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fall〜coda〜autumn  作者: 井能枝傘葉
16/65

Go to  『   』Ⅰ

部屋に入った途端、携帯が鳴った。

開いてみると、メールの着信、差出人は……

「雀耶さん?」

そういえばさっきアドレスと番号交換したんだったな。

メールを開いて見る。内容はこうだった。


 今、お時間大丈夫ですか? 寮の前に居るのですが、少しお話ししませんか?


「寮の前?」

なんでまた急に……まぁ、待たせたら悪いから。

俺は部屋を出て、寮の前へ向かった。入り口前に立っていた雀耶さんを見つけ、声をかける。

「雀耶さん」

「緑葉くん、わざわざありがとうございます」

「うん、でもここまで来なくてもメールで良かったんじゃないの?」

「いえ……これは、直接伝えたかったので」

急に雀耶さんの声のトーンが落ちた。多分、それだけ重要なことだという表しなんだろう。

「実はですね……緑葉くんに、お願いがあるんです」

「お願い?」

「はい……以前、わたしは記憶喪失だという事はお話ししましたよね?」

「確か、小学生の時をだよね?」

「それなのですが、実は一つ、思い出したことがあるんです。それで……これを糸口に、記憶を全て思い出そうと思うんです」

ひょっとして……

「それを……俺に手伝ってくれと?」

お願いと言っていたなら、そういうことだ。

「……はい」

予想通り、雀耶さんは小さく頷いた。

「もちろん無理にとは言いません。緑葉くんが良ければ、そちらの時間が空いた時にでもお手伝い頂けたら…」

「うん、いいよ」

「え……?」

あっさりと決断した俺に、雀耶さんはきょとんと目を丸くした。

「い、いいんですか? そんなにあっさりと決めてしまって……」

「そりゃあ、わざわざこうして来てくれたのに断るなんて悪いし、それに、秋休みに入るから時間も空くしね」

「……そう、ですか……」

「あ、でも俺だけじゃなくてさ、竜華とかにも手伝ってもらおうよ」

「それなら大丈夫です。竜華と山吹さんには既にお話ししてありますので」

「なら、俺は陽斗に訊いてみるよ」

「はい。……あの、緑葉くん」

「ん?」

「その……ありがとうございます」

前にもこんなことあったな。

「どういたしまして、頑張って思いだそうね」

「はい!」

あの時は出来なかった。雀耶さんは力強く頷いた。




こうして、俺の秋休みは雀耶さんの記憶探しの手伝いとなった。




5th day fin




Next go to → 『   』

ついにこの物語の根本に近づいてきました。と言っても、まだまだ序盤の根本ですが、ここを終えた時、ようやくこの物語の意味を知ることになるのでしょう……おそらく。もう分かっている方もいるかもしれませんが。


それでは、

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