74 うりうりうりー
「テイム!」
私が発動したスキルにより、マザースパイダーは光に包まれた。そしてすぐにその光は収まり、いつものシステム音が鳴り響いた。
《テイムに成功しました》
「よーしよしよし、ちゃんと手加減できてえらいぞー。」
レイに近寄って、顔を撫で回しながら褒めてあげる。ちゃんと顔をレイの胸に押し当ててすりすりもしておく。私満足。
「ウサ吉もありがとねー、うりうりうりー。」
ついでにウサ吉も撫でてさらにもふもふ成分を補充しておく。さっきは手足動かせなかったからもどかしかったんだよね。たっぷり触ってあげる。そうこうしていると草むらから社員さんが出てきた。君もあとから撫でてあげよう。
「それで、君の名前はどうしようか。」
テイムできたマザースパイダーを見ると、さっきまで戦い合ってたレイと何やら話し合っている。マザースパイダーは前足をちょこちょこ動かしてジェスチャーのように何か伝えてるのだろうか。それにしても全長1mくらいだろうか、最近は大きいモンスターばかりだったからコンパクトでいいね。にしても色合い的にネットスパイダーのアルビノ種みたいな感じなのだろうか、でも名前的にはあいつらの親玉とかそんなポジションなんだろうか。目の色はネットスパイダーと同じく真っ赤で白い体にはとても映える色合いだ。お尻には産毛のような細かく小さな毛がふさふさ生えている、あとでちょっとさわさわしてみよう。とりあえずテイムしちゃったけど、ルリさんのお願い事はこの子でもいいのだろうか。
『アカリです。
成り行きでネットスパイダーじゃなくてマザースパイダーって子をテイムしちゃったんですけど、この子でも大丈夫ですか?』
と、メッセージを飛ばして聞くことにした。返事を待ってる間に名前を考えよう。白い蜘蛛かー、何にしよう。昔、誰かが白色は200色あるとかなんとか言ってたっけか。パールホワイトとかスノーホワイトとかそんなのだっけ、なんか違う気がする。あとは真っ赤な目からとってレッドアイとかかな?なんだか中二臭いけど。んー、なかなか決まらないな。
《メッセージ:1件》
お、返事が帰ってきたのかな。
『ルリだよ。
マザースパイダーなんて聞いたことないからわかんないんだよねー。スキルに機織りっていうのがあればいいんだけど、どんなスキルもってるのかしら?』
ふむふむ、ルリさんも知らないモンスターなんだ。と、その前にステータスを確認しないとね。
【】(マザースパイダー)Lv10
体力(HP) 50/50
スタミナ(ST) 100/100
筋力(STR) 20
知力(INT) 20
俊敏性(AGI) 30
器用さ(DEX) 110
重量(WT) 30
スキル:<操り人形:Lv5> <糸使い:Lv5> <機織り:Lv5>
ちゃんと機織り持ってたね、よかったよかった。他のスキルたちは戦闘のときに使ってたやつかな。
操り人形、敵に特殊な糸を巻き付け洗脳し操るスキル。スキルレベルが上昇すると、同時に操る対象が増える。糸使い、粘着性の糸と強靭な糸を使い分け操る。スキルレベルによって量や質が上昇する。そして目当ての機織り、糸から布を作り出す。スキルレベルの上昇によって生産速度や品質が上昇する。
と、そんな感じだった。わかってたけど戦闘要員というよりは、搦め手がメインって感じのスキルたちだった。でも敵を操れるのは強そうだけど、制限とかないんだろうか。今度試してみよう。
ルリさんにステータスのスクショを送って報告だけした。名前が決まらないから一旦保留してもいいかな。とりあえず、みんなを魔結晶に戻してポーチにしまう。それからリターンを唱えて発動した。帰る先はもちろんクランハウスだ。
転移し終えると見知った風景に変わった。ぱっと見では特に変化はなさそうだ。ルリさんのことだからちょっと目を話した隙にすごいもの建ててそうだと思ったのだけど、そんなことはなかったようだった。多分城壁の中にいるのかなと思い、まっすぐ城門まで歩く。相変わらず外見に似合わず自動で開く扉に戸惑いつつ中に入っていく。中の様子はだいぶ変わっていた、中のスペースの殆どを使うような大きさの建物の土台らしきものが石レンガを組み合わせて既に出来ていた。どんだけ大きな建物を作る気なのだろうか。
「戻りましたよー。」
「あら~、お帰りなさ~い。」
「おかえり…。」
ユウさんもログインしてきたみたいで二人で何やら話をしていたみたいだった。
「あ、ユウさんちょうどいいところに!名前考えて欲しいんですよ、この子の!」
そう言ってさっき仲間にしたマザースパイダーを召喚する。迷ったらユウさんに頼むのが一番、そう勝手に思っている。
「あー、さっきルリが言ってたマザースパイダー?だっけ…。考えとく…。」
「それで、二人は何を話してたんですか?」
「それがね~、マザースパイダーのことを調べてたんだけど、特に情報がなくてね~。他にも今日になって元々いたモンスターに似てる新種のモンスターが確認されてて~。何か運営がこっそりアップデートしたのかな~って話てたの。」
「なるほど、そんな事があってたんですねー。タイミングがいいのか悪いのか。」
「報告例はまだ少ないんだけど~、どれも元のモンスターより少しレベルが高いのと違うスキルを使ってくることが特徴みたいでね~。注意が必要だね~。」
「ですね、見つけ次第捕まえないと!」
「ま、アカリさんはそうなるわよね~。」
コレクション魂が少し湧いてきた。
「それで聞きたいことがあったんですけど、ルリさんはここにどんだけでかい建物立てるつもりなんですか?!」
「え~?、3階建てくらいのお屋敷の予定だけど~?」
となると、大きさ的にはちょっとした学校の校舎くらいになりそうだ。材料は足りるのだろうか。
「ちょっと材料が足りないかもしれないけど~、まぁそこはなんとかするわ~。」
「手伝えることがあったら言ってくださいね。」
そんな会話をしていると、マザースパイダーを見てずっと名前を考えてくれてたのだろうユウさんは何か思いついたかのようにこっちを向いて話しだした。
「この子の名前は…。」
|ω・) 実はまだ名前は未定
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