72 手のかかる子たち
えーっと、私はあれからすぐラヘルへ帰ってきました。ルリさんからのお願い事を済ませるのが目的だ。まさかあのモンスターをテイムして欲しいなんて言われるとは思わなかった。なんでも、そのモンスターが生産する素材を拠点の内装の一部に使いたいんだとか。一応テイム条件を聞いてきたけど、弱らせるだけでいいらしいからそれといって準備するものもないから早速捕まえに行こう。
ラヘルから出て、レイを召喚し背中に乗って出発した。特に急ぎでもないから徒歩でもいいんだけど、楽できることは楽したいじゃん。それにレイを撫で回せるのは至福の時間だから仕方ないね。
そんな至福の時間はすぐ終わり、目的の森に着いてしまった。ここは以前、ヌシのネットスパイダーに出会った森だ。ルリさん乱射事件、あれはひどい事件だった。つまり、今日の目的はそのネットスパイダーだ。
私としては虫系は苦手ではない、特にネットスパイダーはリアルさはあまりないので仲間にしたいところだ。ただサイズがデカいため怖い人は怖いだろう、うちのメンバーは大丈夫なんだろうか。ルリさんとユウさんは大丈夫だと思うけど、ルンはどうなんだろうか。見せる前に確認しておこう。
そんな訳で一人と一匹で静かな森を探知スキルにがんばってもらいながら慎重に進む。既に何度か戦闘しているため対処法もわかっている。魔導書にポータルをセットし、準備は万全だ。あとは見つかってくれればいいんだけど。
それから10分程度森を走り回りやっと1体見つけた。どうやら木の上にいるようで、こっちに気づいていない。レイから降りて護衛用にマルを頭の上に出す。
「レイ、遠吠え!」
ワオォォォーーーン
大きな鳴き声が森に響き渡る。ネットスパイダーもこちらに気づいたようで、木の幹を伝って降りてきた。
「まだ攻撃は待機。レイは相手の気を引き付けて。」
レイは少し前進し、私達とネットスパイダーの間にポジションを取る。低い唸り声でネットスパイダーを威嚇している。その威嚇に呼応するようにネットスパイダーも前足を上げて威嚇のポーズを取る。そんな膠着状態から少ししたところで相手が動いた。お尻を上げ、こちらに糸の塊を投げ飛ばしてきた。しかし、私はこれを待っていたのだった。
「ポータル!」
飛んできた糸の塊をポータルでキャッチし、出口になる方のポータルで跳ね返す。いつものポータル反射だ。返された糸の塊はネットスパイダーに絡みつき身動きを制限する。
「レイ、倒さない程度に攻撃!」
ワフッ!
勢いよく駆け出したレイは大きく飛び上がり、前足でネットスパイダーの頭部を切り裂いた。レイが強かったのか、それとも弱点だったのかわからないがネットスパイダーは粉々になり消えていった。つまりワンパンである。
クゥーン・・・
尻尾を地面にこすりながら、顔も下を向き申し訳無さそうにレイは帰ってきた。
「よしよし、そんなこともあるよ。大丈夫大丈夫。」
きっとレイはちゃんと手加減してくれたと思う。それに失敗は誰でもあるのだからそれくらいじゃ怒れないよ。さ、切り替えて次行こう。
元気のないレイを撫でながら、一緒に歩き次の目標を探す。案外すぐに次のネットスパイダーが見つかった。今度は遠吠えでの強化はせずにそのまま戦ってもらったがまたしてもワンパンで倒してしまい、レイはますます落ち込んでしまった。ちなみに次のネットスパイダーはマルに攻撃してもらったが、針千本を途中で止めれなかったのかまたしてもあっさり倒してしまった。そして案の定マルも落ち込んでしまった、手のかかる子たちだ。2匹をなだめながら私は最終兵器を使うことにした。そう、私自身が戦うのだ。久々にこの魔導書が火を吹くぜ。魔導書を素振りしてウォーミングアップを始める。
そこからすぐに次の反応があった、しかし少しアクシデントが。モンスターの反応が1つではなく全部で3つあった。まずは1匹にするためにもレイたちに頑張ってもらことにした。隠密を発動し、できるだけ近づく。奇襲で2匹を倒してもらってからじっくり最後の1匹をテイムしよう。
ゆっくり近づき、茂みを挟んだ向こう側までたどり着いた。向こうを覗くと、2匹のネットスパイダーがこちらに背を向けているのがわかった。これはチャンスと思い指示を出す。
「レイは右のネットスパイダーを攻撃、倒しちゃっていいからね。マルは左の方に針千本!」
私の指示にすぐに反応し、レイは駆け出していった。マルもすぐさま針を飛ばして攻撃する。レイも負けじとネットスパイダーの腹部に噛みつき倒した。反応が2つ減ったのを確認して、最後の一匹に注意する。しかし、そこにいたのは黒くておっきい蜘蛛ではなく白くて一回り小さい蜘蛛だった。
「えっと、君は誰?」
|ω・) 私の鈍器の出番はいかに
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