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居候  作者: KMY
17/60

第17話 王族

「そうか。」

 校長室で、黒いソファーに座って向かい合っている、葛飾先生と校長先生は話している。

「あさきゆめみしグループは、私もよく知っている。」

校長先生が、口を開いた。

「なぜなら、私もかつて入っていたからな。」

「ええっ!?それ、本当ですか!?」

葛飾先生は、思わず身を乗り出す。

「確かに、あのつぼについては不確かなところもあるが、その効果ははっきり立証できた。しかも、操られているのはうちの生徒だ。これは、警察に通報しなければいけない。」

「しかし・・・。」

「説明会も開く。」

「しかし・・・。」

「どうしたね。」

「そんなことを言っても、みんな信じてくれますでしょうか?」

「信じてくれるだろう。警察の中にもあさきゆめみし対策本部が置かれているそうだし。」

「で、でも・・・。」

「信じてくれる。」

校長先生が明言すると、葛飾先生は黙ってしまった。

「失礼します。」

と、葛飾先生は、席を立って校長室を出て行った。

 校長室の前では、数人の生徒が制服に着替えて待っていた。ドアを開けた葛飾先生は、彼らの姿を見るなり、言った。

「授業。」


 操られて不良グループ「あさきゆめみし」の本部に連れて行かれたハルス。

「やあ、かわいこじゃねえか。」

細い裏道、袋小路の端っこに隠れるように集まっていた不良グループは、揃いも揃ってハルスを歓迎した。

「名前は何だ?」

一人の不良が、尋ねる。

「気を付けろよ。こいつ、魔法使いだからな。」

連れてきた4人のうちの一人が言った。

「それ、マジ?」

ボスらしき真ん中に座っていた人が言った。

「本当であります。」

「そうか。それにしてもかわいいなあ。こっちにきなさい。」

あぐらをかいているボスに対し、ハルスは黙って近づいた。

「座りなさい。」

ハルスは、座る。

「肩に抱きつけ。」

ハルスは、ボスの左肩に抱きついた。

「好きと言え。」

「好き。」

「はっはっは・・・、俺も美女とは無縁だと思っていたが、こうやすやすと手に入るとはな・・・。お手柄だ。褒美は、後で会議する。」

4人組の中の一人が言う。

「あの・・・、その目的で連れてきたわけではありません。」

「お?」

「人質です。」

「うん?」

「あの・・・昨夜、決定したのではありませんか。あの目的のためだけに、一ノ谷中学校から人質を一人、拝借してきました。」

「そうか、あの決議か・・・。かわいいから永遠にそばに置きたいもんかなあ・・・。」

その言葉を聞き、ボスと話していた不良は、しばらく考えてから言った。

「俺に考えがあります。」

そして、彼は、その考えをボスにささやいた。ボスは、にやっとした顔で、ささやいた部下の両肩を両手でふさぎ、

「それは妙案だ!」

と、言った。


「とりあえず、一斉下校することになった。」

 葛飾先生が、教室にクラスの生徒達を集め、臨時HRで言った。

「必ず一人で帰るな。できるたけ3人以上のグループで帰る事。以上。では、帰る準備をしなさい。」

クラスメート達が帰る準備をしていて、教室が雑然となっている中、治は不安そうな顔をしていた。

 ハルス。大丈夫か。俺の事僕しもべしもべばかり言いやがって、自分の事は保障していない。しかも、その挙句ハルスと呼べとか言って。訳分かんない。

「ちょっと、聞こえてるわよ。」

隣にいた、花尾武子が言った。

「ち、ちょっと、何でもないよ。」

「わかった〜、治君ってハルスのことが、」

「違う!」

「準備!」

いつのまにか、治の前に葛飾先生が立っていた。

「準備しなさい。」

「は、はい・・・。」


「ちょっと、ハルスは?」

 母が、心配そうな顔をして、一人で帰って来た治に聞く。

「さらわれた。」

治は、それだけ言うと、2階に駆け込んで行った。

 からっぽの自分の部屋。この部屋は俺の部屋。でも、なにかが足りない。ハルス・・・?いや、あんな生意気なやつは、・・・・・・。

 治は、ドアをばたんと閉めた。そして、後ろに背負っているかばんを下ろさんと、机の前に向かう。そして、机の上に一枚の白い紙を見つけた。治は、その紙を手に取って、眺めた。

「お前の大切な人 頂戴する。 悔しければ この紙を逆さまに見よ あさきゆめみし」

 悔しいか・・・?治は、自分にそう問いかけた。思えば、あいつはかわいいくせに俺のことを軽蔑する。好きといいながら嘘だったり、それでいてもっと付き添われるのは嫌だ。なのにもういっか会ってからいきなり俺に抱きついて、あいつ・・・。

「悔しくない!」

治は、叫んだ。その声は、部屋中に響き渡った。


「とうだ、応答はないか。」

 ここは、いつかの闇。たくさんのモニター画面が積み重ねられており、複数の人が椅子に座って、たくさんのモニター画面の1つでもいいから表示されないか、と灰色の画面を見回っていた。

 結局、数ヶ月前に墓場にいるハルスを発見したのたか、なぜかあの後すぐにまた画面が消えて、それっきり。

「とにかく、あっちの世界にいるのは確かだな。」

「はい、そのことを前提で設定しているのですか・・・。」

二人の男が、話している。

「でも、数年もハルス様のことをお探しになる、あなたはとんな目的を以ってお探しになるのですか?」

「・・・・・・この事は、誰にも言ってはいけない。」

「はい?」

「実は、ハルスは我がハーラ国の王族の唯一の直接の血縁者であることが判明した。ちょうど今のハーラ国を治めている王様も病弱でな。後継者争いが起きぬ間に呼び戻しておきたいのだ。」

「はあ・・・」

「誰にも言ってはいけない。」

「そうですか、それでたくさんのお金をご掲示いただいたのですね。」

「追加料金はいるか。」

「いりません。我らがハーラ国の平和に貢献すると思えば、あのお金でも高すぎるくらいであります。」

「そうか。」

男は、黙って、灰色のモニター画面を眺める。もう一人の男は、商売スマイルとしての笑顔を絶やさない。

「訃報です!」

突如、後ろの茶色のドアが開き、ドアを開けた男が言った。

「何だ?ドアを閉めろ。」

「は、はい・・・。」

ドアが閉まる。

「で?」

「はい、我らがハーラ国の王様がご逝去なされました。」

「何!」

「すぐさま、事を急がねばなりません。」

「遺書は?」

「今のところ発見されておりません。」

「そうか・・・。」

訃報を伝えた男は、それだけ言うとその部屋から出ていった。ドアの閉まる音。男が、尋ねた。

「いかかいたしますか。」

「今後の対応は、お前も分かっている通り、より早期の発見だ。」

「はい、こちとら商売者として徹底的な対応を致します。」

「できるたけ早くな。」

「はい。」


 一方、こちらはあさきゆめみしの本部。

「キスしろ。」

ボスが言うと、ハルスは黙ってボスの唇に自分の唇を押した。2つの唇が、合う。

「うう・・・。」

 ハルスの声帯から、うめき声が漏れる。しかし、その音は小さいが故に、誰も気が付かなかった。

 ハルスの目から、微量の涙が漏れる。しかし、目が光った程度であるが故に、誰も気が付かなかった。

「これからお前は俺のものだ。」

ボスが、複数の不良を前に、横の女に対して勝ち誇った声で言う。

「名前は?言え。」

ボスがそう言うと、少女は、ゆっくりと口を開いて、言った。

「おさむ・・・。」

「おさむぅ?女のくせに男の名前なんだな。まあ、奇病者が名づけたんだろ。いいか、今から俺がお前の名前を決めてやるよ。聡子。どうだ、いい名前だろ。」

ハルスは、黒く濁った目を以って、口を以って、言った。

「お・・・さむ・・・・・。」


 びりびりびりびりびり。

 紙が破れる。

 治の机の上の、あさきゆめみしの署名のある手紙は、治の手により、数十の破片と化した。

 治は、その数十の破片を、一斉に机の前の窓を開けて投げ捨てた。

「ハルスの顔は、二度と見ない。」

この「居候」シリーズと、漫画「さよなら絶望先生」(講談社)には、ある共通点があります。

なんと、タイトルをテーマにして話が進んでいるんです。

居候第1部は、さよなら絶望先生第1話「さよなら絶望先生」を、

居候第2部は、さよなら絶望先生第2話「帰ってきた絶望先生」を、

それぞれテーマにして書いています。

また、さよなら絶望先生には、タイトルと内容がそくわない場合が多く、

また参考にしているのは空くまでタイトルのみであって、

内容は絶対参考にしていないので、

・・・でも、こういったタイトルのみを参考にしても、ファンフィクジョンに当たるのでしょうか?

タイトルと内容がそくわなくでも、ファンフィクジョンに当たるのでしょうか?

よければ意見をください。


ちなみに、さよなら絶望先生第3話は「トンネルを抜けると白かった」です。

ひきこもりの話です。

とてもひきこもりとは思えないタイトルですし、

第3部も、この「トンネルを抜けると白かった」を参考にして

書いて行きます。

ひきこもりなど、一切出しません。当たり前です。

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門前
居候をリメイクして新しく書き直した小説です。
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