65 ここが私達の島
翌日、私達はラヘルの町の外に集合していた。今日もいい天気でピクニック日和だ。と、いってもこのゲームでは一部地域以外ではそんなに雨の頻度は高くないらしいからだいたいいつも天気がいい。
「にしてもすごい場所にクランハウスを設定しましたね~。浮遊島までどうやって移動したんですか~?」
「あれ?なんでもう知ってるんですか?サプライズにしようと思ってたのに。」
「同じクランだから…、マップに共有される…。」
なんと、それは不覚だった。でももう一つサプライズは残っている、こちらで挽回だ。
「それで結局どうやってあそこまで行くんですか~?」
「ふふふー、それはですねー、じゃじゃーん。」
そう言いながら私は魔結晶を取り出してクーちゃんを召喚して見せた。
キュピーーー!! ブシューー!!!
今日も勢いよく潮吹きをしてみせた、元気で何よりだ。二人の方を確認すると、二人共口を開けて固まっていた。
「あ、あ、アカリちゃ~ん?この子はどこで拾ってきたのかな~?」
なんがだルリさんの目が引きつっている気がする。ユウさんはもうすでにクーちゃんに興味津々のようでそろーっと近づいて行っている。
「え、えーっと、鉱山の山頂で仲良くなったといいますかー。」
その後ルリさんに詰め寄られて、昨日の成り行きを1から説明することになってしまった。話していくにつれてルリさんの顔がだんだん呆れ顔になっていったのは言うまでもない。ま、自分でも馬鹿なことをしたことはわかってはいるつもりですよ、一応ね。そしてその間にユウさんはクーちゃんの顔に近寄りもうすでに撫でていた。
「ま~、事情はわかりました~。とりあえず、さっさと移動しましょう~。ここでは他の人の目が多すぎますし~。」
ふと、周りに目をやると町から出発しようとしている他の冒険者たちが立ち止まってちょっとした人だかりができていた。
「ええ、そうですね。とりあえず出発しましょう。」
急いで二人を背中に乗せて、目的地の浮遊島へ向けて出発した。飛び上がる際には周囲にいた冒険者たちからなぜか歓声があがった。
「にしても空の旅は心地いいわね~。」
「ですねー、でも気を抜くと振り落とされそうですけどね。」
「それなら~、私に任せなさい~!ふふふ、いいアイディアがあるわ~。」
「二人共…、もうすぐ着くよ…。」
ユウさんの言う通り、目的の島はもう目前のところまで来ていた。
昨日と風景は変わらず、きれいな木々に囲われたのどかな風景のままだった。
「あら~、きれいな所ね~。なかなかいい所を見つけましたね~。」
「でしょでしょ!ここが私達の島です!」
「うん…、気持ちいい…。」
そう言いながらユウさんは草地に大の字になって寝ていた。それを見た私とルリさんは顔を合わせて、無言で頷いてユウさんの横に一緒になって寝っ転がった。なんだか楽しくなって、みんな笑顔が溢れていた。
「それじゃ~、さっさとクランハウスをここに建てましょうかね~。とりあえず準備に少し時間が欲しいから揃ったら連絡するわね~。二人にも少し手伝って欲しいことがあるから追々メッセージ送るわね~。それと私は今から島を見回ってくるわね~。」
「わかりました。終わったら町まで二人を送り届けますね。」
少し時間ができたので、ユウさんの要望に答えながらテイムモンスターたちを入れ替えながらもふったりしていた。みなもこの島が気持ちいいのか機嫌よく撫でられてくれた。
「そういえば…、アカリ以外ここに来れないんだけど…。」
「あっ、そういえばそうですね。どどど、どうしましょうか?」
そういえば、そうじゃんか。いい場所を見つけてテンションが上がっていたのか、その問題に気づかなかった。
「あ~、それは私に解決策があるので任せてもらって大丈夫よ~。」
見回りから帰ってきたルリさんが私達の会話をちょうど聞こえていたのか、そう答えてくれた。何から何まで助かります、ルリ様。そう心のなかで感謝した。
「さて~、下見も終わりましたしもうちょっとしたら帰って準備始めましょうか~。忙しくなりますよ~。」
と言ったルリさんの目はやる気に満ちていた。一体どんなものを作る気なんだろうか。
|ω・) 会話多め、中身少なめ、ニンニクマシマシ
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