アキノアキ
『これで、四つ目の鍵』
普通とは異なる、空間のような場所
『残る鍵は、後一つ』
空間のようで、空間ではない
空間を箱としたら、箱と箱の合間のような、狭間のような、そんな空間
空間と空間の空きで、声がする
「最初は誰だったか」
「はい。わたしです」
「次がアタシだったな、で次が」
「ワタシ」
「そして今、私だな」
複数の、声がする
『残りは一つ、鍵は後一つ』
声はするが人の姿はなく。代わりのようにある物が浮いていた
赤い楓の葉
開いた松ぼっくり
黄色い銀杏の葉
傘の付いたどんぐり
声はそこから、そしてそこ以外から聞こえる
「最後の鍵が集まれば、ここも終わりですね」
「案外楽しかったのにな、もうすぐ終わっちまうのか」
「仕方ない、そういう仕様」
「だよな……あ、でも最後の一つってかなり難しいんだろ?」
「そうだな、だからヒントはしっかりと渡しておいた」
「それで、鍵が見つかるでしょうか」
「見つけてもらわないと困る」
『そう、この秋もいつまでも続けている訳にはいかない』
声に合わせて、空間が震えたような気がした
『ここだけで世界が成り立っている訳ではなく、なるべく影響の無いようにしていたつもりが……すでに綻び、予想以上に早く崩壊が始まろうとしている』
「そんなに別の奴巻き込んだっけ?」
「一番巻き込んだのは、アナタ」
「距離で言えば、私が最も広かったか」
「範囲はわたしでしょうか」
『だから、次で決めてもらいたい』
「では、何かしら手を使って良いということか?」
『選択肢を、一つにすれば良い』
「良いのかよそれ、この秋の本質だろ?」
『全ては、最後の鍵の為に』
「鍵を手に入れないと、元々と違う形で秋が終わってしまうんですね?」
『これから始まるのは、恐らく最後に…』
「というか、その話し方は何?」
『……』
「あ、黙っちまった」
「やはり聞いてはいけないことだったようですね」
『……とにかく、だ』
「戻ったな」
「こだわりないなら元からそっちで話せば良かった」
『手段方法は任せる。なんとかして最後の鍵を手に入れさせてくれ』
「分かりました」
「やってやるか」
「了解」
「手段方法は任せるんだな?」
『やりすぎない程度にな。こっちはあちらとの手配をしてくる』
空間が歪み、声の一つが聞こえなくなった
「そんじゃま……その手段方法ってのを聞こうか」
「どうするんですか?」
「出来る限りのフォローはする」
「なんてことはない。ただ一つ…」
浮いているものが一つずつ消える
空間の空きに
秋の空きに
彰のいない空きに
空間の空きには、また再び、空間が産まれようとしていた