4th day patternⅡ
~放課後~
5限の終了間際、それは突然訪れた。
うっ……ま、マズイ……
かなり……眠い……
授業も終わりが近く、無理に聞いてる必要はないだろう、先生も蛇足と思いつつ話している。
だが昨日の今日だ。またかなりの時間寝てしまうかもしれない。
別に予定とかはないが、放課後を、睡眠で費やしていいのか?
△まぁ、別にいいか ☓いや、もったいない
☓……いや、ダメだ。
さすがに昨日と同じ過ちをするわけにはいかない。
今日はこの睡魔に勝って、普通に誰かと帰るんだ!
ムダにテンションを上げながら、授業終了までの残り数分、授業そっちのけで。睡魔との戦いが始まった。
Select → ☓
――-授業終了のチャイムが聞こえた。
や、やった……勝った。
昨日は勝てなかった睡魔に……勝ったんだ!
……で、だからどうしたという感じだがな。
先生が教室を出ていき、生徒達が各々の行動に移り始める。教室を出ていく者、友達どうしで喋り合う者と様々。
俺はムダに上げたテンションを下げつつ教科書を鞄に終いながら、喋り声に耳を傾けてみた。
主な内容は、秋休みの使い方だった。
そうか、後2日行けば秋休みなんだな。
まぁいいや、とりあえず帰ろう。誰か一緒に帰れる人は……
「緑葉くん」
隣の席から雀耶さんに呼ばれた。
「一緒に帰りませんか?」
「うん、他にも誰か声かけてみるよ」
その後何人かに声をかけると、竜華、陽斗、山吹が集まったので、5人で帰路についた。
「後2日で秋休みかー、もうすぐだな」
「でも秋休みってそんなに長くないよね」
「本来は三学期制から二期制になった為の休日だからな、本来短くなった夏休みの代わりなんだ」
「そうなんですか、竜華は物知りなんですね」
ここ最近に比べたら、かなり賑やかな帰路だ。
最近……そういえば、この一週間は出来事の多い日ばっかりだったな。
日直だったり、雀耶さんが転校して来たり、竜華と紀虎の勝負が二回もあったり、玄平と配当係の仕事をしたり……妙に、やけに記憶に残っている。まだ新しい事だからかもしれないが。
今日もそうだった。幾つかの出来事が、普段の当たり前な事の筈なのに、記憶として刻み込まれたかのように。
なんだこれ? まるで、それが何かをするために必要なもののように。
例えるなら、扉を開ける、鍵のように……
「緑葉くん?」
「!?」
急に名前を呼ばれ、俺の意識は現実に戻った。
どうやら回りが見えなくなるほど考え込んでたみたいだ。
「大丈夫ですか? ぼーっとしてましたけど」
「う、うん、何でもないよ」
「そうですか、では、緑葉くんも行きますよね?」
「え? 何のこと?」
「竜華達と話し合って、明日の帰り商店街へ行こうということになったんですよ。緑葉くんも行きますよね?」
いつの間にかそんな事が決まってたのか。
「うん、俺も行くよ」
こうして、明日の予定が一つ決まった。
『 』
―――晴れた昼下がり
場所は、どこかの公園
ブランコ、すべり台、鉄棒と、一通りの遊具が揃った大きめな公園だ
公園では今現在遊具を使用したりしなかったりしながら子供達が賑やかに遊んでいる
その中に、唯一人ベンチに座っている子供がいた
一人空を眺め、手に持ったスケッチブックに逆手に持ったえんぴつで何かを描いている
その姿を、数人で遊ぶ子供達の中の一人が見つけた
その子供は共に遊ぶ子供達に何か伝えると、一人ベンチへ向かい―――
「……夢か」
というところで目が覚めた。
夢なんて久しぶりに見たな……というか。
「今の……なんだ?」
状況から考えれば、俺が子供の頃に公園で遊んでいた時の出来事だ。あの公園にも見覚えがあるし、きっとそうだ。
そして多分、ベンチに座っている子のところへ向かったのが俺だ。
じゃあ、その時ベンチに座っていた。あの男の子はいったい誰だったんだろう?
「なんか、見覚えがある気がするんだよな……」
昔の出来事なら当たり前だが、ひょっとして、今同じクラスにいる誰かかもしれないと思った。だが、
……いたか? あんな奴。
「んー……?」
首を傾げて考えてみる。
あの時の俺が小学生だとしたら、今は高校生だからあの男の子もあれから大分変化しているだろう。
だとしても、全く覚えがないな……
「……まぁ、いいか」
今考えても多分答えは出ない。
ひょっとしたら、学校に行ってそいつを見てぱっと思い出すかもしれないからな。
よし、学校行くか。
4th day fin →
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四日目が、一応、終了いたしました。
それはつまり、まだ何かがある、ということでもあります。
それはまた、しばらく先の話です、引き続き次の日をお楽しみください。
それでは、