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居候  作者: KMY
30/60

第30話 気体

 ヤモリ。それは、悪の組織の名称であった。

 組織の概要としては、主に人殺し。

 殺しの対象は、善に貢献する人々。

 善に貢献する人々を、全て殺し上げる組織。

 目的はーーー・・


「では、次の標的はリサ・ド・ブラウンでよろしいですか?」

 暗闇の中、ヘファイストスが、ハテスに対して言う。

「ええ。来週中にも、誰かがリサ・ド・ブラウンを弱めてからあたしがとどめをさす。」

ハテスは、冷たい声で言った。アレスが言う。

「その役割を反対にする事は出来ませんか?」

「あたしが先にやったら、もしも失敗した時にリスクは大きいわ。」

と、ハテスは反論して続ける。

「ところで、誰が弱める?」

3人は、顔を見合わせるが、二人が同時に立ち上がる。ヘファイストス、アレスの二人であった。

「どっちにする?」

ハテスの言葉に対し、二人とも同時に「俺です!」と叫んだ。ハテスは、それを拒否する。

「どちらか一人。」

二人は、顔を見合わせる。数分間、二人はお互いをにらみ合い、固まっていた。ハテスが立ち上がり、二人の間に杖を向ける。

「早く。」

「は、はい、」とアレス。ヘファイストスは、アレスの口を押さえて、言った。

「俺がやります。」

「お、おい、へ、」

「黙れ。」

もがくアレスの口をヘファイストスは無理して抑える。

「そう。」

ハテスは、そう言ったきり、座った。

「アレスに任せるわ。」

「何ですって!?」

ヘファイストスが反論するとハテスは平然と返した。

「負けるが勝ち。」

「く・・・・・・。」

ヘファイストスは唸るが、もう後の祭り。

「で、いつにしましょうか?」

アレスの問いに対し、ハテスは短く言った。

「日曜日リサの家の前で張り込み。」


 朝。ハルスと治は、手をつないて家を出た。治は、頬を赤らめて言った。

「お、おい、」

「何よ。」

「あのさ、あ、暑いね・・・。」

「あ、あたしもよ。」

「うん、で、夏休みに泳ぎに行かない?」

「どこに?」

「プールに。」

「何それ。」

「行けば分かるから。」

「うっ、うん・・・。」

ハルスがそこまて言うと、いきなり二人の前に黒いスーツをした一人の男が現れた。

「誰だ!」

治が怒鳴ると、男は二人に対して、いきなり杖を向ける。

「魔法使い!」

ハルスが怒鳴ると、男は口を開く。

「私はあなたたちを奈落に連れて行く死神でございます、アレスと申します。」

「死神だって?」

治が言うと、アレスは静かに言った。

「ハテス様のご命令でございます。」

そして、一礼する。ハルスが言う。

「ハテスって誰よ!」

「そうですね・・・冥土の土産にお話しましょう。ヤモリという組織を御存知ですか?」

「ヤモリって何よ!」

「善に貢献する人々を、全て殺害する組織でございます。」

何度も同じことを繰り返し言ったのか、うまく要約してあった。二人は、ぞくっと悪寒を覚えた。アレスは、続ける。

「リサ・ド・ブラウン。あなたを、善に貢献した罪で極刑に処します。」

そのセリフを聞き、ハルスはビクッとする。

「リサ・ド・ブラウンって誰だよ!」

治が言うと、アレスは平然とした顔で言った。

「そちらの少女の名前でございます。」

「何だって!?」

治は、ハルスの顔を見る。ハルスは、目をそらして言った。

「そう・・・ハルスは偽名よ。本名は、リサ・ド・ブラウン。」

「なんで偽名なんで使うんだよ!」

「それはーーー・・」

ハルスがそこまて言いかけたころ、アレスは改めて二人に杖を向ける。

「さあ、そろそろ神に祈りを捧げていただけませんと。」

ハルスは、杖を取り出そうとする。

「その前に私が殺して差し上げます。」

ハルスは、その手を止める。

「何で・・・何で死ななければいけないの!何でそんな組織があるの!」

「ハテス様が創られた組織に、私共は従順に従うのみでございます。」

「ハテスって誰なの!会わせて!」

「会えない事情があるとのことです。さあ、速やかな処刑を・・・。」

「嫌!あたしはまた死にたくない!」

ハルスがアレスの方へかけだそうとする。その体を治は止める。

「離して!」

「だめ。」

「なんで!」

ハルスが後ろを振り向いたその刹那、

「イクスプロージョン」

爆発の音がして、二人がアレスのいたところを振り向くと・・・誰もいなかった。代わりに、立っていた男は・・・

「乞食さん!」

治が言った。あの時不猟に捕まった自分らを助けてくれた、あの乞食がこちらに杖を向けていた。乞食は杖をしまうと、言った。

「記憶力はずいぶんいいね。」

「命の恩人です。あの時はありがとうございました。」

「礼には及ばないよ。それより、ハルスは覚えていたのかな?」

ハルスは、黙って首を横に振る。

「そうか・・・。」

乞食は残念そうに言う。ハルスは、憮然とした顔で続ける。

「あなたの名前は何で言うの?」

その問いに対し、乞食は答えた。

「秘密。」

「そうですか。」

治が残念そうに言うと、ハルスが言う。

「どっかで見たような気が・・・。」

それに対し、治は言った。

「気のせいだろ。」

「うん・・・。」

ハルスがそう言うと、乞食はにっこりと笑い、そのまますれ違うように行ってしまった。

「さて、あたし達も行こうね。」

「うん、リサ。」

治がそう言うと、ハルスは治に杖を向ける。

「ハルスって呼んで。」

「何で?」

「ハルスと言ったらハルス!」

「うん・・・。」

治が返事をすると、ハルスはその杖をしまう。


 二人は、大通りへ出た。幅の広い道路の両脇にある歩道、その片脇を歩いていた。

「へえ、高い建物がいっぱいねー。」

「俺が案内するよ。この世界の案内のための散歩だろ。」

「じゃ、建物の中見せて。」

「できるか。」

「ふふ・・・。」

少しはこの世界の常識を覚えたとみえて、ハルスは笑った。

「でさ、」

治が言いかけた頃、悲鳴が上がった。

「ぎゃああああああっ!!」

異変に気付いた二人がそちらに注目すると、そこには、はさみを振り回している女の人がいた。

「どうしたんですか!」

ハルスが彼女に問いかけると、女の人ははさみを振り回しながら言った。

「体が勝手に動くのよ!」

「えっ!?」

 一難(?)去って一難。

「ぎゃああ、」

周りの人たちも、円を描いて囲んで、その女の人に注目する。女の人の体の中から、黒い気体が煙のように出てくる。黒い気体が完全に体から離れると、女の人はくたびれた表情で、どすと座りこんだ。一方、黒い気体はハルスの体を囲みはじめた。

「それから離れて!」

女の人が叫ぶ。しかし、ハルスは体を動かそうとはしない。そればかりが、その黒い気体に向かって話しかける。

「あんた、もしかして、あの時あたしを操った、」

「おい、もしかしてこれが・・・?」

治がハルスに対して言う。ハルスの体を囲んでいる黒い気体は、それに返事をするかのように、胴体の包囲を解きハルスの頬をなでるように動いた。ハルスは、頬の隣にありしその黒い気体に杖を向ける。

「天、大地、そして魔法を司る神よ、ヒンマンをわれに従順し妖魔となせ。」

黒い気体は、硬直したように地面に落ちたが、すぐにふわりと浮き上がる。

「行くわよ。治。」

ハルスが言い、路地裏へ駆け込む。治も、それについて駆け込む。黒い気体も、ハルスの肩からインコのようにはなれない。

 路地裏の奥へ入る。ハルスは、誰も見ていないことを確認すると、自分の頬付近にある黒い気体に話しかけるように言った。

「治に憑いて。」

「えっ!?」

治は驚いた顔をするが、黒い気体はすかさず治の体に巻きつき、溶け込むように消えた。

「おい!」

治は、自分の体を自分の意志で動かしてみる。きちんと動く。動かすのを止めてから言った。

「なんのつもりだよ!」

それに対し、ハルスは巍然と応じる。

「浮気されたら困るでしょ。」

黒い物体って何でしょうね・・・。


あーそれと、

この小説の全体の文字数、

あと少しで第2目標の10万字にいきます。はい。

あと1万字だーーー!!!


内容も、

字数に比例するかのように面白くなっていきます。

・・・濁点はどうでしょうか。


不肖私。

これは、ハルスが治にしもべと言うのと同じように

自分が自分に僕と言っているのです。はい。

不肖私。

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門前
居候をリメイクして新しく書き直した小説です。
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