表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夢が覚めても

作者: 佐藤ひろ

 あ、と思ったときには車が目の前に迫ってきていた。思わず目をつむった次の瞬間、目の前が真っ暗になって――そして、真っ白になった。




「どうなさったの?」

 そんな声をかけられて、思わず目を開く。目の前にはいつの間にか麗しい令嬢が座っていた。お茶を飲んでいたのだろうか、ティーセットが机の上に広がっている。わたしたちは見慣れぬ制服を着ていて、その制服の色と襟の形の特徴からふとあることを思い出した。

(……『夢の調べを奏でて』?)

 『夢の調べを奏でて』、通称「ゆめしら」というPCゲームだ。いわゆる乙女ゲームで、主人公はこの特徴的な制服の学園に通い、攻略対象のヒーローたちと恋をし、成就させる。わたしはこのゲームが大好きで、何度もクリアしていたからよく覚えている。

「今日は暖かいこと」

「ええ、そうですわね、アンジェリーナさま」

 お茶を飲みながら穏やかに呟いた、目の覚めるような美少女はアンジェリーナ・ラシタ・エンデファルス。この国の公爵令嬢であり、王太子の婚約者だ。わたしは、と言えば、どうやら彼女の取り巻きのひとり、モブもモブのようだ。それでもいい、どうせ都合のいい夢なんだろう。ならば、アンジェリーナを間近に見られるだけでも十分だ。何せ、わたしがこのゲームを周回していた理由のひとつが、彼女、アンジェリーナにあるのだから。

「あ、アンジェリーナさま、お菓子をもうひとついかがですか?」

 何か話しかけたいのに話しかけることがなくて、意味もなくお菓子を勧めてしまった。それでも、アンジェリーナはそれに少しだけ微笑んで、クッキーをつまんでくれた。ああ、なんて麗しいのだろう……。

 「ゆめしら」では、攻略対象に合わせて必ずひとりライバルキャラが出てくる。当然、王太子ルートではアンジェリーナがライバルだ。攻略によっては、ライバルと仲良くなることもできる。が、乙女ゲームなので、まあ、基本的には攻略対象を落とすほうが目的とされているし、そのほうがスチルもイベントも多い。わたしはアンジェリーナのことが好きだったので、正直彼女と仲良くなるルートを選びたい気持ちも強かったが、それではスチルもイベントも埋まらないので仕方がなく王太子を攻略したものである。しかも、王太子を攻略したほうがアンジェリーナのスチルもイベントも多いのが悔しい。

 夢にしてはリアルだな、なんて自分の頬をつねっていると、それに気づいたアンジェリーナが面白そうに笑って言った。

「今日は随分と面白いこと。どうかなさったの?」

「い、いいえ、何も。アンジェリーナさまのご機嫌が麗しくて嬉しい限りですわ」

 しまった、余計なことを言ってしまった。わたしの言葉に、アンジェリーナの表情が陰る。他の取り巻きたちもそれに気づいて、彼女を励まそうと口を開いた。

「あの女性については気にしないほうがよろしいですわ」

「王太子殿下もすぐに思い直すはずです!」

「アンジェリーナさまのほうがずっと素晴らしい女性ですわ。お気を確かにお持ちになって!」

 あの女性、と言えば、勿論「ゆめしら」の主人公のことだ。視点変われば何とやら、で当然王太子の婚約者であるアンジェリーナからしてみれば、主人公は婚約者に近づく悪い女ということになる。しかも、学園に突然現れた転入生で、平民育ちで、これは後に明らかになるが、さる貴族の落とし胤という設定だ。これはプレイヤーになるべく設定を近づけつつも、キャラクターが世界観から浮かないようにという苦肉の策なのだろうが、上位貴族のアンジェリーナにしてみれば嫌悪を掻き立てる存在でしかない。それでも王太子からの頼みで主人公にいろいろと教えてやったりしてみたのだが、庶民育ちの主人公と厳しいマナー講師に学んだアンジェリーナとでは価値観からして違う。教えがいじめに捉えられ、主人公が王太子にさらにすり寄る結果となって以降は、お互いに近寄らないことが一番平和となった。それでも遺恨は残り、王太子とアンジェリーナの仲は最悪となり、今は主人公と王太子が蜜月となっている。

「――みなさま、ありがとう。ですが、大丈夫。殿下とて、いずれはお気づきになるでしょう。婚約は国の大事、個人の感情では動かないということを」

「勿論ですわ」

「当然ですとも」

 アンジェリーナの言葉に取り巻きたちがざわめく。けれど、そのなかでひとり、わたしだけが頷けなかった。

(――だって、わたしだけは知っている)

 ゲームの最後、もうすぐ来る卒業パーティーで王太子がダンスのパートナーに主人公を選ぶこと。そして、そのままアンジェリーナとの婚約を解消し、主人公と婚約を結ぶこと。

 この世界で、本来ならば王太子妃を恋愛感情で選ぶなんて有り得ない。けれど、ゲームの世界は都合よくできている。主人公は男爵家の養女ということになっていたが、それは実は命を守るための仮の姿で、本来は公爵家の落胤だったことが分かり、王太子との身分の差も問題なかったことが分かるのだ。

「――アンジェリーナさま」

「なあに?」

「……覚えていてくださいね。あなたの味方が、ここに確かにいるということを」

 モブのモブ、身分も子爵令嬢じゃ何の役にも立てないけれど。それでも、わたしはせめて最後まであなたの味方でいたい。そう思った。何もできなくても、ただ傍にいるだけでも、それでも許されるなら。いくらでも傍にいるから。

「もちろんよ、ありがとう」

 ――ああ、その麗しい笑顔だけで、わたしはもう十分報われたから。


 時間が経つのは早い。あっという間に卒業パーティーだ。

 アンジェリーナさまは今までで一番お美しいドレス姿で現れ、王太子のエスコートを待っている。多分、約束などしていない。自分が選ばれると信じているから。自信があるというよりも、ただ一途に信じている。――気まぐれに貰った一輪の花を心の拠りどころにするくらい、本当に一途な女の子だから。

 アンジェリーナのサイドストーリーに、王太子と初めて会ったときのものがある。広い王宮で迷子になってしまい、泣いていたアンジェリーナを慰めるため、王太子は庭に咲いていた花を一輪摘んで差し出した。彼女はそれで恋に落ち、王太子との婚約も喜んで受け入れたのだ。彼女のロケットペンダントには今でもそのときの花びらが隠されており、秘めた恋心を示している。

 ――誰も知らない、アンジェリーナだけの秘密だ。

 わたしはプレイヤーだから知っているだけ。これを知ったときは、作者は鬼かと思った。こんな健気な思いを主人公に踏み躙らせるのかと。まあ、これ隠し要素だから、かなりやりこまないと出てこない設定なんだけどさ。

「アンジェリーナさま、ごきげんよう」

「ごきげんよう」

 エスコートの相手を少し待たせて、わたしはアンジェリーナに挨拶する。本来ならば会場に来る前からエスコートの相手と同伴するものだ。会場にひとりで来るというだけで、どれほど心細かっただろう。それでも表面上は何事もなく振る舞うアンジェリーナに、わたしは同じく平気な振りをした。

「今日のお召し物も大変素敵ですわ」

「ありがとう。あなたも素敵よ」

「恐縮です」

 せめて緊張を解こうと世間話を振ってみる。が、大した効果はないようだった。そのうちざわめきが聞こえだし、それがわたしたちの許に届くころには、王太子が会場に現れたという声が聞こえてくる。――勿論、主人公を伴って。

「……そんな、殿下」

「アンジェリーナさま、お気を確かに」

 いつも以上に白い顔でふらつくアンジェリーナを支えようと手を伸ばしたが、彼女に触れる前に拒まれた。彼女は強い。すぐに立て直して、綺麗に背筋を伸ばした。――ああ、それでこそわたしが好きになったアンジェリーナだ。

「アンジェリーナか」

「殿下」

 主人公を腕に絡ませて、王太子が現れる。その姿はやましいところなどまるでないという風で、周囲を辟易させた。みな婚約者ではない相手をエスコートしてきた王太子に驚きを隠せず、王太子を中心に空白ができた。

「殿下、なぜ」

「見て分かるだろう。――私は選んだのだ。お前ではない相手を」

「婚約者ではない相手をエスコートするなど前代未聞ですよ。それに、国王陛下はご存じなのですか?」

 アンジェリーナの発言はもっともだ。彼女たちの婚約は国の大事。そもそも、国家の安泰と権力の勾配を考えたうえでの結びつきだ。それを王太子ひとりの考えでひっくり返そうというのだから、愚かというほかない。

「父上には後ほど報告する」

「ご存じないのですね。妃殿下もですか?」

「母上にも後ほど報告するが、理解してくださるだろう」

 どの口が言ってんだ。――王妃殿下は異国から正妃になられた方で、大変苦労された。言葉や文化の壁、国王陛下との関係、全てにおいて大変苦労されたのだ。婚約期間が短かったこともあり、次の妃には同じ苦労をさせたくないと早めに婚約者を決めた背景があるはず。それを婚約ゼロ日のぽっと出の平民女に、娘のように可愛がっていた時期王妃候補を追い出されるなんて頭が痛い話だろう。

「――殿下、目を覚ましてください」

「目を覚ますのはお前だ、アンジェリーナ」

「わたくしの目が何を見ていないと仰るのでしょうか?」

「見えていないのではない。目を覚ませと言っている。――いい加減、この娘に嫌がらせをするのはよせ」

 その瞬間、パーティー会場がしん、と静まった。王太子はそれに気づかないのか、さらに続ける。

「この者から何度も言われたぞ。お前から嫌がらせを受けたと」

「――そんなことはしておりません」

 アンジェリーナの声が震えた。わたしの体も震える。勿論、怒りでだ。この王太子の頭の悪さに、この国の未来が慮られる。そんなことなど意にも介さず、王太子は続ける。

「なんでも、わざとできないことをやらせようとしたり、挙句暴力をふるったりしたそうではないか。――いくら公爵令嬢とはいえ、我が未来の婚約者に対して不敬である。悔い改めて、ここで詫びれば不問に処す」

「……もう一度、仰っていただけますか、殿下?」

「だから、我が未来の婚約者に対する不敬について、ここで悔い改めて詫びれば、不問に処すと言ったのだ」

 もうパーティーという空気ではない。王太子の声が大きくてよく通るせいで、隅々にまでよく聞こえる。周囲の反応は半々だ。権威を追って王太子側に乗ろうとする者、アンジェリーナを憐れんで目を伏せる者――わたしは後者だった。

「……それはできかねます、殿下」

「なんだと?」

「やってもいないことでお詫びはしかねます、殿下」

 アンジェリーナは正しい。けれど、声は震えていた。もう心は精一杯なのだろう。手はロケットペンダントを握りしめている。ここで、あれ? とわたしは思った。イベントと流れが違う。と言うか、全体的にイベントが違う。

 本来のイベントは、アンジェリーナが主人公をいびっていたことが明らかになり、さらに主人公が公爵令嬢だったことも明らかになる。が、今は全くその気配がない。と言うか、それは当たり前と言うか。

 常にアンジェリーナの傍にいた取り巻きとして断言するが、アンジェリーナは主人公に意地悪ましてや暴力を振るうことなどしなかった。公爵令嬢として常に気品ある態度で彼女と接し、一定の距離を保ち、逆に庶民として生きてきたために貴族としてなっていない彼女の態度をたしなめ、正し、そして諦めた。彼女がやったことはただそれだけだ。だから、主人公をいびった証拠も出るはずがないし、アンジェリーナの自認もないに違いない。

「では、我が未来の婚約者が嘘をついていると申すのか?」

「そうは申しませんが、何か食い違いがあるのではないかと」

「王太子殿下、わたくし、アンジェリーナさまにひどいことをたくさん言われましたし、されました……!」

「ほら、こう申しておるではないか! やはりお前が悪いのではないか?」

 主人公の発言で話が元に戻り、場がだんだん白けだす。アンジェリーナの顔色はもはや白を通り越して青くなっていた。俯きかけたアンジェリーナの目元に光るものを見つけたとき、わたしのなかで何かが弾けた。

「――王太子殿下、発言をお許しください」

「なんだ、お前は」

「アンジェリーナさまの学友でございます」

 普段はこんなこと絶対にしない。いくら夢のなかだって、王太子に楯突くなんて、命がいくらあっても足りやしないもの。だけど、あのアンジェリーナが泣いているのなら話は別だ。

 アンジェリーナに涙はない。ゲームのイベントスチルでも、ゲームのテキストでも、激昂するシーンはあっても涙を流すシーンは一度もなかった。公爵令嬢として、人前で涙を流すなどあってはならないからだ。そのアンジェリーナが涙を流した。それだけ彼女がダメージを食らっているのだ。それを見て、彼女の味方を自認するわたしが何もしないままでいいわけない。

「殿下は先ほど、アンジェリーナさまが意地悪をなさったり、暴力を振るわれたりなさったと仰いましたが、その詳しい日時はいつでしょうか?」

「何? おい、覚えているか?」

「え? えっ、えっと……いっぱいあったので、そんな急には……」

「どれでもよろしいので、思い出していただけますか? 小さいものでも大きいものでも構いません」

 わたしは主人公に詰め寄った。主人公は慌てている。そりゃそうだろうな。実際にそんなことはなかったんだから。さあ、適当な日付を出してもらおうか。打ち返してやるよ。

「あっ、あの、十二月の十日に、アンジェリーナさまから叩かれました……」

「時間は何時ごろでしたか?」

「えっ? あ、あー……三時ごろ、でしたかと」

 十分だ。わたしはアンジェリーナを振り返る。そして、まだ青い顔をしている彼女に囁いた。

「アンジェリーナさま、いつもつけている手帳を持ってこさせてください。今日もお持ちでしょう」

「え、ええ……」

 アンジェリーナはすぐに理解したらしく、傍にいた給仕に自分の家の使用人を呼んできてもらえるように頼んだ。すぐにその頼みは聞き届けられ、彼女の手帳がパーティー会場へ届けられる。

「こちらはアンジェリーナさまがいつも身の回りのことを記録していらっしゃる手帳です。殿下もご存じですよね?」

「あ、ああ。アンジェリーナは几帳面だからな」

「では、アンジェリーナさま。十二月十日の三時ごろ、何をされていましたか?」

 アンジェリーナは手帳のページを繰って、すぐに目的のページを開いた。

「妃殿下と外交の勉強をしていましたわ」

「……では、そのときに誰かに暴力を振るうのは」

「無理ですわね。妃殿下が証人になってくださるでしょう」

「そ、そんな……!」

 主人公が悲鳴じみた声を上げた。これには王太子も驚きの声を上げている。まだまだ行くぞ。

「では、次。――殿下、どうぞ」

「我が未来の婚約者、他には」

「え、えっと……」

 これが五回も繰り返されるころには、場は冷え切っていた。誰もが主人公の言うことが出鱈目だということが分かったし、アンジェリーナの発言の正当性が理解できたからだ。どちらに非があるかは一目瞭然で、王太子は周囲の冷たい視線を一身に集めていた。

「こ、こんなはずでは……どういうことなんだ!」

「――殿下、全ては彼女の狂言ということです。ですが、一番悪いのは殿下、あなたです」

「何を!」

 もう、不敬罪で処されてもいい。アンジェリーナを泣かせた男を許せなかった。手のひらを振り上げて、そのまま王太子の頬へ振り下ろす。

「婚約者がいる身でありながら、他の女に現を抜かしたお前が一番悪いに決まってるだろ、馬鹿野郎! わたしの大事な友人を泣かせてんじゃねーよ!」

 これまでの人生で人を殴ったことなんてないので、手が痺れて驚く。だが、後悔はなかった。王太子の間抜け面を見下ろしながら、わたしは肩で息をしていた。ああ、きっと両親は泡を吹いて倒れるだろう。ごめんなさい。

 そんなわたしの肩に冷たい手が触れる。

「――ありがとう、もうよろしくてよ」

 アンジェリーナがまだ泣き笑いの表情を浮かべながら、わたしに言った。けれど、彼女はもう前を向いている。握りしめていたロケットペンダントから手を放し、そのチェーンを首から外す。

「殿下、こうなった以上はもう、わたくしたちの婚約はなかったことになるでしょう。残念です」

 外したロケットは手から離れ、床に落ちて高い音を立てる。それが別れの挨拶のようで、なんだか物悲しかった。

「アンジェリーナ、私は」

「殿下の王位継承権についても、場合によっては審議されることになるでしょう。少なくとも、エンデファルス家からは殿下の王位継承権の放棄を求めることになるでしょう」

 背筋を伸ばした美しい姿。いつものアンジェリーナだ。

「あなたも偽証罪などが問われます。覚悟しておくように」

「そんな……! あたし、主人公なのに……!」

 主人公? 随分メタな発言だな、と思っていると、アンジェリーナがわたしの手を取った。そして、あの麗しい顔で笑う。

「――本当に、味方でいてくれてありがとう。

 だけど、あなたはもう目覚めなきゃ」

 アンジェリーナが笑う。どんなイベントスチルでも見せなかった優しい笑みで。ああ、もっと目に焼き付けておきたい――と思ったところで目が覚めた。




「意識戻りました!」

 知らない天井、知らない部屋で、知らない人が声をかける。わたしの体は重く、起き上がろうにも自由に動かせない。知らない人は看護師さんで、聞けば車に轢かれてしばらく目を覚まさないでいたとか。このまま目覚めなければ命も危なかったと聞いて、ちょっとだけぞっとした。

「――アンジェリーナさまが助けてくれたのかな、なーんて」

 そう思ったのは、手のなかにロケットペンダントが入っていたから。小さな花びらが隠された、初恋の思い出の品。彼女はきっとこれを手放して、新しい場所に向かっていくのだろう。

 退院した後に、「ゆめしら」のスペシャルエディション版が出た。勿論、買って、即やった。――そして、泣いた。

 スペシャルエディション版は、ライバルキャラたちの新規エピソード満載の一枚で、振られて泣くだけだった彼女たちが強く美しく立ち上がる姿が描かれていた。そこには勿論アンジェリーナの姿も描かれていて、彼女は王太子になんとビンタをお見舞いしていた! その強さ、美しさたるや素晴らしい。作者曰く、キャラが勝手に動き出したのだ、と言う。

 もうわたしの手元にあのロケットペンダントはない。病院でリハビリしている間に、いつの間にか消えてしまった。けれど、アンジェリーナもあのロケットペンダントを捨てたから、もう役目は果たしたということなのだろう。別にアンジェリーナが必要ないなら、わたしも要らないものなのでどうでもいい。――彼女が幸せでさえあれば、それでいいのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ