3rd day △
配当係とは、今のように授業で使う資料とかを教室に運んで配ったりする、先生のパシリみたいな係だ。
とは言っても、普通の授業でそんな大きな資料そうそう使わないから、夏休み明けてから今まで係は無かった。
俺達は無言のまま大和先生の後に続いて家庭科室へ到着。
「それじゃあ頼むぜ」
資料を受け取り、半分ずつ持った俺達は来た道をUターンして教室へ向かった。
「……」
『……』
その間、無言。
周りの騒がしさがよく耳に届くが……つまりかなり気まずい。
玄平が自分から話す奴じゃないのは知ってるし、かといってこのまま無言は耐えられない。係の度にこんな感じだったけか?
しかし、次の瞬間、
「一つ、いい?」
玄平が、話題を振ってきた。
それも誰かの声でなく、自らの声で。
「わざわざ言葉を長引かせる必要はないから、単刀直入に聞くけど」
今まで聞いたことの無い声だったので、普通に驚……?
いや、初めてじゃない気がする。
「彰、卒業したらどうする?」
「卒業したら?」
卒業したらか……
「まだ考えてないんだよな」
「そう」
「そういう玄平はどうするんだ?」
聞いてから思ったが、まさか答えてくれるわけない。
「まだ曖昧」
答えてくれた。
「それが原因で、彰もワタシも、秋休みも学校に来ることになる。そこで一つの事件をきっかけに彰はある秘密を知って、大学を決める。そしてそこは、偶然ワタシの選んだ大学になる」
どうしてだろう、玄平の言葉を、その内容を、俺はよく知っている気がする。
「その後はまだ、ワタシにも、誰にも、分からない。そこからは、一つの選択肢を選んだ後に見えてくる」
何か、思い出せそうで、まだ思い出せない。
「それでもし、彰が選択肢を選ぶことになった場合。その時は自分の決定を進めばいい、それで偶然ワタシと同じ大学になるなら、その時はその時に合わせるから」
思い出すのに、必要な鍵が、まだ、足りていない。