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85 結局どのスキルに


「それで、結局どのスキルにすることにしたの?」


ユウさんの話が一段落したところで、私達はカフェを出て移動を始めた。


「え、え、えーっと、農業と魔導盾にしました!体動かすのはあんまり得意じゃないから移動系は諦めました…。あとはお花とか野菜を育てたりするの好きなので農業をしてみよーかなって。」


「そうなんだね、じゃ道具とか買い揃えに行こうか?」


「いや…、ルリに言えば揃えてくれると思うから大丈夫…。」


「そ、そんな、お世話になってばっかりで申し訳ないですよ。」


確かに、私も同じ状況だったらそこまで甘えるのは忍びないと思ってしまうだろう。


「もうルリに連絡して了承得てるから問題ない…!」


そう言って親指を立ててドヤ顔をするユウさんだった。それを聞いたハルカちゃんは更に申し訳なくなったのか、普段よりも一層あわあわし始めてしまった。


「ま、ルリさんのことだから今頃張り切って用意してくれてるだろうね。世話好きっぽいし。帰る頃には現状作れる最高の物を作ってくれてそう。」


「えええ、えー、どどど、どうしましょう?」


「大丈夫…、全力で準備するって返事来たから…!」


「えっ?えっーーーーー!!!!」


今まで会ってから最大の叫び声が街の中でこだました。あまりにも大きな声に周囲の人達が一瞬こちらを振り向いて、立ち止まるほどだった。



それから私達は宿屋に向かった。今回ユウさんが持ってきた物は魔導装置である。どうやら移動に便利なものと言うのがこれらしい。リターンの条件として一度訪れないと対象にならないのだが、例外がある。それはクランハウスだ。なので魔導装置をどこかに設置して、リターンでクランハウスまで送ろうっていうと言うことだ。それで宿屋を一旦借りて、そこに設置することになった。宿屋とは言うものの、実際は貸し倉庫という使い方がメジャーである。死んだときのリスポーン位置にもなるのだが、ほとんどのプレイヤーは近くの街にリスポーンしているらしい。ちなみに宿代自体は安く、1ヶ月借りても3000Gほどである。これはギルドが出している依頼を2~3個こなせば賄える程度である。今回は一時的に設置するだけなので1日だけ借りることにした。まず私が一部屋を借りる、部屋に移動して設定をクランメンバーの入室可能に変える。そしたらユウさんにメッセージを送って入ってもらう。


「ちゃんと設定で来たみたいだね…。」


「ま、まーあね。慣れたもんよ。」


無事入室でき集合できた。一人部屋なので3人も入るとすこしぎちぎちである。


「それじゃ…、置くね…。」


そう言ってユウさんは魔導装置を設置し始めた。すぐに設置は終わり、私もリターンの登録を済ませる。


「それじゃ…、ここに手と当てて起動してみて…。」


ハルカちゃんに起動するよう促す。言われたとおりに恐る恐る手を伸ばすハルカちゃん。


「起動したらマップが表示されるだろうから…、西の方に移動してみて…。クランハウスってとこが見つかったら選択してから魔法を起動してみて…。」


慣れない手つきで操作し、ちゃんと見つけることができたようでホッとした顔になった。


「そ、それじゃ、行きます。リターン。」


そう言うと魔法が発動し、姿が消えていった。


「じゃ…、私も行くから…。魔導装置の回収お願い…。リターン。」


続けてユウさんも消えていった。残された私はせっせと魔導装置を回収し、ポーチにしまう。そして時前でリターンを発動し、クランハウスまで帰宅する。



転移が終わると、見慣れた浮遊島の風景に変わった。しかし、見慣れないものもあった。城壁の中にとても大きな屋根が見えている。たぶんあれがルリさんが建てたクランハウスなんだろうけど、ここからでも分かるくらい大規模だ。近くを見渡すも二人共既に移動しちゃったようで見当たらない。とりあえず城内に移動する。


自動で開く城門をくぐり抜けると目の前には大豪邸が建てられていた。一人でよくこんなもの作ったなと、驚きよりも呆れが先に来た。コの字型になっており、左右の先端には円柱状の塔が敷設されていた。正面部分にはこれまた立派な玄関が設けられており、所々にはきれいに装飾のついた窓が並んでいた。

そして、そんな豪邸の前で中学生を囲うお姉さんたちがいた。どうやらみんな集まってるようだった。囲まれているハルカちゃんがいつも通りあわあわしているのが見えたので、小走りで近寄った。


「おまたせー、紹介は終わった?」


「おかえり…。」


「おかかー。」


「今、自己紹介が終わったとこよ~。それで、できたクランハウスの内見も一緒に済ませてしまおうかな~って思ってて待ってたとこ~。」


「そっか、ハルカちゃん大丈夫?」


「わわわわ、だ、大丈夫です。」


初対面なこともあり、緊張が勝ってしまっているようだった。ま、そのうち慣れるでしょう。


「それじゃ、行こっか。」


それからクランハウスの内見が始まった。設計図で見てたけど、実際に出来るとこれまた違った印象になる。壁は白を基調にしており、所々に木材の梁や壁枠がアクセントになっている。床には木製で、廊下に沿って赤いカーペットが引かれていた。基本的には設計図通りだったが、キッチンと鍛冶場がこれでもかってくらい生産施設が詰め込まれていた。ま、二人のこだわりが反映された結果だろう。あとは階段の下のスペースが広い会議室が設けられていた。大きなコルクボードが壁にかけられており、どうやら伝言板として使うようだった。

玄関正面の階段から2階に行けるようになっている。2階は個室が並んでおり、私も一部屋もらった。必要な家具があればルリえもんが作ってくれるそうだ。一応ベッドとタンスが既に置いてあったのでもう十分な気もしている。

3階は屋根裏部屋になっており、大量の大きなチェストが並んでいた。それぞれ中身が種類ごとに分けられて収納してあった。3階のチェストは共有のため、好きに持っていっていいことになっている。たぶんユウさんに向けてだろうけど、壁に「整理整頓」と大きく書かれた張り紙があった。


内見も終わり、一同は会議室に集まった。もうすぐ始まるイベントへ向けての打ち合わせをするための会議が始まるのだった。


「それでは、第一クラン会議を始めます!」

|ω・) 最近最後に詰め込む癖が…

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