91 情報交換
今回のスコアの表示が終わると視界が白色に染まっていき転送が始まる。転送のロード中には眼の前に半透明のボードがでてきて、スコアの詳細が記載されていた。こんなの覚えれるはずもなくスクリーンショットを取って流し目でボードを眺める。すぐにロードも終わり、クエストを受注したギルドの受付に戻された。ギルドは今から挑戦するのか気合を入れる人や、私と同じで今終わって帰ってきたのかメンバーと情報共有している人達など多くのプレイヤーでごった返していた。とりあえず空いてるカウンター席に座り一息つく。
「ふぅー、疲れたー。」
カウンターに腕を伸ばしながら顔を乗せる。イベントのマップを見ながらさっき発見したことを忘れないうちに書き込んでいく。
「えっと、確かこの辺にヤシの木があって。ブラッドカウはこの辺だったかな。あとはこの道っぽい先に謎の大木があって、その先が岩でせき止められてたんだったね。」
大体のことはメモし終えた。こうして見ると今回の挑戦で東側の海岸沿いと北側の火山以外はあらかた探索できたことになる。次は残りの場所を重点的に見て回りたいところだ。
「調子はどう…?」
「うお、びっくりしたー!」
振り返るとそこにはユウさんが立っていた。
「急に声かけられたからびっくりしたじゃないですかー!」
「私は普通に声かけたつもり…、アカリが気づいてなかっただけ…。」
この人、常時気配消してるでしょ。足音すら気づかなかったよ。
「とりあえずさっき1回パーティーの方行ってみて、帰ってきたとこだけど。ユウさんは?」
「私はソロで何回か行ってきた…。」
「それじゃあ、情報交換しようよ!」
「ん…、いいけど?」
さっき書き込んだマップをユウさんに見せながら自分が見つけたものを話始めた。
「とりあえず私が知ってるのは村の人達と話すとサイドクエストが発生して、それをクリアしていくと村長みたいな人が意味深なこと言って終わったんだけど。ナンダッタカナ?黄金の太陽もった勇者が神の怒りを鎮める的な感じだった。」
「ソロだとそんなのなかったよ…。そもそも話しかけられなかった…。」
「えっ、そうなの?」
「うん…、基本的に自由に調査って感じだった…。だから一旦島中を探索していろんなポイントの詳細を調べてた…。生産系のスキルもってないからほとんど討伐したモンスターの情報だけど…。あとはいくつか採取できたものも…。何回かやってみたけど…、採取ポイントは毎回同じ場所にあったね…。」
「ふむふむ、なるほどー。どんなモンスターがいたんですか?」
「ここの砂浜にはこっちもセイラーガルがいて…、反対の海沿いにはナイトクラブっていうカニがいて…。」
「なんだか酔っ払って陽気に踊ってそうな名前ですね。」
「騎士の方のナイトね…。右手の挟みは細く鋭い槍みたいな形になってて、左手は逆に円盤状の盾みたいな形になった…。全身硬いし厄介だったけど…、弱点の目を攻撃すればすぐ倒せたよ…。」
パリピそうな名前の印象とは真逆の堅実そうなカニさんだった。
「あとは火山の山肌には羊のモンスターがいたよ…。名前はコムバスチョンシープって言うんだけど、毛が炎だった…。襲ってこなかったからたぶん友好的なのかも…、でも怒ると仲間を呼ぶから注意が必要だね…。」
「燃えてるんですか?」
「うん…、倒したあとも燃えてた…。」
毛が炎ってどんな感じなんだろうか、それはすごく気になる。
「あとは火口にはラバコダイルがいっぱいいたくらいかな…。」
「ユウさん的にはどのモンスターがポイント稼げそうなんですか?」
「んー…、うまくさばけるならコムバスチョンシープかな…。一度戦闘始めれば周りにいるのも寄ってくるから接敵時間が省ける…。ただ同時に複数体相手することになるから大変…。」
「ユウさんなら簡単にさばいてそうだけど?」
「そうでもないよ…、まだ手探りの段階だから…。でも出来るだけ上位を目指す予定…。」
そう言ったユウさんの目はいつもよりやる気に満ちた目をしていた。
「それじゃ…、私はまた挑戦してくるよ…!」
立ち上がったユウさんは手を振って去っていった。私も聞いた内容を書き込み終わったらもう一回挑戦しようかな。
|ω・) ただまー、しばらく週一です。
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