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fall〜coda〜autumn  作者: 井能枝傘葉
25/65

5th day patternⅢ

~授業(美術)~


授業の中には、2時間続けて2クラス合同で行うものがいくつかある。

今日もそのうちの一つ、美術があった。

「今日の内容はデッサンだ」

美術の教師にしてB組の担任でもある石榴先生が今日の内容を伝えた。

「2人一組になって互いを書きあえ、提出は今日の終了までだ。始めろ」

先生の合図で2クラス、B組とD組の生徒達はがやがやとペアを探し始めた。

「りゅーちゃん、一緒に組もうよ~」

「あぁ、いいぞ」

竜華は山吹と組んだか。

俺も誰かと……

……と、ふと数人の姿が目に入った。

何故か分からないが、その中から選べと言われているような気がした。

誰に? というか、何の目的で?

まぁ別にいいけど……必ずOKしてくれるとも限らないわけだし、声をかけるだけかけてみるか……




   ☓雀耶さん  ☐紀虎  △玄平




☐……「デッサンかー……メンドクセーな。でも、とりあえず誰かと組む…」

「おーい紀虎、一緒に組…」

「おー彰、ちょうどいいや、組もうぜ」

決定早っ!?





Select → ☐






とくに何もなく、俺と紀虎は二人組になってデッサンを開始した。

「そういや彰、さっきアタシに声かけようとしてたよな?」

「結果としてそっちから誘われたけどな」

「どういう風の吹き回しだ? 普通なら藍田辺りと組むだろ?」

「あー……」

なんでだろうな?

さっきは何故か3人に目がいった……誰かに導かれるように。他の選択肢もあった筈なのだが、決められた3人しか選択出来ないような……そんな感覚。

いつからか……考えてみれば昨日の朝……いや、一昨日だ。何か忘れているような気がしてならない。

俺はいったい……何を忘れているんだ?

「おーい彰、悩むなら体制を変えずにしてくれー。描けねぇから」

「!?」

しまった。知らない内に動いていたらしい。

「わ、悪い……」

「はー、にしても、人の顔って描きにくいのな」

「紀虎、こういうの苦手だもんな」

一年生の時も同じクラスだったし、二、三年生も合同だったのでよく知っている。紀虎は典型的な体育会系なので、美術とか音楽の時は静かだ。

「デッサンっていうと、そっくりな必要があるからなー。せめて、イラスト風ならまだ楽なのに」

「あの、常敗ピンチヒッター、というのとかか?」

そう呟いた瞬間、カチリ、と何かのスイッチが入ったような音を聞いた。

「おぉ! ついに彰もジョウハイの面白さに気づいたか!」

目をキラキラさせた紀虎が顔を近づけて訊いてきた。

「え、あ、いや、別に……」

さっきのスイッチ音はこれか……

「ジョウハイの楽しさはな、 いつも同じ結末と分かっていながらも。読者を騙すところにあってだな…」

あぁ……語り始めてしまった……



結局、石榴先生が注意しに来るまで、紀虎はジョウハイを語り続けた。







~購買戦争~


昼休みの購買は……戦争だ。

昼飯を求める生徒たちが学年問わずに訪れ、集い、そして求める。

少し遅れれば波は去るが、そこに残るのは小物のみ。

波にのまれたくない者たちは、昼休みの前に買いに行くのだが、昼休みにならなければ手に入らない物もあるので、生徒たちはそれを求めて、今日もここに集うのだった……

「……って感じなら、少しは見方が変わるよな」

「変えてもあまり意味はないだろう。どちらにせよ、ここへ行く必要があるのだから」

「だよなー……」

という訳で、ジャンケンに負けた俺と竜華は、昼の購買へとやって来ていた。

「ま、それだったら少しは楽しめそうだけどな」

途中で紀虎と出会い、共に購買の前へ。すでに人だかりが出来ていた。

「とにかくだ、2人の分も含めて昼食を手に入れるぞ、私は奈津保の物、彰は藍田の分を頼むぞ」

「へーい」

とりあえず何かは買わないと昼食抜き。それは避けないといけない。


どっからどう攻めてみるか……




   〇横から回り込む  ☐正面突破で  △少し状況を見る




☐……ぱっと見で、正面に人が少ない気がするな。

ここは、正面から突撃してみるか。

「そんじゃ行くか、竜華、彰、健闘を祈るぜ!」

紀虎の声を合図に、俺達は動き出した。





Select → ☐






予想に反して、正面には生徒が集まっていた。

「マズったな……」

さっきから一向に前へ進めない。場合によってはこれ、何も買えないかも……

「お、彰、お前も正面突破か?」

隣に紀虎が現れた。どうやらこちらも正面突破を選んだらしい。

「そっちも苦戦してるみたいだな」

「苦戦? 何言ってんだよ彰」

紀虎はニヤリと笑った。

「舐めてもらっちゃ困るな。アタシはここから、本気を出すんだよ」

生徒の塊の中、両足のアキレス腱を伸ばすと、

「行くぜ!」

前へ走り出した。

生徒と生徒、そこに空いたわずかな隙間へ体制を低くして突撃する。

ぶつかって驚いた生徒達が驚いて、隙間が大きくなったところを抜けて前へ、前へと進んでいく。

その無理やりな方法に眉をひそめる生徒もいたが、紀虎は我関せずに突撃を続け、

「いよしっ! 到着したぜ!」

購買の前の方に到着した。

「スゲェな……かなり無理やりだったけど」

「おぉ!? 彰、お前いつの間に!?」

「ずっと後ろに付いてただけだが?」

あんな好機をみすみす逃す必要がないだろう。何人かには嫌な顔されたけど。そこは紀虎を見習って我関せず。

「ちょっとズルくねぇ?」

「策士と呼んでくれ」

「策士ズルくねぇ?」

混ぜやがった……

「まぁいいや。何か一個おごってくれれば許してやる」

「へーへー、飲み物でいいか?」

紀虎に助けられてここまで来れたしな。一個くらいなら安いものだ。

「オッケ、じゃあさっさと買おうぜ」

5日目の始まり、それと同時に、緑葉が疑問を抱き始めました。

これから先、選ぶのはいったいどういう道なのでしょうか……


それでは、

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