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fall〜coda〜autumn  作者: 井能枝傘葉
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Autumn Holiday Ⅰ

始まったのは、選択肢の一つだった『   』

「明日から秋休みだが、部活動は普通にあるから間違えないようにな」

帰りのホームルーム、谷門先生の挨拶が終われば、秋休みだ。

クラス中皆、まだか早くしてくれと声に出さないが、思っている。

「よし、じゃあ終わりだ。秋休みにあまりハメを外すんじゃないぞ。日直、号令」

日直が速やかに全員を立たせ、令をする。

その瞬間、秋休みになったクラスメイト達が一斉に騒ぎ出した。

待ちに待った休日に予定を立てる話を者、部活へと向かう者、何か予定があるのだろう教室を出ていく者とに別れている中、俺達はその一番目に属していた。

「竜華、今日はどうするんだ?」

「すまないが、今日明日で帰郷する予定でな、手伝いに行くのは明後日からになる」

「そうか、じゃあ俺一人で行くわ」

「悪いな。紀虎にもそう伝えておいてくれ」

竜華が教室を出て行くのを見送ってから、俺も行動を開始。まずは携帯を開いてメールを見た。


陸上部の部室前に集合な!


昨日、紀虎から届いたメールだ。

陸上部の部室は……確か、体育館の方だったか。







「ここ、だよな?」

知り合いに付いて行って来たくらいしかない陸上部の部室に、なんとか辿りついた。『陸上部』と書かれた看板もあるので、当たりだろう。

部室の扉前には誰もいないが、扉の奥には気配を感じる。それは部員だろうから、どうやら手伝いの生徒では俺が一番乗りのようだ。

陸上部部室の扉を叩き、中の人を呼ぶと。中から体操着の生徒が顔を出し、俺と目が合った。

「お、緑葉じゃねぇか、どうしたんだ?」

その男子生徒は、先ほど言った俺の知り合いだった。

「よっす西金、いや、陸上部部長って呼んだ方がいいか?」

西金(にしがね)(つよし)。三年B組で、現陸上部の男子部長だ。

「いつも通りでいいぜ。もしかして手伝いにきてくれたのか?」

「あぁ、紀虎に頼まれてな。ここで良いんだよな?」

「おー助かるぜ緑葉、とりあえず先生が来るまで待っててくれ」

その時、部室からもう一人生徒が出てきた。こちらは制服姿で、俺と西金共通の知り合いだった。

「よっす中紫。お前も手伝いか」

「うん、剛と表方さんに頼みこまれてさ」

中紫(なかむらさき)(しょう)。西金と同じB組で、一年生の時は同じクラスだった。

その時はよく話したが、二年生で組が分かれてからは少なくなり、それにあの時以来…………いや、これは語ると長くなるからやめておこう。

西金と一緒に来て部室の中で喋っていたところに俺が来たので、どうやら中紫が本当の一番乗りだったらしい。

「この時点で2人。後何人集まかっな」

部室前の広場でだべっていると、西金がそう言った時、

「あ、すいませーん」

声に振り返ると、こちらへ歩いてくる2人の生徒を発見。

共に女子で、どちらも色んな意味で有名だった。

「陸上部の部室って、ここでオッケですか?」

先ほどから喋っている方は陽花(ひばな)。二年生の夏休み明けにC組へ転校してきたという変わった経歴を持っている。

「アンタ等も手伝いに?」

「そっす、リリに誘われたんで」

「……ん」

今もこくりと頷いて一向に喋らない方は七々橋(なのかばし)。陽花と同じくC組で、その無口っぷりも変わっているが、それ以上に、なぜか常に傘を持っているという変わり者だ。

この両極な2人が、友達というのも変わっているが。

「リリって……あ、押川か」

押川(おしかわ)とは、A組の女子で、陸上部の女子副部長。

陸上部はその人数の多さから、男子と女子にそれぞれ一人ずつ部長と副部長がいる。

ちなみに女子の部長は先ほど少し名前が出たB組の表方(おもてがた)。男子の副部長は面識は少ないがA組の篠目(ささめ)。だが現在は受験の為、不在らしい。

「これで4人か、結構幸先良いんじゃねぇか?」


――――――西金がそう呟いてから、数分後。


「なぁ……こんなに人数必要なのか?」

「い、いや……正直10人もいれば良いと思ってたんだが」

陸上部部室前には、一~三年生がずらりと集まっていた。というか集まり過ぎた。

集まり過ぎて統率がとれていず、皆思い思いに回りの生徒と話したりなんなりしている。

とそこへ、

「おいおい、この人数は何だよいったい」

更衣室含め部室が別の場所にあった陸上部女子の面々が現れた。

「ひょっとしてコレ、全員手伝ってくれる人? うーん、情報ばら撒きすぎたかな……」

女子部長の表方が集まった生徒達を見回しながらあっけにとれられていて、

「あ! みゃーさんとしーお、来てくれたんだね!」

副部長の押川は自らが呼んだ2人に声を掛けていて、

「来てくれたか、彰」

紀虎は俺を見つけて近寄ってきた。

「竜華と雀耶さんは、明後日から来れるってさ」

「そっかー、でもこんだけいるからな」

「あぁ」

改めて、集まった人数を見る。一クラス強くらいいるな。

「さすがに多すぎるよな……」

仕方ねぇ、と呟いた西金は、

「集めておいて悪いけど、少し人数制限するぞ。先生が来る前に終わらせたいから手伝ってくれ」

「りょうかーい」

「は~い」

部長副部長達により、生徒の選別を開始した。



秋休みが始まり、進むべき道が見えてきたという感じです。

しかし、これはあくまでも一つの道、まだまだ話は続きますので、どうかご拝読を。


それでは、

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