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居候  作者: KMY
23/60

第23話 黒髪

 下校。家に帰る道を向かう治とハルスの二人。(ハルスがむりやり)手をつないて、歩いている。

「何だよ急に、こんなにやさしくなって。」

治が、前を見たままそう言う。

「だって、」

ハルスは、下を向いたまま答えない。

「ほら、曲がり角だぞ。あそこまてだろ、この手。」

「嫌!」

当初の約束を、ハルスは平然と破った。そればかりではなく、治の肩に顔をすりすりさせた。

「おい!」

治が、怒鳴りつけ、はっとして後ろを向くと、数人の一ノ谷中学校の中学生が、こっちを見て口をあんくり開けている。

「おい!」

治は、ハルスの頭を遠ざけようとする。しかし、ハルスの治の肩へくっつく力は、もっと強くなる。

「離れろ!」

ちらちら後ろを見ながら、治がハルスに怒鳴る。しかし、ハルスは、答えない。

「曲がるぞ!」

治がそう言ってくるりと90度曲がる。

「・・・・・・!」

目の前に、たくさんの人だかりができていた。

「何だ?」

ハルスが肩にくっついていることを忘れ、治は人込をかき分ける。ついに人ごみの中央を臨める位置まてやってきた。治が、中央を覗くと、そこには、突っ立っているマナーじいさんの姿があった。

「どうしたんですか!」

治が、マナーじいさんの前まて行くと、

「ああ・・・体が動かないんじゃよ。」

と、マナーじいさんは答える。

「おい!ハルス!」

治は、ハルスの頭を強く叩く。それに弾かれたように、ハルスの体は治からばっとはなれ、そして杖を出して治に向ける。

「いきなり何よ!」

「あのじいさんに、お前、あれをやったんだろ!」

ハルスが魔法使いである事はクラスメートで充分だ。たくさんの大人が集まっているところでは、あえて「あれ」で話す。マスコミ関係者がいたらもっと大変だ。しかし、ハルスはその意図に気付かない。

「あれって何。」

「だから、あれだよ!それ!その杖!」

「この杖がどうしたの。」

「だから、あっちのじいさんにさ、その杖で、あれやったんだろ!」

「あれって何!」

「だから、あれ!」

「あれって何!」

「あれ!檸檬も使えるあれ!」

「答えて!」

「だからさ、」

「イクスプロージョン」

ついにハルスが堪忍袋の緒を切らし、大きな爆発を起こす。治はそのまま地べたに仰向けに倒れる。ハルスは、治の顔を睨む。

「何すんだよ!」

「あれって何!」

「後で説明するからさ、」

「次の返事であれを言って!」

ハルスが、治に杖を構える。

「言わないとまた魔法使っちゃうから!」

「!!」

治は、急に立ち上がり、ハルスの頭を自分の胸で抱くと、慌てて辺りを見回す。野次馬達は、じろじろと二人を見つめている。治は、頬を赤らめているハルスの腕を引っ張ると、

「行くぞ。」

と、走り出した。


 二人は、家へ帰った。

 母が、二人を出迎える。

「おかえりなさい。」

「たたいま。」「たたいま。」

二色のたたいまが返されると、母はそのまま奥へ行った。治は、ハルスを2階の自分の部屋へ引っ張る。そして、部屋に入ってドアを閉めると、ハルスに対して怒鳴った。

「なんで魔法って言うんだよ!」

「なんでだめなの。」

「お前が魔法使いってたくさんの人に知れると、いろいろ面倒なんだよ!」

「何で?」

「例えば、ニューズで大きく報道されるだろ。その後で報道番組でさんざん魔法使わされるし、」

「この世界では魔法はそんなに珍しいの?」

「ああ!」

治が、真剣な顔をしてハルスに言うと、ハルスはぶいと横を向く。

「分かった。」

「うん。」

治がドアの向かいにある、彼の机へ向かおうとすると、ハルスは言った。

「待って。」

「何?」

治は、不機嫌そうな声で答える。

「あの、ドアの外で待っててくれる。」

治は、黙ってドアの外に出、ドアを閉める。その顔は、濁っている。


「もういいわよ。」

 5分くらい経って、ハルスがドアを開けると、治は黙って部屋の中に入って、机にかばんを置くと、ハルスの方を振り向きもせずに机に座る。ハルスは、ベットに座る。

「ねえ、」

「何だよ。」

「あ、あの、そ、その、」

「こっちはこれから宿題だから。」

「そ、その、あ、あたし見て。」

「何だよ。」

しれったそうに、治はハルスの方を向く。

「おい!」

治は、立ち上がってベットに座っているハルスを怒鳴る。彼女の髪の毛は、黒くなっていた。目も、よく見れば真っ黒になっている。

「あ、あたしの髪の毛が黒くないから、目立って恥ずかしいんでしょ・・・。」

「そりゃそうだけと、」

少し後悔した気持ちで、治は、すっかり日本人の外観と化したハルスを見つめる。

「な、何・・・。」

「元に戻せよ。」

「嫌。」

ハルスは、そう言うと、いきなり治へ飛び掛ってきた。

「おい!」

治が、ハルスを振り切ろうとすると、ハルスの治の体を抱く力は、より強くなる。ハルスの頭が、治の胸をすりすりする。

「くすぐったい!」

治が、ハルスに怒鳴ると、ハルスは言った。

「だってぇ、」

「はっきり言え!その前に離れろ!バカ!」

治がそう怒鳴っても、ハルスは離れない。

「今夜、一緒に寝よう・・・。」

「だめ!」

「べ、ベット、1つしかないから。」

「それでもだめ!」

「あ、あの、」

「だめだ!」

治は、ハルスの股間を蹴飛ばす。ハルスは、そのままベットへ倒れこんだ。すぐに起き上がり、治に抗議する。

「何するのよ!」

「だから、よりつくな!」

「だってぇ、」

ハルスは、そのままベットに座った。そして、杖を取り出し、ももの横に並べる。その杖を見ながら、言った。

「確かに、あたしは魔法使いで、治は普通の人で、だ、だけれと、そ、その・・・。」

ハルスは、杖を見つめながら顔を真っ赤にしていた。治は、真っ黒な髪の毛とピンク色に染まった顔が似合いすぎで呆然とハルスを見つめていた。数十秒を経て、ハルスが覚悟した声で言った。

「キス、して。」

「えっ?」

「キス、して。」

「だめ!」

即答。

「キス、して。」

「だめ!」

即答。

「キス、」

「だめだ!」

即答。三顧の礼ならず。

「ねえ!」

ついにハルスは立ち上がり、治の両肩を両手で掴み、前後に揺らす。

「お、おい!」

「ねえ、お願い、一回だけ!」

「あのなあ、」

治は、ハルスの肩を抑えて、怒鳴る。

「お金を払うからキスして、とかいった、お金で作った嘘の恋は、そのうちに本当に嘘になるから!」

「そ、それじゃ、まず、な、仲良くなって・・・。」

「だめだ。」

即答。

「仲良く、」

「だめだ。」

即答。

「友達に、」

「だめだ。」

即答。二度目の三顧の礼も失敗。

「とにかく!」

治は、ハルスの肩を強く叩く。

「お前邪魔だ。帰れ。」

「えっ・・・・・・。」

沈黙が流れる。ハルスは、ベットの上に置いた杖を拾って、治に構える。

「イクスプロージョン」

爆発が起こり、治の体は部屋の端っこまて飛ばされる。ハルスは、治の飛ばされたほうへ歩み寄り、倒れた治の前に立って言う。

しもべ!」

治は、自分をにらんでいるハルスの顔を睨み返そうとする。が、自分の顔がうやもやになっているのに気付き、目をそらす。

「晩御飯を作りなさい!」

「はいはい。」

治は、そう言い捨てて、部屋から出て行く。階段を下りる音。


 その夜。例によって、二人は1つのベットで隣り合って寝た。

 といっても、二人はそれぞれ反対側を向いている。(ハルスは無理やり向かされた)治は、目の前に迫る壁を見ながら、つぶやいた。

「なんだよ・・・ハルスの顔を見たらあったかくなるんだよ・・・なんでだよ。」

また寝ていないハルスは、それをはっきりと聞いていた。ハルスは、向こうを向いたままぼそりと言う。

「恋。」

「ひっ!寝ろ!」

治はびくりとする。その顔は真っ赤になっている。

「恋。」

「黙れ!」

「恋。」

「黙れ!」

まるで自分と付き合うことを促しているように。

ついに第3部からのハルスのスタイルが決定します。

黒髪でーす!!

しかも、第3部で、この小説はようやく本格始動します。

長い、多分途中でやめる小説は、ここからはじま・・・らないんです。はい。


ついに、治も恋をしてしまいました。

でもって、第3部からはもっとハルスに嫉妬を持たせて、

もっと面白くしたいですw

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門前
居候をリメイクして新しく書き直した小説です。
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