ああ!」

ハルスは、治に杖を向ける。治は、少し強ばった表情をした。それに気付いたハルスが一口添える。

「ねえ、」

「何だよ。」

「あんた、本当に信じていないの?」

「ああ!」

「じゃ、その強ばった表情は何。」

「それはその・・・、ハルスがなかなかやらないから。」

「そう。」

「は、早くしろよ!」

持っている恐怖感を無理やり抑えて、治は言った。

「フロート」

浮遊。治の体は立った格好のまま空中に浮き上がる。足が机の表面と同じ位の高さになる。

「タネは?」

ハルスが勝ち誇った声で言う。しかし、治は諦めない。

「足に何か仕掛けているんだろ。」

治は、足の方へ手を伸ばす。と、治の体はバランスを崩して逆さまになる。上に足があり、下に頭がある。しかし、ほぼ無重力状態になっていた治の体にとって、地球の重力など関係ない有様であった。ハルスは、その頭を蹴ってやった。

「痛っ!」

「見苦しい探し方じゃないの。」

「うるせえ。」

治が返事をすると、ハルスは杖を軽く振る。治の頭が上に、足が下に、くるりと回転する。

「下ろそうか?」

檸檬が、心配そうに治を見上げる。

「服。」

声がした。生徒達がその声の源に視線を集める。長谷川玲子。玲子は、ゆっくりとハルスの胴体を指差した。見ると、ハルスは服を着替え忘れ、黒いマントに白いカッターシャツのままであった。

「あっ・・・。」

顔を真っ赤にしたハルスは、それから少しの沈黙を経て、大きな声で言った。

「あ、あたし、帰るね。」

「あっ、おい!」

治が声で止めようとするが、ハルスはそのまま杖のみを持って教室の出口のドアを開けた。そして、教室に出た!と思ったら、何かにぶつかった。

「きゃっ!」

果たして、それはハルスの天敵、葛飾先生であった。ハルスは、顔を真っ青にして葛飾先生の顔を見上げる。葛飾先生は、そんなハルスを見下ろして、厳粛な声で言った。

「零時ハルス。忘れ物。制服。」

「ひぃ!」

ハルスは、顔を真っ青にして、後退りをした。生徒達は、そんなハルスを見てくすくす笑っていた。檸檬も負けしとくすくす笑っていた。ただ一人の少年は違っていた。

「おい!魔法を解け!」

浮遊術をかけられた治は、ハルスに向かって怒鳴る。しかし、ハルスは目の前の脅威の方が生命の危機である。彼女の様子を見て、檸檬が代わりに治の足に杖を向ける。

「レリーズ」

治の体の標高は、ふわりと少しずつ下がってゆき、5秒ほどで着陸した。

「ど、ど、どうか、い、命だけはお助けください・・・。」

ハルスが、葛飾先生に土下座する。

「それ以上土下座をやったら怒るからな。」

葛飾先生が言うと、ハルスは顔を真っ青にして、ひらりと立ち上がり、自分の机へ走っていった。教壇にかばんを置いた葛飾先生は、教壇に立って生徒達の前で言った。

「他の生徒達も着席。」

生徒達が全員座ったのを確認すると、羽生かおるが言った。

「起立。礼。」

「おはようございます。」

生徒達の挨拶に、葛飾先生も教壇でお辞儀する。


「その服、似合ってるよ。」

 正志が緊張した声で、ハルスに言う。治は、教室の端っこで複数の友達とおしゃべりをしていた。

「そう。」

ハルスは、ぶっきらぼうに言った。

「その服、どこで買えるんだよ。」

「魔界。」

ハルスは、短く言った。

「魔界?本当にあるのか?」

「・・・忘れて。」

「いい加減なこと言うなよ!」

正志は、ハルスの襟を掴む。周りの生徒達の一部は、その二人に気づき見集める。

「たいたいな、魔界なんであるわけねえよ!異世界なんで、非合理的な考え方で、」

「ありえるわ。」

その二人の横に、非合理主義者の大場馬子おおばうまこが割り込む。

「何だよてめえ!」

「ブス。」

正志とハルスがそれぞれの思惑を口に出すと、馬子は言った。

「だいだい、魔法が現にあるんだし、異世界もあって然るべきものなのよ。」

「嘘つけ!」

正志が怒鳴っても、馬子は主張を変えない。

「おい!」

馬子に、治がやってきて怒鳴る。

「異世界なんであるわけねえよ!魔法はとりあえず認めるけれどさ、異世界まてあったらこの世の秩序が混乱するぞ!」

治に襟を捕まれた馬子は、巍然と反論する。

「あって然るべきものなの。魔法があるなら。」

「数学の証明では、それっぽいでは結論にならないんだぞ!きちんと筋道を立てて仮定を結び付けないと、」

「そうよ、あたしも治の意見に感服を受けたわ。」

治と馬子に対し、羽生かおるが横からさしてくる。

「なんでもきっちりしないといけないのよ。」

「はいはい、かおるが入ってくるとややこしくなるから。」

馬子が言うが、かおるはおしゃべりを続ける。

「そもそも証明とは、それが絶対にあるという確信を持っている時のみに成立するものであって、それを結論付けるために、絶対にこれしか考えられないという筋道の立った文章によって証明文章の説得力が保証されるのよ。」

「この場合、異世界があるという証明文章の説得力の源は?」

次々と説得力のある文章を並び立てるかおると治に対し、馬子は怒った。そして、正志の方を向き、にこにこして言った。

「ねえ、正志。味方よね。」

正志は黙って、ハルスの襟を離してかおるの襟を掴む。かおると正志の言い合いが始まる。

「離して!あたしの言う事は全部正しいの!」

「その証明をしろよ!」

「いずれ。」

「今すぐしろよ!」

「仮登録。」

「そんな単語でごまかせると思ってるか!」

二人は、ぼかりぼかりと殴り合いを始めた。

「イクスプロージョン」

突然、二人の体の間で爆発が起こり、二人はそれぞれを離して仰向けに倒れた。二人はすぐに起き上がる。すると、横に檸檬が立っていた。

「おい!変わったのかよ!」

正志が檸檬に怒鳴る。

「何が。」

その檸檬の態度に対し、正志は檸檬の襟を掴む。

「何で怒っているのよ!」

「お前、今まで魔法で人をいじめる事なんでなかっただろうか!」

「この場合は別よ。」

かおるも、後ろから正志に口を挟む。

「この人は、魔法の使い道以前に、人としての使い道は誤っていないわ。」

「証明しろ!」

「仮証明。」

「今すぐ!」

そんな3人の姿に対し、ハルスが杖を向けた。

「イクスプロージョン」

大きめの爆発が起こり、3人の体は四方に散った。すぐざま正志が立ち上がると、ハルスの襟を掴む。

「おい、やめろ!」

治が後ろから怒鳴る。

「やめるか!なんでお前は、魔法を使って人をいじめるんだ!魔法を使えない人のことを考えろ!たいたい、魔法使いなんで自分のことを世界一偉いと思っているから嫌われるんだ!」

「ブロー」

突然、あさっての方向から呪文が響き、正志は後ろから空気の塊に殴られ、

「ごば・・・」

と、血を吐いて倒れこむ。子供達が真っ青になってあたりを探す。と、一人の少女に視線が集まる。玲子。玲子が、杖を向けていた。玲子は、視線を無視して杖を納める。

「玲子・・・?」

ハルスが驚いて、玲子の名前を言う。

「も、もしかして、あんたも・・・?」

玲子は、黙ってゆっくりと頷いた。

玲子の正体が公になりました。

然るは「しかる」と読みます。


で、

この小説も、もうすぐ

第2目標の10万字を達成します!

10万字まで、あとわずか数百字・・・

実は、この小説は、

自己最長記録を更新しているんです。

ということは、

この小説は、今まで自分が書いた小説の中で

一番長い小説と言う事になります。はい。


おはずかしながら、

今まで書いた小説は、全て挫折していました。

中には、居候よりもスケールの大きいものもありました。

それを抜け、居候は、トップとなりました。はい。

これも、みなさんのクレームのおかけでございます。はい。

今まで、小説を書いても誰も何も言ってくれないので、

飽きていたんだと思います。はい。

今回は、みなさんに濁点に対してのクレームをたくさん頂きましたが、

こちらではそれを「読者が一人でも多くいる」ととらえ、

常連がいると信じて、ここまてやってきてまいりました。

常連は別に名乗る必要はございませんが、

これからも改めてよろしくお願いしますw

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門前
居候をリメイクして新しく書き直した小説です。
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