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fall〜coda〜autumn  作者: 井能枝傘葉
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Autumn Vacation Ⅰ

始まったのは、選択肢の一つだった『   』

「明日から秋休みだが、部活動は普通にあるから間違えないようにな」

帰りのホームルーム、谷門先生の挨拶が終われば、秋休みだ。

クラス中皆、まだか早くしてくれと声に出さないが、思っている。

「よし、じゃあ終わりだ。秋休みにあまりハメを外すんじゃないぞ。日直、号令」

日直が速やかに全員を立たせ、令をする。

その瞬間、秋休みになったクラスメイト達が一斉に騒ぎ出した。

待ちに待った休日に予定を立てる話を者、部活へと向かう者、何か予定があるのだろう教室を出ていく者とに別れている中、俺達はその一番目に属していた。

雀耶さんの記憶を思い出す。その為に集まった俺達4人は、席替えで隣同士になった俺達の席を中心に集まっていた。

「で、具体的に何をするんだ?」

「まずは、雀耶が思い出したという記憶を教えてくれないか?」

「はい、これは先日思い出したのですが―――」

雀耶さんは語り出した。




年代はおそらく、小学生の低学年の時

わたしはお母さんと一つある約束をしたんです

それは、ある景色を見せるということ

それ以来、その景色を求めてわたしは色々な所を歩き回っていたんです




「その景色って?」

「すみません、それは思い出せないんです……景色、というのは確かなんですが」

「ふむ……ならば、その景色を探すのが一番の近道だが……」

「でもどこだか分からないんでしょ? それじゃあ探しようがないんじゃない?」

確かに、せめてどういう景色かだけでも分かれば目星がつけられるんだけど。

「まぁ、とにかく片っ端から見て回るのが最善かな、どういう景色か分からない以上」

「もしくは何か特別な景色と仮定し、そこを探すか」

俺の案も竜華の案も適切だが、同時には出来ないな。

「じゃ分担するか、オレとナツで特別な景色の情報集めしてくるから、彰達はとりあえずこの辺の景色を見て回ってくるでどうだ?」

「そうだな、そうするか」

「よし決まり、行くぞナツ、まずは情報委員のとこだ」

「おっけ〜、じゃあまた後でね〜」

陽斗と山吹は教室を出ていった。

それを見送った後、竜華が席を立った。

「また後で、とは言ったが私達も動こう、とにかく近い場所を探ってみるんだ」







3人で商店街へ、まずは簡単に行ける場所を見て回った。

しかし、当たりはなかった。

「ここも違うか」

「すみません……」

「いや、謝ることはない、私達が自らしている事だからな」

これで七ヵ所目、めぼしい所は大方回りきった。後は細かい所か、今から行くには難しい所とかだ。

「今日はこれくらいにして、陽斗達の情報を待つか?」

「そうだな、情報委員に聞きに行ったのを使わないのは悪いからな」

「あの……今さらなのですが、情報委員とは、そういう委員会なんですか?」

「そういえば雀耶は知らなかったな、情報委員とは…」

竜華は説明を始めた。

情報委員会。その名前の通り、情報を扱う委員会だが、一つ変わっているのが、学校非公認だという事。

要は顧問がいないので、先生達に知られていない、生徒達の間でだけ活動している。構成人数不明の委員会だ。

「はぁ……凄い委員会なんですね」

「引っ掛かるところもあるが、情報は一品だ。それを待ってみよう」

「じゃあ、今日この後はどうする?」

まだ夕方になったばかりという時間だ。

「それでしたら」

雀耶さんは少し前に出て、こちらを振り向いた。

「お二人に会っていただきたい人がいるんですが、これからお時間大丈夫ですか?」

俺と竜華は顔を見合せ、そして雀耶さんを見て、

「構わないぞ、特に用もないからな」

「俺も大丈夫だよ」

揃って肯定した。

「ありがとうございます。では、行きましょう」







最寄り駅で電車に乗って一駅、隣町に到着した。

この隣町商店街と、学校最寄り駅の商店街は少し変わっていて、向こうとこちらで一つ、と言われたことがあるように向こうにある店がこちらに、こちらにある店は向こうにない。ということがあった。

だが、それも一年前の話。この一年でそれはほとんどなくなかったが、2つだけ、こちらにしかないものがまだある。

一つが床屋で、もう一つが、今俺達が向かっている場所だ。

「ここです」

「ここは……病院じゃないか」

そう、病院だった。

「ひょっとして、会わせたい人って……」

ここにいる、というのは当たり前だろうけど。その人というのは。

「おそらく、緑葉くんが思っている人で当たりだと思います」

自動ドアを抜け、病院の中へ入る。

「一応、マナーモードにしておくか」

竜華は携帯を取り出し、マナーモードにしていた。

「真面目だな、そんな簡単に鳴らないだろ」

「だとしても、備えはしておいて損はないだろう」

「ふふふ、そんなに気にしなくても、その程度では何も言いませんよ」

雀耶さんの後に続いて病院の中を歩く。エレベーターに乗って3階に上がり、病棟を進んである部屋の前で止まった。

そこは一人用の個室で、名札にはこう書かれていた。


『朱井 凰花』


秋休みが始まり、進むべき道が見えてきたという感じです。

しかし、これはあくまでも一つの道、まだまだ話は続きますので、どうかご拝読を。


それでは、

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