06 コットンラビット
「うぅ、どこに行ったのー」
逃げていったコットンラビットを追ってみたが結局逃げられてしまった。逃げられたのはしょうがないと思いとりあえずまた草原に寝っ転がって反省することにした。
あの魅力的な毛玉に気を取られて忘れていたことがあった。せっかくギルドでスキルについて教えてもらったばかりなのにすっかり使うのを忘れていた。
今覚えているスキルは3つ。
まずはテイムスキル、これはたしかモンスターを弱らせるか仲良くならないと使えなかったはず。
次に隠密スキルだけど、これは教官のジェフさん曰く周囲のモンスターに気づかれにくくなるらしい。訓練所では実際に試すことができなかったけど教官の説明を信じよう。
最後に転移魔法、今使えるはワープという魔法。これは詠唱後に視線の先に瞬間移動する魔法だ。あらかじめワープを詠唱して魔導書にセットしておけばいつでも発動できる。
さてと、どうやって捕まえようかと考えながら魔導書にワープをセットしておいた。とりあえず見つけたら隠密で近づいてみてからもう一回抱きついてみよう。
考えがまとまったので立ち上がって探索を再開した。少し歩いた先に見覚えのある毛玉が2つ転がっていた。
今度は焦らず隠密スキルを発動して飛びつきたい気持ちを抑えてゆっくりと近くの草むらまで近づいた。
名前が表示されるとこまで近づいてちゃんとコットンラビットで間違いないのを確認できた。2羽とも一生懸命に地面から生えた草をもぐもぐとお食事中のようだった。でも今から私はこの子たちを捕まえないといけないんだよなと罪悪感を感じながら飛びつくタイミングを測った。
1羽が食事を終えてぴょんぴょんとどこかへ跳ねてった。慌ててもう1羽に目をやるとまだ食事をしているようで安心した。このままではまた逃げられると思い、飛びつく決心をした。
「せいっ!」
勢いよく飛び出し抱きついた。がしかし、またも腕からするりと抜けられてしまった。
ぴょんぴょんと逃げていくのを立ち上がってなんとか追いかけた。追いかけながら魔導書を出してコットンラビットの前に視線を向けた。
「ワープ!」
魔法を発動してコットンラビットの前に瞬間移動して振り返った。
うまく行ったと思いながら振り返ろうとしたときだった、体勢を崩してこけてしまった。
また失敗かと思いながら無意識に手を伸ばしながら倒れた。
「あっ、いたた。」
派手にこけたのを恥ずかしくなりながら起き上がって状況を確認した。
目の前にはこけるときに手放してしまった魔導書と気絶しているコットンラビットがいた。どうやら偶然にも魔導書がコットンラビットの頭に当たっていたようだった。
思っていたのとは違ったけど捕まえることができた。抱きかかえて急いでスキルを使った。
「テイム!」
コットンラビットは白い光に包まれてその後すぐに光は収まっていった。
|ω・) イメージは某心踊る喫茶店のマスター
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