営業さんってさぁ
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
営業さんのデスク見て思ったんですよ。
何時も書類に埋もれていたけれど、接する時に温さを感じるのは、基本的に人間が好きなのだと思います。
「営業さんってさぁ」
定時終わりに帰ってきた彼女は、俺の顔を見るなり口を開いた。相も変わらず何に対しても無関心、なんの興味もない、ただ受け身な女の目が俺を射抜く。
「基本的に人間大好きなんだよね」
「なんだ。珍しく何かに興味を持ったと思ったら」
この女の表情とは掛け離れた、それなりに温い言葉に目を丸くする。それでも彼女は大して気にした様子もなく、俺の横を通り過ぎて、自分の部屋の前に鞄を置く。草臥れたその様は、現状の彼奴とよく似通っている。
「私がお別れする時に挨拶回りした事を思い出したんだよ。そしたら営業さん、皆私に話し掛けてくれた。『次は何処にいくの?』『お陰様で契約決まって』『こっちから割と話し掛けてましたけど』って。
私が所属していた部署は、私の事嫌いな人も沢山いたから、そういう会話を振ってくれる人は半分くらいだけれども、営業さんってそうじゃないんだなって思った。私の事、それなりに好意を持ってくれたんだなって思って温い気持ちになった。
新しく降りた所に挨拶回りした時も、営業さん、皆笑顔だった。人間が好きなんだなって思った」
基本的に物凄く受け身。自分から動くよりは誰かが声を掛けてくれるのを待つ。誰かに依存する体質故に、人から嫌われることも多い。そんな此奴が、万人に興味を持って持たない此奴が、珍しく人を見た。
俺は何も言わずに彼奴の顔を見る。何時もよりもほんのり顔が柔らかい気がする。
「残業の最中でも、そんな会話が出来るって事は、やっぱり根本的に人間が好きなんだと思う。
……気分の浮き沈みの激しい人には多分向かないね」
そう言って電池が切れた様に、ソファに横になった。
新天地はどういう場所か。というのは繊細な意味を多分に含む。それでも、彼奴にこうやって温い言葉を掛けられたという事象は、これからも支えになるのだろう。
「明日はケーキを食べに行く。浴びるほど」
「なんだ。やっぱり疲れたのか」
「慣れない分、意識して疲れちゃうんだよ」
ふと何の気なしに、営業さんのデスク見て思った事。
相変わらず書類山積みで、外勤、内勤と忙しそうだったけれど、別れの挨拶、出会いの挨拶共に、ずっと優しかったこと。
別れの時には〆の言葉や質問を掛けて下さいました。
出会いの時には、どの部署の方々よりも笑顔でいて下さいました。 作者は半歩後退りました。
基本的に人間が好きなんだと思いました。
売り上げどうのとかよりも、そこが多分素質になって来るのだと思います。