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fall〜coda〜autumn  作者: 井能枝傘葉
47/65

5th day patternⅦ

〜席替え〜


朝、HRで教室に入ってきた谷門先生。

挨拶が終わり、教卓に荷物を置いた途端、

「席替えするぞ」

と言った。

その言葉に、もちろん皆はざわざわと騒がしくなる。

なんでそんな急に席替え? ではない。

やっぱり今週もあるんだ。の方でだ。

実のところ、このD組では毎週席替えが行われている。というのも、もう半年も経たないで卒業するこのクラスメイト達に、どうせなら色んな人と隣の席になればいい、という先生の気持ちで、週の終わりに席替えが行われるんだ。

「移動の準備が出来たのからくじを引け、一限に被らないよう早めにな」

教卓の下から毎週使われるくじの入った箱が取り出して置き、谷門先生は黒板に席と番号を適当に振っていった。

皆移動の準備を終え、先に引こうと思う山吹のような人は教卓の前に集まり 、後でのんびり引こうと思う陽斗のような人は集まって喋ったりと、大きく2つに分かれていた。

俺はどうするかな……




   〇早く引く ☓中盤辺りで引く △最後の方で引く




〇……さっさと引いちまうか。

選択肢が多い方が何かと良いだろうし。





Select → 〇






最初に並び始めた列に入り、教卓の前へ。

順番が来て、箱の中に手を入れ、後ろのことを考えて素早く引く。

後ろの邪魔にならないところに移動してから、開いてみ見た。

番号は……

「26番」

黒板を見てどこの席か確認。番号は適当に振られているので、1番だからって一番前とは限らない。一番後ろの可能性もあるが……

「真ん中辺りか」

4列目の4番目。前の席から一つ前と左に動いた席だ。

するとその時、

「ん、彰も真ん中」

隣に並んだ竜華が、自分のくじを見ながら訊いてきた。

「そういう竜華はどこだ?」

「私は、17番だから……お?」

「あー、隣だな」

竜華の新たな席は、3列目の4番目。俺の右隣だった。

「……なんか、アレだな」

「あぁ、新鮮味ゼロだな」

小学校から同じクラスの竜華。席が隣になることなんて、珍しくもなんともない。

自分の席に戻って荷物を整え、席替え後の席に向かう。

その隣に、竜華も座る。

「まぁ、一週間。隣でよろしく、っつうことで」

「一週間か……途中、秋休みが入るから、ほとんどこうして並ぶことはないだろうが。そうだな、隣でよろしくだ」




かくして、俺と竜華は何度目かの席隣どうしになった。







~購買戦争~


昼休みの購買は……戦争だ。

昼飯を求める生徒たちが学年問わずに訪れ、集い、そして求める。

少し遅れれば波は去るが、そこに残るのは小物のみ。

波にのまれたくない者たちは、昼休みの前に買いに行くのだが、昼休みにならなければ手に入らない物もあるので、生徒たちはそれを求めて、今日もここに集うのだった……

「……って感じなら、少しは見方が変わるよな」

「変えてもあまり意味はないだろう。どちらにせよ、ここへ行く必要があるのだから」

「だよなー……」

という訳で、ジャンケンに負けた俺と竜華は、昼の購買へとやって来ていた。

「ま、それだったら少しは楽しめそうだけどな」

途中で紀虎と出会い、共に購買の前へ。すでに人だかりが出来ていた。

「とにかくだ、2人の分も含めて昼食を手に入れるぞ、私は奈津保の物、彰は藍田の分を頼むぞ」

「へーい」

とりあえず何かは買わないと昼食抜き。それは避けないといけない。


どっからどう攻めてみるか……




   〇横から回り込む  ☐正面突破で  △少し状況を見る




〇……やっぱりいつも通りに、横から回り込むか。

一番入手率も高いし。

「そんじゃ行くか、竜華、彰、健闘を祈るぜ!」

紀虎の声を合図に、俺達は動き出した。





Select → 〇






「さて……」

やはり人の少ない横側に到着。

こっちは買い終えた生徒が出ていく道がある為、あちらへ進む人は必然的に少なくっている。

そこを上手く利用し、前へと進んでいく。そして、途中で本当の列に潜り込む。

言ってしまえば、堂々とした横入りなので、たまに失敗することもある。が、成功したときの入手率はかなりのもんだ。


ふむ、そろそろだな……


タイミングを見計らい、一瞬空いた隙間に跳びこむ。

すると、

「む、彰!」

「げ、竜華!」

偶然、竜華も同じ隙間を狙っていたらしく、同じタイミングで入ってきた。

ただ、2人も入れるほど空いてたわけではないので、そのまま飲み込まれてしまった。

「くっ、しまった」

「落ち着こう竜華、ゆっくり前の方へ行けばなんとかなる」

「あぁ、ここまで来てボウズは許されない。進むぞ、彰!」

「おぉ!」

……なんか、いつもと少し違くないか? 色々と。

ここ、一応購買だからな? いやまぁ、戦争に変わり無いけど。

「よし、突破したぞ!」

で、ゆっくりと、しかし確実に前へと進み、購買の最前線へと到着。

無事に、昼食を手にすることが出来たのだった。







……やっぱり、なんかやり過ぎ感があるよな?

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