表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
居候  作者: KMY
29/60

第29話 素顔

「どっちからにする。」

 富岡先生が二人に、意味深甚な笑みを見せる。困惑する二人。と、ハルスが治の肩を叩く。

しもべ。」

そのハルスの顔は、ニコニコしている。

「おい!」

治は怒鳴るが、女の笑顔に弱い彼は、仕方なく立つ。

「零時治。」

先生が点呼する。どうしよう。冷や汗を流している治の後ろから、声がした。

「血の色。」

はっとして治が振り向くと、そこには、冲本守人おきもともりとがいた。彼は、困っている人を見かけると、理不尽な助言をする。

「血の色って何だよ!」

治が怒鳴る。

「だから、最初の2文字。」

それを聞き、治ははっとした。血の色は赤色。最初の2文字は赤色。たてにIQ130をやっているわけではないのだ。

「あか・・・」

その次は何だ。

「かぐや姫。」

「つき・・・」

「違う。」

富岡先生が、ニコニコしてダメ出しをする。

「春眠だ。」

「あ・・・・・・」

顔を真っ赤にする治は、慌てて後ろにある丸いものを引っつかむ。果たしてそれは守人の頭であった。

「違うぞ!」

治は、守人に怒鳴った。

「カンニングをしたことには変わりない。不合格。」

富岡先生は、冷酷にも言った。結局、ハルスの僕発言は、一時しのぎにすぎなかった。ハルスは、おろおろして立つ。

「あ、あの・・・春眠、暁・・・を・・・?お、お、陥れる!」

この間違いに、生徒達は爆笑した。治も、必死で笑いを抑えている。

「お前、どんな育ちをしたんだよ!」

小池正志が立ち上がり、ハルスの方へつかつかと歩み寄り、襟を掴む。それに対し、ハルスは毅然と応じる。

「別に。」

「殺すぞてめえ!」

正志がこぶしを握りまわすと、そのこぶしを治が掴んだ。

「やめろよ。無力な女の子だぞ。」

「無力なのはどっちだ!」

正志がこぶしの方角を治の額へ変更する。

「たいたいな、魔法使いはな、みんな高慢なんだよ!魔法使いは、みんなばかだから!自分が一番強いと思い込んでいるんだ!だから、魔法使いはみんな嫌われるんだよ!」

この正志の発言に、長谷川玲子が顔を真っ青にして、立ち上がり、後ろから正志の股間を蹴り上げる。正志は、驚いて仰向けに倒れる。玲子は、その顔を踏んだ。

「それをもう一回言ったら、あんたの命はないと思って。」

「何だてめえ!もう一回言ってやる!魔法使いは自己中心的だからみんな嫌われるんだ!」

「おい、やめろ!」

治が仲介に入る。ハルスも動こうとした時、治はハルスに言う。

「座れ!くだらない事に巻き込まれるな!」

「あんたもじゃないの!」

「まあな。」

治はそう言い捨てると、玲子の方を向いて言う。

「ハルスと友達なのか?」

玲子は、黙って首を横に振る。

「じゃ、何で魔法使いが嫌われるのが嫌なんだよ!それにだからって、人の顔を踏むな!」

「絵踏。」

と、玲子は短く返した。

「おい!俺の顔はキリストか!」

正志が、下から声を張り上げる。しかし、玲子は冷たく返した。

「それに等しい価値を持つ。」

「やめなさい!」

富岡先生が怒鳴ると、生徒達は皆黙ってしまった。

「座りなさい!」

しばらくして、生徒達が全員座ったのを確認すると、富岡先生は言った。

「では、次の漢詩に移ります。」

ハルスは胸をなでおろした。


 金曜日。朝、長谷川玲子は、家で朝食を食べ終わった後、静かに玄関へ向かう。その後ろ姿に対し、あだ名が「マナーじいさん」である玲子の祖父、長谷川健治けんじが言う。

「毎週金曜日と土曜日と日曜日、どこに行っているんだ。」

「秘密。」

と、玲子は短く返した。

「金曜日くらい下校して顔を出せよ。」

「無理。」

「今週も行くつもりか。」

「ええ。」

と、玲子は面倒くさそうに返し、玄関のドアを開け、家から出る。振り向いて、祖父に言う。

「いってきます。おじいちゃん。」

玲子の眼鏡は、鋭く光っている。

「いってらっしゃい。玲子。」

祖父が返事すると、玲子は黙ってドアを閉める。

 長谷川玲子。彼女は、誰にも笑顔を見せた事のない少女であった。


 あたりは真っ暗。魔法使いがかけた暗闇の魔法によって、この辺りは周りからの光を閉ざされ、でも徹底はしていなかったので90%暗いと言ったところか。そこには、数人の黒い服を着た大人が、丸いテーブルを椅子で囲んで座って話している。椅子は4つあり、東西南北の位置にある。3人の男が座っており、北に位置する1つの椅子には誰も座っていない。一人の男が言った。

「我らがヤモリは、悪の組織として、数年活動を続けてきた。しかし、この頭領ハテス様に対してどう思うか。」

「ハテス様侮辱の意志はあるか。」

「ない。ただ、頭領が我らよりも年下という事に、今でも戸惑いを感じる。」

「確かに、毎週金曜日と土曜日と日曜日にしか顔を見せない。」

「中学校があるからだ。」

「それは分かっている。」

静観していたもう一人も、話に口を挟む。

「なあ、ハテス様はこれまでに魔法使いの誰もが持った事のない、莫大な魔力の持ち主だ。その力には、我らが3魔人、ヘファイストスとアレスとエロスの3人の魔力を足してもまだ20分の1にすきない。なあ、エロス。」

エロスと呼ばれた男は、言った。

「しかし、魔力の強い人は、もう一人いる。」

「誰だ。」

「ハテス様が今標的としている、リサ・ド・ブラウンだ。」

「リサ・ド・ブラウンの魔力も、ハテスの前では追い越せない。」

沈黙が走った。そのうち、ヘファイストスが言った。

「女の子だから今週くらい青春を楽しむんだろ?」

「確かに、今まて女の子っぽい話題については聞いていなかったな。」と、アレス。

「今日、聞いてみよう。」と、エロス。

「しかし、そんな事をして、」と、ヘファイストス。

「なあに、おとなしいところもあるからさ。」と、エロス。

「おい、」とアレス。

アレスが二人に注意を促す。二人は、静かになる。足音が近づく。果たして、それはさっきまて話題にのぼっていたハテス様のお帰りであった。

「ハテス様!」

3人が一斉に立ち、ハテスに一礼する。ハテスは、黙って空いている椅子に着席すると、他の3人に言った。

「座りなさい。」

「はい。」と、3人が一斉に座ると、ハテスは言った。

「リサ・ド・ブラウンの行方が掴めたわ。」

「本当ですか。では、それはいかに。」と、アレス。

「今はハルスと名乗っているわ。」と、ハテス。

「それでは、私ともが今すぐにでも、」と、ヘファイストス。

「いいえ、私が、」と、アレス。

「計画を練ってからね。」と、ハテス。

「では、話は変わりますか、」と、エロス。

「何。」と、ハテス。

「ハテス様は、今まて女の子としての話題を雑談に出した事はございませんでしたが、今一度お出しください。」と、エロス。

「その言い方は、あたしの青春を吐露してください、って事ね。」と、ハテス。

「ええ。」と、エロス。ハテスは、黙って立ち上がり、エロスに杖を向ける。

「お、お、お許しください・・・。」

「ねえ、覚えてて。あたしは、他の人とつきあうような事はしないわ。」

「で、で、でも、どきめく瞬間も・・・」

「あたしは、人間が信用できないのよ。信用できるのは、あなた達、3魔人だけ。だけと、その3魔人からも疑問をぶつけられて、失望の思いだわ。」

「は、はい、」

「いい?あたしは、一生をハテスとして生きて行きます。そう、裏はどす暗い悪の組織ヤモリの頭領ハテスとして、そして表は普通の女の子の長谷川玲子としてーーー・・。」

「長谷川玲子・・・それがハテス様の本名なのですか?」

と、ヘファイストスが口を出した。ハテスは杖を下ろし、言った。

「ええ。」

長谷川さんが悪の組織の頭領

ハテスをやっていたんですね。

で、肝心のヤモリの具体的な概要ですが、

これについてはなんとも申し上げられません。はい。


リサ・ド・ブラウンって、誰なんでしょうね。(オイ

はい、ハルスの本名は、

リサ・ド・ブラウンであります。はい。

伏線は一応解けましたが、

なんで偽名を使っているか・・・

新しい伏線が出来ましたねw

(これからはめんどくさいので伏線カウントなしにします多分

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
門前
居候をリメイクして新しく書き直した小説です。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ