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69 人体実験の被験者


「えっと、これはどう言うことなんです?」


さっき出会ったばっかりのルンがルリさんと友達で、それにこれからよろしくってどう言うことなんだろうか。


「それはね~。」


「それは、アカリんがよかったらなんだけど。私をアカリたちのクランに入れてよ。」


「えっと、それは別に良いんですけど。私達のクランってこれといって何かをするわけでもないのでなんのメリットもないですよ?」


「それは大丈夫、私も好きに活動する予定だし。それと1つだけお願いしたいことがあるんだ、それはアカリん達にもメリットがある話だよ。」


「それは一体どういったことですか?」


「お店を開きたいの!私、前は一人でクランを建ててたんだ。それでクランハウス兼店舗を借りてレストランをしてたんだ、そのときにルリにはいろいろ作ってもらって友達になったんだ。ただ、一人で運営するのが大変でね、断念しちゃったんだ。それで旅に出ようと思って連絡したらルリがいい考えがあるって誘ってくれたの。」


「詳しい説明は私からしますね~。今私達は浮遊島に拠点を建てようと準備してるでしょ~。でもアカリちゃん以外はあの島まで移動できないじゃない~?それで私は秘密兵器を用意したんだ~。それがこれね~。」


そう言ってルリさんは自分の腰くらいの大きさの石碑を出した。石碑には何か文字が彫り込まれており、てっぺんにはきれいにカットされた大きな水晶が付いていた。


「これは魔法記録装置でね~、名前の通りに魔法を記録できるの~。そして記録した魔法は誰でも使用できるのね~。ただし、ポーチに入れちゃうと記録が消えちゃうのね~、だからどこかに設置して使うものなんだけど~。」


ふむふむ、そんなものがあるんだね。それでどう言う繋がりが?


「それで~、この装置にアカリさんのリターンを登録してもらおうと思ってて~。クランハウスもリターンで帰る候補になるから、それで浮遊島までのテレポート装置として使おうかと~。ただそれをするには町に部屋を借りてそこに置く必要があってね~。ただ部屋を借りるだけじゃもったいなくて~、そしたらちょうどルンが旅に出るって連絡あったからちょうどいいかな~って。」


えっ、リターンで帰れるの?知らなかった。そもそもまだ使ってすらないんだった。


「それでえっと、つまり?」


「ラヘルの町に部屋を借りて、そこにこの魔法記録装置を設置する…。借りた部屋はルンの店として営業する…。そんな感じ…。」


「なるほど!わかりました!」


「もちろん借りるお店の家賃は私が払うわ。あとお礼になるかわからないけど、クランハウスが出来たら食材を少し倉庫に入れておくから好きに使ってね。」


おお、それは助かる。ちょうど買いに行こうかと思ってたんだ。


「それで今度はどんなお店にするんです?」


「次はお弁当屋さんをしようかと思っててね。どんなにいい料理でも町で食べてから冒険に出ちゃうとバフ効果が戦闘まで保たないって前に言われてね。それで持ち運べるお弁当にしようかと思ってるの。それにお弁当なら店舗に必ず調理スペースを設けなくてもいいから小さくて済むし。」


「ん?」


「つまりクランハウスに調理スペースを建てて、お店は販売スペースとさっきの石碑を置く場所だけでいいから狭くて安い店舗でいいってこと。前は家賃が高かったのも失敗した原因だし。」


「それなら早くお店探しに行きましょう!」


その後ルンのクラン加入手続きを済ませ、私達はギルドで空き店舗を調べてもらったとこ目的に合ったお店を見つけすぐに契約を済ませた。入り口から縦に長いスペースがあり、更にその奥に小部屋が1つ備え付けられている。お店のスペース的にもそんなに狭くはない。予定としては左側にお弁当を並べる棚とカウンターを置いて、残った場所は机とイスを並べて飲食スペースにするつもりらしい。実際に店舗ができるのが楽しみだね。

今日のところは奥の小部屋に魔法記録装置の設置だけすることになり、そのままお店まで足を運んだ。店舗内は木製の枠組みに白い壁が張られており、板張りの床と天井に挟まれた清潔感のある空間だった。ちなみに建物自体は4階建てになっており、2階より上は居住スペースとなっている。1階は私達が借りた店舗とそれよりも広い店舗が並んでいる。今のところ隣は空き店舗になっている。奥の部屋は備え付けのベットが1つだけ置いてあり、それ以外には何もなかった。


「さて、まずアカリさんはこのドアの設定をクランメンバーのみ開閉可能に変更しておいてください~。」


言われたとおりにドアの設定を変更していると、ルリさんはさっきの魔法記録装置を出して設置しだした。設置した装置を操作し始めると、掘られた文字が淡く青い光出した。すると1枚のパネルが出て来た。


「じゃアカリさん、ここにリターンを設定してみて。」


言われるがままにパネルの前に行き設定画面に触れる。


《魔法を設定してください》


パネルには私の使用可能な魔法一覧が表示された。その中からリターンを選択した。どうやら行き先まで選択する必要があるらしく、パネルにこのゲーム内のマップが表示された。その中から私達の拠点となる浮遊島を選択肢、登録を終えた。このゲーム世界全体のマップを見るのは実は初めてだったりしたが、まだ未踏破の部分は黒塗りになっていてネタバレは回避された。


「登録終わりましたよ。」


「じゃ~、アカリそのままテストしてみて~。私達じゃ行ったきり帰ってこれないから~。」


確かにまだ浮遊島にはなにもないため帰りの手段を持ってるのは私だけになる。


「逝ってらっしゃい、リーダー…。」


「アカリん、骨は拾ってあげるから。」


おいおい、人体実験の被験者みたいな扱いをしないでもらいたい。


「じゃ、行ってきますねー。」


手をかざすと装置が起動し、自動的に魔法が発動した。一瞬の暗転の後に風景が変わり、私は見覚えのある場所に転移した。上手くいったようで、ちゃんと浮遊島の真ん中に立っていた。


「さて、じゃ帰りますか。リターン!」


自分で発動するのは初めてだったがさっき見たマップが表示され、私はその中からラヘルの町を選んだ。また暗転と共に風景が一変し、今度はラヘルの町の噴水前に転移した。どうやらこの魔法は、町の中央に移動するようだった。成功したことを伝えるために、すぐさまさっきまでいた建物に走って帰った。


「ただいまー、成功しましたよー。」


「あ、アカリさん、死んだはずじゃ~。」


「生きてたのね、リーダー…。」


「アカリん、まだ火葬の準備が。」


この人たちはどうしても私を亡き者ししたいらしい。まったく仮にもリーダーなんですけど、私。扱いひどくないですか?と心のなかで軽くぼやいてみた。


「それで今後の予定はどうするのか説明をお願いします、ルリさん」


「はいリーダー、今後はみんなでアイテムを持てるだけ持ってから予定地へ行こうかな~。持てなかった分はクーちゃんに運んでもらおうかしら~。」


そうしてみんなは一旦それぞれアイテム整理をして町の外に集合することになった。

|ω・) 今後はリーダー呼びされます

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