ep3 その胸、触れるべからず
毎日7時投稿
異世界の環境保全…なんてのを思いついたのですが、先に書いてる人がいたら、ごめんなさい。けど、思いついたので垂れ流します。
この物語はキャラクター名や土地名、誤字脱字の確認にAIを使用しています。
全12話で完結?済みです。
第3話:森の守護者は「板」だった?
「うぅ……、アキラ様ぁ、私の『天使の輪』、本当にこっちに飛んでいったんですかぁ……?」
天使リリィが、涙目で自分の頭の上を空中で手探りしながら、俺の背中にしがみついてくる。
俺たちが足を踏み入れたのは、女神のパンフレット(任務表)にも『立入禁止:エルフの聖域(※絶賛交渉中)』と書かれた、鬱蒼とした「禁忌の森」だった。
「……それにしても、静かすぎるな」
アマゾンのジャングルだって、もっと生命の気配があった。
ここは、植物の緑は濃いが、動物や魔物の鳴き声が一切しない。まるで、精巧につくられた剥製の森のようだ。
「……穢れた人間と、羽の生えた騒がしい肉塊め」
不意に、頭上から冷ややかな声が降ってきた。
見上げると、巨大な古代樹の枝の上に、一人の少女が立っていた。
陽の光を浴びて輝く、ショートカットの銀髪。尖った耳。
そして、その手に握られた、俺の身長ほどもある巨大な弓、エルフだ。
「……俺は魔物自然保護官のアキラ。こっちは……、まぁ、その、迷子の天使だ。……お前の足元にある、そのキラキラした輪っかを探しに来た」
俺は、彼女の足元で、木の枝に引っかかっているリリィの『天使の輪』を指差した。
エルフの少女は、眉をひそめて輪っかを見下ろすと、フンと鼻で笑った。
「これか、森の調和を乱す、くだらない玩具だと思った。…欲しければ、力ずくで奪ってみせろ」
彼女は、流れるような動作で弓を引き絞り、俺の眉間に狙いを定めた。
「ひゃうんっ! 攻撃的ですぅ! アキラ様、私の後ろに隠れてください!」
リリィが、俺の前に飛び出した。
……が、その瞬間、俺の視界は、彼女の修道服のボタンが今にも弾け飛びそうな、豊満すぎる胸に遮られた。
「……リリィ、前が見えん」
「え? ……ああっ! す、すみませんっ!」
リリィが慌てて胸を隠そうとする。……が、その動作がかえって「凶器」の存在感を強調する。
枝の上のエルフの少女は、その様子を見て、顔を真っ赤にして……、いや、青ざめて、弓を握る手に一層力を込めた。
「……汚らわしい。森の精霊たちが、お前のその、……無駄に肥大化した脂肪の塊を見て、不快がっているわ!」
「えっ……? 脂肪の塊……?」
リリィが、ポカンと自分の胸を見下ろす。
エルフの少女は、枝から軽やかに飛び降り、俺たちの前に立ちはだかった。
「私は、森の守護者、セレーナ。……いい、羽の生えた肉塊。本当の『守護』に必要なのは、そんな邪魔な肉じゃない。……風を読み、気配を消し、一撃で獲物を仕留める、このスレンダーな、……洗練された肉体よ!」
セレーナは、自分の(リリィとは正反対の)鉄壁のような胸を張って、誇らしげに言った。……が、その声は少し震えている。
「あ、あの……。私は天使の見習いで、リリィです。……セレーナさんの胸、……とっても、……合理的で、素敵ですね?」
リリィが、善意100%で地雷を踏み抜く
「うるさいっ! 誰が素敵だ! ……この、……巨乳女ァァ!」
セレーナの顔が、今度こそ真っ赤になった。
彼女は、弓を俺たちに向け直した。
「問答無用! 森を汚す侵入者は、私が排除する!」
セレーナが放った矢は、寸分の狂いもなく俺の眉間へ…と見せかけて、俺の足元の地面に突き刺さった。
「威嚇か」
「次は、外さない…と言いたいところだけど」
セレーナが、不機嫌そうに森の奥を見つめた。
そこから、地響きと共に、巨大な魔物の気配が近づいてくる。
「……チッあのバカ勇者が、また余計な魔物を追い回してる」
「バカ勇者? もしかして、レオか?」
俺が尋ねると、セレーナは驚いたように俺を見た。
「……あいつを知っているの? だったら、話は早い。あの男、数日前からこの森で『規制前だ!』と叫びながら、希少な『毒胞子茸』の群生地を焼き払っているわ」
毒胞子茸
図鑑によると、その胞子は人間には毒だが、特定の魔物にとっては主食であり、また森の土壌を分解する役割を担っている。
「焼き払う? なんでそんなことを」
「聖女マリアが、『茸のニオイで、私の髪が傷むわ』と言ったからよ…あの男、森の生態系なんて、これっぽっちも考えていない」
セレーナの目に、静かな怒りが宿った。
「私は、森を守るために、あの勇者を排除する。お前たちが、あの勇者の仲間なら、今ここで、私が殺す」
セレーナは、再び弓を引き絞り、俺の眉間に狙いを定めた。
「待て」
俺は、セレーナの弓の前に、静かに手をかざした。
「セレーナ。お前が森を守りたい気持ちは、分かった。…だが、弓矢で勇者を排除するのは、得策じゃない」
「何が言いたい」
「レオは、女神から『加護』を受けた勇者だ。お前の弓では、致命傷は与えられない。逆に、お前が返り討ちに遭い、森がさらに荒れるだけだ」
俺は、動物学者としての冷徹な観察眼で、セレーナを見つめた。
「…それに、セレーナ。お前の『守護』は……少し、極端すぎる」
「な、何だと?」
「この森が、静かすぎる理由は、お前が『森の調和を乱す』と判断した動物や魔物を、片っ端から排除しているからだろ?それは『守護』じゃない……ただの『管理』だ」
セレーナの顔が、青ざめた。
「わ、私は、精霊たちの声を聴き、森の意思に従っている!」
「セレーナ。お前が聴いているのは『精霊の声』じゃない。それは自分の*『理想』の押し付けだ」
「な……何だと!?」
「お前はこの森を愛するあまり、自分の美学に反するものを排除しすぎている。静かすぎるこの森がその証拠だ。ノイズを消し去っただけの世界は、調和とは呼ばない。それはただの『沈黙』だ」
俺は、彼女が「玩具」と呼んだリリィの輪っかを指差した。
「多様性こそが、生態系の強さなんだ。巨乳の天使がいてもいい、貧乳のエルフがいてもいい、毒を吐くキノコがあってもいい。それらが複雑に絡み合って、初めて森は『生きた場所』になる。……お前が守るべきは、お前の理想の箱庭じゃなく、この『混沌とした命の繋がり』そのものだろ?」
俺は、セレーナの弓を、そっと手で押し下げた。
「みんなが、共存できる方法を見つける。…それが、俺たちレンジャーの仕事だ」
「レンジャー……?」
セレーナが、俺の胸元のエンブレムを見つめる。
「…セレーナ。俺に、協力してくれないか。勇者レオを、知識で黙らせるために」
俺は、セレーナに、そっと手を差し出した。
「……バカみたい。そんな理想論で、森が守れるわけがない」
セレーナは、フンと鼻で笑うと、俺の手を無視して、足元の『天使の輪』を拾い上げた。
「……まぁ、いい……お前の『理想論』とやらが、あの勇者に通用するか、見届けてあげる。……ほら、玩具」
セレーナは、輪っかをリリィに向かって投げつけた。
「ひゃうんっ! ありがとうございます、セレーナさん! ……あれ? ……ワッパ、私の頭の上、どこ行っちゃいましたっけ……?」
リリィが、再び自分の頭の上を空中で手探りし始めた。……どうやら、投げられた拍子で(デジャヴ)。
俺とセレーナは、顔を見合わせ、同時に深い溜息をついた。
(……この、……巨乳女ァァ!)
(キュ~……キュキュ~?)
(おじちゃん……、エルフのお姉ちゃん、怖いね?)
ポムポム・ウサギたちが、セレーナの背後からおずおずと顔を覗かせ、セレーナに懐き始めた。
「……な、何よ、お前たち! ……あ、あっちに行きなさい!」
セレーナが、顔を真っ赤にして、ウサギたちを追い払おうとする。……が、その動作がかえって(デジャヴ)
俺の、異世界での「魔物自然保護官」としての生活は、個性豊かなコイツらと共に……ますますカオスなものになりそうだった。




