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fall〜coda〜autumn  作者: 井能枝傘葉
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5th day patternⅧ

~寄り道~


授業も終わり、放課後、今日は計画していた寄り道の為、商店街の方へやって来ていた。

メンバーは5人。俺、竜華、陽斗、山吹といういつもの4人に、雀耶さんだ。

「さて、着いたわけだが、どこ行くんだ?」

一番前を歩いていた陽斗がこちらを向いて訊ねた。

「とりあえず……皆、行きたい所は?」

俺が訊ね返すと、

「じゃあオレ、ゲームセンター行きてえ」

陽斗が一番に手を挙げて、一つ目的地を示した。

「うーん……りゅーちゃんはどこ行きたい?」

悩んだ末、竜華に委ねた山吹、

「そうだな……なら、駅前の雑貨屋はどうだろう?」

「お〜、いいね〜そこにしよう!」

竜華の提案に乗り、もう一つ目的地が示される。

「さくちゃんはどこ行きたい?」

「わたしですか? そうですねぇ……」

山吹に訊ねられた雀耶さんは少し考えると、何かを思い出したように訊ね返す、

「すみません、今日って何日でしたっけ?」

「え? ちょっと待って…」

山吹は携帯を開いて日付を確認、雀耶さんに伝えると、

「では、本屋さんなどいかがですか?」

新たな目的地が示された。

「よし、じゃあ最終判断は彰がしてくれ」

「え? なんで俺なんだよ」

「そりゃまだ意見言ってないのお前だけだし。とりあえず一番目に行く所決めてくれ」

「俺が決めていいのかよ」そう訊くと、4人は揃って頷いた。

そこまで言うなら、時間も考えてさっさと決めるか……




 〇雑貨屋  ☓本屋  ☐ゲームセンター




Select → 〇





駅前の雑貨屋。ここは名前の通り、雑貨を、まぁ色々と置いてある店だ。

特に小物が多く、生徒にも人気がある。

「でもなー。オレはどうもこういうの苦手だわ」

「ま、男だからな」

言い直そう。女子生徒に人気がある。

「うわ~! 見てみてりゅーちゃん、コレかわいい!」

「本当ですね。ほら見てください竜華」

「ふむ、確かに良いな」

女子3人はわいわいがやがやと店の中、主に小物を辺りを見て回っている。

どうして女子ってのは、こう買い物が長いのかね。

「……ん?」

まぁ中には、例外もいるわけで。

「りゅーちゃんりゅーちゃん! コッチもいいよね!」

「う、うん……」

「見てください竜華、コレ、竜かに似合いませんか?」

「あ、あぁ、そうだな……」

竜華はな、昔から可愛い物よりはカッコいい物とか機能的な物が好きだから。実はああいう空気に不慣れなんだ。

「紀虎がいれば、同じ波長で、あの場が竜華にとっても良い空間になるんだが…」

「呼んだか?」

「!?」

気が付いたら、紀虎が隣に立っていた。いつの間に!?

「2人が見えたから入ったんだけど。お前ら2人?」

「いや、竜華達も一緒だ」

あ、ちょうど良いな。


紀虎を竜華達の所へ送ると、竜華も気を楽にして会話に交じっていた。


その後、紀虎も含め6人で次の場所に向かった。







~寄り道の後~


「もう秋休みなんだね~」

「それが終わったら、後は卒業式に一直線だな」

「わたしとしては、もう少し皆さんと一緒にいたいですけどね」

「この時期に転校してきたのだから、仕方のないことだ」

「そうそう、まだ時間はあるんだから、その間に充分楽しもうぜ」

寄り道の後、俺達は駅前のハンバーガー屋に来た。各々注文を終えて、奥の方にある机に集まった。

「でもよ、秋休みって妙に短いよな。春休みとか冬休みくらいあってもいいんじゃね?」

「紀虎、秋休みとは三学期制から二期制になったための休みなんだ。その為に夏休みは少し短くなっているんだぞ」

「げ、マジかよ。竜華よく知ってんな」

「昨日もそんな話になったからな」

「そういえばさ~」

それは、山吹の何気ない一言が発端となった。


「秋休みって、英語でなんて言うんだろうね~」


『……』

それを聞いて、俺達は互いに目を見合わせた。

「秋、だろ、ならオータムは入ってるよな?」

「夏休みは、サマーバケーションだから……」

俺と陽斗の言葉を聞いて、雀耶さんが、

「では……Autumn Vacation ではないでしょうか?」

そう言うと、竜華は首を振った。

「いや、Vacation とは夏休みほど長い休日に使う言葉だ。秋休みほどの長さなら……Holoday を使うのがいいだろう」

「じゃあ、Autumn Holiday ! これでどうだ?」

紀虎の言葉に、竜華は再び首を振る。

「秋にも二つの言葉があるんだ。Autumn ともう一つ、fall 。元々はfall of leaves 、葉が落ちるという意味で、落ちるという単語のfall には、秋の、という意味が取れる。秋休みは、秋の休み、と言えるわけだから……」

あごに手を当てて考え込むしぐさをする竜華。

「……何か、すごい事になってるぞ?」

「う、うん……そこまで思ってたわけじゃないんだけど……」

「ナツ、言い出したからには収めてくれよ」

「む、むりだよぉ」

俺と陽斗、発言者の山吹さえも三人の中に入れず完全に蚊帳の外だった。

「あ、彰、お前止めてこいよ」

「ちょ、なんで俺なんだよ」

「青川と幼なじみだろ?」

そんな理由かよ。

まぁ止めたいのは事実。蚊帳の外から出れればいい。なら、今の中心になっている竜華をどうにかすれば、紀虎と雀耶さんも止まるだろう。

「おーい竜華……」

「そうだな……fall Vacation だな」

「おーい…」

「んだよ竜華、Vacation 使わないって言ったじゃんか」

「確かにそう言ったが、夏休みに使っていることを考えたら、その流れで使うと思ってな」

「……おーい」

「えー、なんかズリィぞ、それー」

「そうですよ、竜華が使わないっていったんですよ?」

「うっ……雀耶まで、というか雀耶が使ったじゃないか!」

「……」

ダメだ。止められんねぇ。



それからしばらく三人の口論は続いた。

結果、

竜華はfall Vacation

雀耶さんはAutumn Vacation

紀虎はAutumn Holiday

に落ち着き、そうなってから俺が声をかけていたことに気づき、どれが当たりか訊ねてきた。

なので、俺は一番そうだと思ったのを答えておいた。



それは―――

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