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fall〜coda〜autumn  作者: 井能枝傘葉
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4th day patternⅦ

〜朝〜


―――目覚ましとして使っている携帯のアラームが鳴り響いた。

「ん……朝か」

携帯を取ってアラームを切る。

ふと時間を見ると、

「……あれ?」

何故か、いつもより早かった。

? 今日何か用事でもあったっけ? 思い返してみると、

「……あぁ、そうだ」

思い出した。昨日、竜華に合わせるために早く設定して、そのままだったんだ。

「昨日……」

昨日の帰り道を思い出す。雀耶さんのあの言葉を聞いて、走り去った雀耶さんを見送った後―――特に何も無く寮に帰って来たんだよな。

まぁ仕方ない、今から二度寝したら絶対遅刻するから起きよう。

しかし、いつもより全然早いな、


どうするか……




  〇早く出てみる   ☓いつもの時間に出る




〇……早起きは三文の得って言うしな。アラーム設定のミスも何かの縁だ。

速めに出てみよう。




Select → 〇






いつもより早く寮を出て学校へ向かう。

周りには普段の登校中には見かけない、昨日も見た名前も知らない生徒がちらほらいる。

寮から学校への距離を普通に歩いたとして、約十分前に着くのが一番寮生の多く歩く時間帯。今はそれより三十分も早い時間だ。

これだけ早く行くのにはそれなりの理由はあるのだろう。日直とか、静かな内が良いとか、教室へ行って宿題をするとか、後は―――

「彰?」

後ろから聞きなれた声で名前を呼ばれた。立ち止まってると、声の主が隣に並んだ。

「おっす、竜華」

「あぁ、おはよう」

そのまま並んで学校へと向かう。

「珍しいな。彰はこの時間だったのか?」

「いや、アラームを間違えてな。昨日のまま―――」

そこでふと、思い出した。昨日は、一昨日の竜華に謝るためにアラームを速めた。そのアラームでいつもより早く出て、こうして竜華に合うとはな。

「……彰」

急に、竜華の声のトーンが落ちた。元より女子にしては低めな声がトーンを落とすと、かなり耳に入る。

「な、なんだ?」

その声の変化に思わず声がつかえる。

「その……一昨日も、昨日も、二日も続けて、すまなかった」

「え?」

「昨日もよく寝ていたので起こさずに席へ戻した後、放課後には起こそうと思っていだが先生に呼ばれ、それが出来なかったんだ」

……その寝た原因が竜華の料理だとは、気付いてないか……

「気にするなよ。起きなかったのは俺が悪いんだから」

「し、しかしな」

本当に気にしてなんだが。こういう時聞き分けが悪いよな。

「それにこんなことで謝られてたら、俺はいったい何回竜華に謝ればいいんだよ」

竜華にという訳ではないが、陽斗達と組んで何人の人に迷惑をかけたか。

「む……そう考えれば、そうだな」

納得してくれたみたいだ。

「だが、それでは私の気がすまない。なので謝っておく」

「あぁ、分かった」

「……そして、昼休みを楽しみにしているといい」

何か、小声でつぶやいた気がした。

「何か言ったか?」

「いや、気にするな。いずれ分かる」

「?」

なんなんだ? いったい……







~休み時間~


授業が終わり、休み時間になったところで、こんな会話が聞こえた。

「なぁ、あのプリントやったか?」

「まぁね、でも昨日出して今日提出はヒドイよね」

プリント? そんなのあったか?

「よっす彰、お前プリント終わったか?」

陽斗が訪ねてきたが、全く知らないぞそんなの。

まさか……

「陽斗、そのプリントが出たのって、昨日の5限か?」

「そうだけど?」

俺は机の中に手を入れ、中を探ってみる。すると手に紙のような物が触れた感触があり、掴んで引き出してみる。

「……コレか?」

そこにはくしゃくしゃになった白紙のプリントがあった。

「どう見てもやってないな」

昨日の5限と言えば、寝ていた時だ。一番後ろの席だし、渡されてはいたんだな。

この授業は、まさに次の時間じゃないか。

「陽斗、写させてくれ」

「無理だな、なぜならオレもやってないからだ!」

「いばることじゃないよな?」

「彰を頼るつもりだったんだけどな。ここはお互いに誰かに写させてもらうしかないぜ」

「だな」

と言っても、誰にだ?


写させてくれそうで、頼みやすそうなのは……


  〇やはり竜華だ   △玄平はどうだ?




〇……竜華は絶対やってるだろうけど、写させてはくれないだろうな……

でも、他に思いつく人もいないし、怒られる覚悟で行ってみるか。

「よし、お互い頑張ろうぜ」

「だな、オレは……ナツ辺りに訊いてみるわ」

互いの健闘を祈り、俺達は行動を開始した。

目指すは、竜華だ。





Select → 〇






竜華は自分の席に座っていた。

「竜華、ちょっと良いか?」

「ん? どうした彰」

「昨日の5限…」

「写させないぞ」

たった7文字で答えを当てただと!?

「そ、そこをなんとか」

「写すことは、自分のためにならん」

「昨日の5限にプリントをもらったことなんて知らなかったんだよ。だから頼む!」

手を合わせて懇願すると、竜華は腕を組み、

「ダメだ」

バッサリと断った。

「……」

しかし、俺がショックを受けていると竜華は机の中から筆箱を取り出した。

「え……まさか、代わりに書いてくれ…」

「そんなわけないだろう」

ですよねー。

「だが、私がしっかり教えてやる。だから自分で書け」

そ、そう来たか……だが、白紙を出すよりはマシか。

「分かった。サンキューな、竜華」

「ふっ、礼なら全て書いてから、だろ」

それもそうだ。

と、その時、

「彰! 青川!」

「うわーん! りゅーちゃーん!」

陽斗と焦りまくった山吹が駆け寄ってきた。それを見ただけで、竜華は理解したらしい。

「……まさかとは思うが、奈津保?」

「お願い! 写させて!」

「ついでにオレも頼む!」

2人揃って俺と同じ白紙のプリントを見せつけた。

「……」

呆れたように2人と俺を見た竜華は、

「……はぁ、仕方ない。だが、私は教えるだけだぞ」

ため息をつきつつも、3人同時に丁寧に教えてくれた。

そして、なんとか3人共次の授業に間に合わせることが出来たのだった。

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