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77 私は幸せです


こんばんわ、アカリです。今私は久々にアクセスの街まで帰ってきています。この豪華な噴水もしばらくぶりです。にしても相変わらず広いし人が多い街だ。あまり風景的には変わりはないのだが、ところどころ見覚えのない建物が増えている。たぶんどこかのクランハウスなのだろう。


『新しく出没したモンスターの情報だよ』


そう書かれたメッセージを開くと、アクセス周辺の地図に2箇所のバツ印が書いてあった。それぞれに矢印でゲーム画面のスクリーンショットが添付されていた。場所的には城壁の南北の位置に当たる場所だ。スクリーンショットを拡大して見ると片方には真っ黒いレッドボア、もう片方には直毛でほっそりとしたコットンラビットだった。さて、どっちから行こうかな。付け足されているメモによるとまだ詳細な出現条件は定かではないものの、どちらも初心者がレベル上げでモンスターを倒しまわっていると出てきたらしい。どちらも既に討伐されているとのこと。しかし初心者だけではかなり手こずるモンスターらしい。にしても、このシュッとした毛並みのいいコットンラビットは少し面白い。だって、ふわふわもこもこがトレンドのコットンラビットがサラサラヘアーになってるんだもん。ウサ吉も洗ってシャンプーとかしたらこうなるのかなと思ってしまった。決めた、コットンラビットから行こう。私はショートケーキのいちごを先に食べる派なんだ。


街道を南下し、城門までやってきた。大きな城門を潜り、懐かしの景色が見えてきた。私が最初にウサ吉をテイムした草原だ。ウサ吉も連れてくればよかったな。探知を発動すると近くに数匹モンスターの気配があった。


「さてと、おいでー。」


そう言って、ポーチから余りまくっているヒールベリーを取り出す。草むらに向かってしゃがんでヒールベリーを持った手を差し出す。


カサカサ…


草むらが揺れる。


サッ!


そして白い毛玉が飛び出てきた。野生のコットンラビットが現れた!昔のゲーム風にそう心の中で叫んでみた。


「よしよし、おいでー。食べていいよー。」


出てきたコットンラビットはヒールベリーに近づいて食べ始めた。


モグモグ…


「にしても、この子たちを倒して回らないと出ないんだっけか。あんまりしたくないな。」


いい方法はないものか。んー、どうしたものか。こんなに可愛いのにね。必死に口を動かして、可愛いヤツめ。よーしよしよし。

考えながら戯れていると、また近くの草むらからもう1匹のコットンラビットが出てきた。


「君もかわいいねー。はい、これあげるから、おいでー。」


最初は必死に追い回したっけか。懐かしい話だよ。今や両手に花ならぬ、両手にコットンだよ。

次々とポーチからヒールベリーを出していたら、気づいたら山盛りになっていた。それに釣られるように、また1匹のコットンラビットが出てきた。よくよく見ると新しい子はなんだか二回りほど大きなコットンラビットだった。そんな些細なことを気にせず餌を配っていると、その大きなコットンラビットが鳴き声を上げた。


キュイー!


「よしよし、君は大きくて元気だねー。」


すると、どこからか更に2匹のコットンラビットが出てきて加わった。5匹にも囲われてしまった。が、私にとってはただの天国である。引き続きコットンラビットたちを愛でることにした。よく見ると大きなコットンラビットにはヌシと書いてあった。


「ヌシ?!ってなんだっけ?」


確か仲間を呼ぶんだっけか、あとは何か仲間を呼ぶ回数を数えていたような。今回の新しく出没したモンスターとは別だよな。


キュイー!


「おっ、これで2回目かな?」


すると追加で3匹出てきた。そうだそうだ、どんどん呼ぶ数が増えるんだ。こうなったら限界まで増やしてみよう。


数分後…


見渡す限りのコットンラビットに囲われていた。既にあんなに大量にあったヒールベリーは食べ尽くされ、みんなおしくらまんじゅう状態である。調子に乗って増やしすぎた。レベルが上ってるおかげか、それとも攻撃されてないからなのか幸いなことにダメージは入っていない。とりあえずスクリーンショット撮ってルリさんにでも送ってみよう、って考えるくらいには余裕があった。ふざけて群れの中に揉まれながら親指を立てて手を上げる、そして写真をパシャリ。


『私は幸せです。』


そうメッセージを添えて、送信っと。

|ω・) イソガシイ キンヨウマニアワナカッタラゴメンネ

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