第01話 少女
僕は、濁点が苦手です。濁点をいらないところに置いたり、足りなかったり、とにかく、難聴であるために濁点がある時とない時の区別がつかない為、よく間違えます。「日本語がおかしい」という苦情がよく寄せられていますが、そこんとこは我慢してください。
この物語でも、校正などしていないので、例外ではありません。あちこちに濁点の間違いがあっても、いちいち指摘しては日がくれます。なので、ご了承ください。その点を承知の上で、お読みください。
アンケートでは、濁点が間違っていることも考査に含めて結構です。でもって、間違いはいちいち指摘しないてください。指摘されても、大抵の場合直しません。そゆことでお願いします。
居候のオフィシャルサイト:
http://tukimi.ddo.jp/~kmy/novel/
一ノ谷中学校。
3学期も中盤に来た。
そろそろ1年生の復習をする季節である。
2月。雪の多い月。
「では、これより朝のHRを始めます。」
教壇に立った富岡藤男担任が言う。彼は、一ノ谷中学校1年2組の担任で、同時に国語の担任でもある。
「では、今日欠席した人は手を挙げなさい。」
「先生、古いです。」
と、クラスメートの中から声がして、ボケに対するつっこみが好きである伊勢田由香が、立ち上がった。
「また君か。」
先生は、明るい声で言う。そして、続ける。
「来月から、知っての通り3学期期末テスト・・・中学1年生として最後のテストがある。これだけは全員追試がないように。以上。」
先生は、そう言って、名簿など持って教室を出る。入れ替わって、数学の森内武徳先生が入ってくる。彼は、富岡先生と同じような声明をさらりと言ってのけた。
「最後のテストですので、追試のない様にお願いします。」
その後の先生も同様であった。
「まったく、追試追試うるさいなあ、先生は。」
零時治に対し、友達の前田渉が、苦情を言い放つ。給食の時間。二人は、机を向かい合わせ、おとなしく食べている。この二人は小学校元来の親友であり、それぞれの友情逸話は数えきれない。とにかく、最高の親友と言ったところか。
「さよなら。」
「さよなら。」
結局、5時間目、6時間目も同様であった。「追試」の言葉地獄であった。聞くだけで陥る地獄なんであるもんか、という考えを、クラスメート達は洗練されたのである。帰りのHRも、むろん”生徒達に「追試」地獄を与える委員会”に加盟しており、即ち富岡藤男担任は、朝と全く同じ文面を言った。それに加え、「部活は積極的に休みなさい。」とくる。前田渉と、零時治の二人は、それぞれ、疲れた顔でお互いを見合い、2つに分岐された道で別れる。
「また明日・・・。」
零時治。彼は、テストの成績はまあまあである。今まて追試は、5回くらいやっている。次のテストは、去年の4月の内容も含まれている。忘れているかどうか、彼は不安を覚えながら家へ足を運んだ。
「・・・・・・あれ?」
治は、彼の家の門の前で倒れている、物体を発見した。その物体は、人間らしかった。ピンク色の髪をしており、白の服。黒のマント(というかジャンバー?)。茶色のスカート(らしきもの)。そして、うつむけに倒れている。頭顔が、治を向いている状態で倒れていた。治は、気味悪かった。しかし、その物体を踏まないと家の門をくくれない。とかいって、塀を飛び越えて家に入るには、気が引ける。治は、その物体をまたくことにした。
おそるおそる、大きなソーセージみたいなその物体を、足を大きく開けて、右足が向こう岸を踏む。やった、またけた。
「こら!人をまたくとはなに事だ!」
後ろから声がした。この声は、近所で一番マナーにうるさい、マナーじいさん(あだ名)の声であった。治は、黙って後ろを振り向いた。頭には毛が生えていない。茶色の着物に、緑色の帯。隣には、犬。
「今日も西郷隆盛のまねですか?」
「まあな。」
マナーじいさんは、頭をかいた。治は、ほっとする。このマナーじいさん、「西郷隆盛」さえ言えば、彼の目の前で墓石を砕こうとも、爆弾を作ろうとも、全て許してくれる。人を殺した人だっている。理由は、みんな分からない。西郷隆盛のファンということで、議論は終結している。
治は、機嫌をよくしているマナーじいさんの前で、こそっとまたいて家の敷居に入った。しかし、またいたはずみで、物体のピンク色の多くの糸と治の足が絡まり、治は転んだ。治は、おそるおそる後ろを見てみた。
「うん・・・。」
物体は、起き上がったようであった。マナーじいさんは、もういってしまっている。治は、もう用はないだろう、と思い、立ち上がり、家のドアへ向いた。
「ちょっと・・・」
後ろから、呼ばれる。
「何?」
治は、めんとくさそうに振り返る。後ろにいた人は、女の子らしかった。治は、こっちから疑問をぶつければそのうちとっか行くだろうと考え、言った。
「外国人?」
「ううん・・・。」
彼女は、気弱そうに言った。続けた。
「ここはどこ?」
彼女がこう言ったのに、治は驚いた。正直、記憶喪失者との会話は初めてである。治は、戸惑いながら、弱弱しい声に変わった。
「ここは、日本の東京。」
東京と言っても、ほぼ田舎に近い。まわりには、住宅が並んでおり、マンションなどない。2階建て住宅の海であった。
「トウキョウ・・・?何それ。」
彼女は、日本語を喋っているに関わらず、予想外の返事を出した。
「お前・・・日本語が喋れるんだから東京くらい知っているだろ?」
治は、あきれた声で言った。記憶喪失なら無理もないのだか、日本語くらい知っていれば東京くらい知っているはずである。しかし、彼女の、次の言葉が、治の口のチャックを壊した。
「ニホンって何?」