またね
掲載日:2026/07/06
下手くそなので期待しては読まないでください
「今日も来たよ」
「懲りないね、ほんとに」
俺は汗をタオルで拭いながら、病室の扉をそっと閉めた。病室特有の消毒感が軽く鼻を刺す。秋の両足の下敷きになっている布団は、窓から刺す光によって暖かくなっている。
すると、秋は少し羨ましそうにこちらを見つめて言った。
「外、暑かった?」
「ほんっと暑かったよ」
「確かに、7月とは思えないほどね」
「試合どうだった?」
「2-1で勝てたよ」
「おぉ!おめでと!僕がいなくても関係ないじゃん!」
拓海はその言葉を聞いて、少し寂しくなったようだ。
「俺残り10秒とかで点決めてさ。みんなで大盛り上がりだったよ」
俺は誇らしげに自慢した。こんな話をしてもいいのかとも思ったが、そんな俺を見て秋は満面の笑みで聞いてくれる。
「そっちの調子は?」
「案外大丈夫かも」
「そう、絶対元気なれよ」
秋は前にがんが発覚して以来、ずっと病院にいる。それからずっとお見舞いに来るが、前より弱っているように感じる。
お茶のグラスの雫は全て垂れてぬるくなった。俺は秋に「またね」と言って病室の扉を閉めて、外へ出る。日は落ち、辺りは橙色に染められる。ふと、拓海がスマホを見ると、メッセージが溜まっていたようだ。慌てた拓海はすぐさま自転車に乗り、風に突っ切って行った。




