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71 柔らかいクッション


6時間も続けてやったのは初めてだったが、長時間のゲームはけっこう疲れるものだ。廃人プレイヤーと言われる人たちはどんな神経をしてるのだろうか。聞いた話によると、食事と睡眠以外はずっとゲームに潜っているらしい。どんな生活をしているのやら、私には到底理解できないや。私は平日は2~3時間、休日に長くても4時間程度にしている。学校やバイトで忙しいってのもあるけど、のんびりプレイだから周りは気にせずマイペースにやってる。ちなみにゲーム仲間で一番長時間やってるのはルリさんだったりする。あの人なにかつくり始めると止まらないらしくて、熱中して時間を忘れてしまうらしい。そんな話は置いといて今日も休日をゲームに費やす。私もやっぱりゲーマーになりつつあるよな。


さて、ログイン。昨日の状態からどうなっているだろうか。


《メッセージ:1件》


風景が変わり、ゲーム世界が広がった。昨日何もなかった浮遊島はぱっと見で変わったところがいくつかある。まずは島にある池を囲うように木製の柵で大きなスペースがある、ここはなんだろうか。それと眼の前には家というには大きな建物があった、西洋の城壁と言うべきだろうか。ちょっとした城、そんな外観だった。多分私が取ってきた石レンガの壁に等間隔に窓が設けられていた、木製の窓枠に透明なガラスがはめられていた。屋根には紺色のレンガのタイルが使われており、落ち着いた印象になっていた。にしてもこんな大きさの建物をあれから建てたのか、さすがですルリ様、ほんとルリさんは何者なんだ。。早く見学して回りたいが、一先ずメッセージを読むことにした。



『ルリです。

興が乗ったのでクランハウスの外観だけ作っちゃいました。だけどまだ中身は空っぽなので、間取りだけでも見て回ってね。あと外の囲いはモンスターの放牧場なんだけど、できればモカちゃんを入れておいて欲しいんだ。資材の運搬役が居ればもっと建築が捗るから。よろしくね、リーダー。』


ふむふむ、なるほど。確か敷地内だと手懐けたモンスターを出しておける。本来はモカさんのミルクのような生産物を作り続けるための機能だが、私がいなくても運搬などしてくれるのだろうか。ま、ルリさんが言ってるのだからしてくれるのだろう。忘れないうちに放牧の設定からしてみよう。柵の近くまで近づいてみて、柵に手を置くと設定画面のパネルが表示された。


《放牧するモンスターの魔結晶をセットしてください》

『 』『 』『 』『 』・・・


表示された通りにポーチから魔結晶を取り出して、空白の項目欄に魔結晶をセットする。すると柵内にモカさんが召喚され、魔結晶が手元から消えてなくなった。これでとりあえずはいいのかな。ついでにカスミとクーちゃんも放牧して置いてみる、生産物とかはないけど運搬に使えるかなという安直な考えだけど。みなそれぞれ好きなように振る舞っている、モカさんは草を食べ、カスミは林の中の枝に停まり、クーちゃんは池で水浴びしている。少し寂しいけど楽しそうでよかったよ。


さて、用事も済んだし屋敷の内見でもしようかな。にしても大きいな、外周の壁だけでも3階建てくらいの大きさだ。四隅には円柱状の塔が立っており、正面の城壁には大きく頑丈そうな木製の扉が設けられていた。鉄細工で装飾もしっかりしてある。早速扉の前まで進むと自動で扉が動き開いた。いきなりのことにびっくりして一歩後ずさってしまった。そんな外観に囲われた先には期待とは裏腹に、まだ何もなかった。ま、メッセージに書いてあった通りけど。空っぽの城壁の中には、昨日運び込んだ資材が壁沿いにきれいに並べられていた。これからここにどんなものをつくるんだろうか。


「わ~っ!」


急に背後から肩に手を当てられた。そして私はそれにびっくりして後ろに倒れ込んだ。しかし地面に倒れることなく、私は柔らかいクッションに受け止められた。


「あら~、ごめんね~。ちょっと脅かすだけのつもりだったんだけど~。」


倒れ込んだクッションの正体はルリさんのようだった。見かけによらずいいものをお持ちで。


「なんですか、急に!びっくりしちゃったじゃないですか!」


「ちょっと前にログインしたんだけどね~。私に気づかずにあまりにも熱心に見て回ってたからついね~。」


「にしてもなんでこんな城壁作ったんですか?」


「フィールドに拠点を構えるときは城壁で囲うのは常識だよ~、モンスターに襲われちゃうからね~。ま、この島付近には危険なモンスターいないけどね~。」


そ、そうなんだ、知らなかったわ。ま、確かにフィールドにはモンスターがいて当たり前か。


「それでこの中にはどんな建物を作る予定なんです?」


「大きめの建物にする予定ですね~、私の鍛冶場とルンの調理場に大きめのフロアを用意しようかな~。あとは個室を多めにいくつか作っておこうかな~って感じだね~。ま、できてからのお楽しみだね~。」


「む、無理しない程度にね?」


「明日には完成させるから任せなさ~い。それで1つお願いがあるんだけど~、いいかしら?」


「私にできることなら?」


「リーダーにしかできないことだから安心して~。」


「それで何をしてほしいの?」


「実はモンスターをテイムしてきて欲しいの~、リーダーも戦ったことあるモンスターよ~。ただ嫌いなら無理にとは言わないわ~。そのモンスターは…コソコソコソ。」


急に近寄って耳打ちされた。


「えっ?!」

|ω・) クーラー解禁してしまった

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