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居候  作者: KMY
25/60

第25話 春暁

濁点不評小説、ついに第3部に突入しました!

第3部は、

「当組は問題の多い教室ですのでどうかそこはご承知ください」

をテーマにして、書いていきます。

ごひいきのほど、よろしくお願いします。

 零時治と(零時)ハルスは、今朝も手をつないて教室に入ってきた。

「ん・・・・・・?」

伊勢田由香が、二人に駆け寄り、ハルスの髪の毛を確認する。

「前まてはピンクだっけ?」

「あ、いろいろあってね。」

ハルスは生返事を返すと、その場を去ろうとする。それを由香は止める。

「ちょっと、艶やかだったのに、ピンク色の髪。」

「治に黒の方がいいよって言われたから。」

頬を赤らめて、ハルスは治の手を引っ張る。そして、二人は机に向かう。


 1時間目は国語であった。

 富岡藤男国語担任が教室に入ってきて、教壇に教科書等を置く。

「そろそろテストですね。長谷川さんはいいとして、ウモライウンコの点数が一番心配ですね。」

富岡先生は、ハルスを卑下している。ハルスはむっとして立ち上がる。

「あたしの祖国をばかにしないてください。」

「そもそも、ウモライなど聞いた事がない名前だね。」

富岡先生は平然と答えて、黒板の方を向き、白いチョークを持って何かを書きかける。ハルスは脇から杖を取り出そうとするが、その手を治が立って押さえる。

「離して!」

「だめだ!先生には魔法を使うな!」

「いらいらするから!」

「それだけで?」

「むかっとするの!」

「だから、最近の日本人はみんないらいらを抑えないんだよ!」

「あたし日本人じゃないし!」

「座りなさい!」

振り返った富岡先生が、二人に注意する。二人は黙って座る。それを確認して、富岡先生は教科書を見つつ、続きを書く。

「教科書、開いていませんよ。」

伊勢田由香が立ち上がる。富岡先生は、教科書の表紙を見つつかいていたのだ。しかし、これは富岡先生の意図である。彼は、由香に突っ込まれることを好んでいた。なので、いつもボケるのである。富岡先生は、教科書を開き、それから続きを書きはじめた。

「漢詩の世界。」

 富岡先生は言った。

「テスト前だが、新しい単元に入りたいと思います。では、最初の春暁と言う詩を読んでみて下さい。えー、しゅんみんふかくあかつき・・・」

「漢字を直接読んでますね、先生。」

由香が、さりげなく注釈した。

「ああ、訓読文ですね。」

わざとっぽいいたずらっかおを浮かべ、富岡先生は笑う。みんなは、この二人を見て、どこが面白いのかな、と疑問に思うのである。


春眠暁を覚えす

処処帝鳥を聞く

夜来風雨の声

花落つること知りぬ多少ぞ


「では、20分やるのでこれを暗唱出来るようになりましょう。」

 富岡先生は平然と言った。クラスのみんなはえーと、驚きを隠せない。しかし、一人だけ隠してのけた人がいる。零時ハルス。ハルスは、暗唱というものがどんなに難しいものなのか知らない。つんとしている。それを見て、富岡先生は言った。

「では、ウモライウンコさん、覚えてきているようですので、先行して言って見てください。」

「はい。」

ハルスは、立ち上がる。その物音を聞き、クラスのみんなの視線が一斉にハルスに集まる。

「おい、大丈夫か。」

治が、心配そうに言う。

「大丈夫。」

ハルスは、憮然と答える。

「しゅんみ・・・・・・・ん・・・・・・・・あ・・・・・・・・・かつき・・・・・を・・・・・・・お・・・・・・ぼえ・・・・・・・」

「はい、時間切れ。」

思い出しながら喋るハルスに対し、富岡先生はダメ出しする。

「暗唱というものは、すらすらと言えなければいけません。」

「えええええええええええええええっ!????」

ハルスは、そんなものだったんだ、と驚きの顔を隠せない。と、一つの手がすっと上がる。

「長谷川玲子。言えますか。」

「はい。」

彼女は、静かに立ち上がると、最初の行を言った。

「春眠暁を覚える」

「間違っています。」

富岡先生が玲子に対し、冷酷に言った。由香も、横から口を挟む。

「ケアレスミスですね。」

玲子は真っ青になり、座っている由香に掴みかかる。

「ケアレスミスとか言うなぁぁぁぁぁ!!!」

「はい、この二人はおいといて、」

富岡先生が二人をばっさりと捨てて、他のチャレンジャーを探す。

「他にできそうな人はいますか。」

「はい。」

今度は、一人の少女が手を挙げる。羽生かおるである。

「羽生かおる。言えますか。」

「はい。」

彼女は、静かに立ち上がると、最初の行を言った。

「春眠即ち」

「説明は不要です。説明抜きで覚えてください。」

富岡先生がかおるに対し、冷酷に言った。檸檬も、横から口を挟む。

「几帳面だね。」

「え、これ几帳面?普通じゃないの。」

かおるは、平然と言う。富岡先生も、それに合いの手を打つ。

「そう言うあなた、出来ますか。」

「え。」

檸檬は、真っ青になって立ち上がる。

「あ、あの、」

それに対し、ハルスが横からプレッジャーをかける。

「もし失敗したら治はあたしのものだからね。」

「そこまてやるか!」

檸檬は一言突っ込み、それから最初の字を模索した。

「し?・・・春眠暁を覚えす、処処帝鳥を聞く、夜来風雨の声、花落つること知りぬ多少ぞ。」

「げ。」

ハルスが、真っ青になる。ほんの冗談で言ったつもりだったが、もうすでに檸檬は勝ち誇った顔でハルスを睨んでいる。

「はい、不合格。」

富岡先生が、冷酷な判定を出した。

「何でですか!」

檸檬が言うと、富岡先生は続ける。

「教科書、開いていますよ。」

檸檬の机の上には、国語の教科書が開いている。しかし、それは漢詩のページではない。

「漢詩のページじゃありません!」

「このページのどこかにカンニングのための暗号が入っているかもしれません。」

「ありませんから、それは!」

「考察の範囲内です。そもそも開く人が悪いんです。座りなさい。」

「はぃぃ・・・。」

「はい、それはおいといて、他の人はいますか。」

檸檬はぶーぶー言って座る。ハルスが、勝者の美酒を飲んだ後の顔をして檸檬を見つめる。

「何みてんのよ!」

「ううん。」

ハルスがこう言うのと、4人目のチャレンジャーが決まるのと、ほぼ同時であった。

「では、五十嵐由美。立ちなさい。」

「え?」「え?」と、生徒達の視線が一斉に由美に集まる。玲子と由香も喧嘩をやめて、そっちを見る。クラスメートの中で、五十嵐由美の肉声を聞いたことのある人は、ほとんどいない。これは、希薄なチャンスである。別に由美に人気はなかったのだが、余り出さないものは気になるものである。みんなも、ケーキを1ヶ月ごとに食べるのと毎日食べるのとでは大違いである。それと同じ原理で、みんなは由美に注目する。

 由美が立ち上がり、あまり開かない彼女の口が開く。

「バッテリー切れ。」

みんなは、「え?」と呆れた顔で由美を見つめる。由美は、そのまま体をまっすぐにした姿勢で、倒れる。

「すみませんっ!」

と、突然教室のドアが開く。白衣の眼鏡をかけた男が真っ青になっている。

「あなたは?」

富岡先生が振り返って、男に尋ねる。男は、黙って由美の所に駆け寄り、改めて先生に自己紹介した。

「わたしは、はてな博士と申します。」

「して、本名は?」

「はてな博士です。」

はてな博士は、そのまま由美の体を起こして椅子に座らすと、背中に背負っていた一つの黒い箱を机の上に置き、箱の上にある丸いふたを外す。中から、どん黒い液体が日光に反射しているのが見えた。はてな博士は、由美の制服を抜く。しかし、女子も男子もみな同じことを思った。へそのあたりが銀色である。はてな博士は、その銀色のへそを押す。すると、由美の胸は、2つにばかっと割れた。中からは銀色のいろいろなもの、赤と黄と白のたくさんのコートが見えた。

 沈黙。やっとのことで、富岡先生がはてな博士に聞いた。

「こいつ・・・ロボットですか?」

ついに無口少女の正体が明らかになってしまいました。はい。

1つめの問題ですね。

問題、多いので、これ以上の問題がもっとあるんです。はい。

覚悟して読んでください。


で、ここでアンケートをしています。

http://my.formman.com/form/pc/FAAqNvkpZs9T3UCC/

ぜひあなたの5分を裂いて、投票してください。

投票されたデータは、今度また紹介することがあります。はい。

ということで、アンケートの方もよろしくお願いします。

しめきりはありません。はい。

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門前
居候をリメイクして新しく書き直した小説です。
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