おわりに~「ガンダム」に願うこと~
前回までに触れた問題の他にも、テレビシリーズのガンダムともなると関わる人数や上からの口出しが多くなりすぎて、実績ある脚本家や監督、優秀なスタッフをどれほど集めてもうまくいかないことが多いんじゃないか……とは以前からよく思う。
あと、旧来のシリーズと比べたがるファンもどうしたって多くなる。
これはかなり邪推になってしまうが、新作ガンダムというと何かと旧作と比較されたり批判されたりしがちで、関わりたくないというスタッフも多そうな気も。
相当の良作を作ったとしても「ガンダムだから当然」という空気になったり、ちょっとでも世界観や設定にスキがあったり物語に矛盾が生じたりすると即刻駄作認定。そうでなくとも、宇宙世紀以外のガンダム認めない勢(でも新作は見て文句言う勢)も未だかなりの数いる時点で、積極的に関わろうとする作り手は限られてしまうような気もする。
SEEDも無印放映当時はネット上で散々叩かれ、続編の種運命になるとその比ではないレベルで叩かれた。今にして思えば種無印からわずか1年で続編が開始となり、スケジュールが非常にタイトだったであろうことは想像に難くない。物語をじっくり練り込む時間もキャラを作りこむ時間も、膨大な設定を洗い出し見直す余裕もなかったが故のあの出来であり、あの批判の嵐だったのだろう。
あの頃のネットはどこを見てもSEED及び制作者批判しかなかった気がする。無印はともかく種運命は決して褒められた出来ではなかったし、サイ君が第3クールEDに出てなかった件は未だに絶許だけども、それにしてもヤバかった。鉄血や水星など目じゃないくらいに荒れに荒れていた。
あの惨状を知っていたら、積極的に新しいガンダムに挑戦しようという制作者が減少してもおかしくはないかと(バ×ダイはそれでも作りたがるという矛盾)
いやもうホント、重箱の隅の隅をつつきすぎて底が抜けるレベルで毎回毎回あらゆる方面から批判されてたなぁ>種シリーズ
ただ、SEEDの時についた大勢の新たなファンが今もガンダムを買い支え、劇場版SEEDもツッコミどころは多々あれど大成功となったことを思えば、鉄血・水星・ジークアクスといった問題作たちも(駄作という評価が今は大きいかも知れないが)、新たなファンを開拓したという点では決して無駄ではないと思う。
特にジークアクスは、「パラレルでもifでも、TVシリーズガンダムは作れる」という可能性を提示したのは大きい。
出来うるならば今後、宇宙世紀でもアナザーでもパラレルでも異世界でも何でもいいので、最初から最後までしっかりしたストーリーラインを持ち、容姿も内面も魅力的で感情移入できるキャラが多く登場する、『心の琴線に響く』ガンダムを作っていただきたいと切に願う。