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64 浮遊島


クーちゃんの背中に乗って私は今あるところに向かっている。それは鉱山と火山地帯の間の空に浮かんでいる浮遊島地帯である。どうやっていくのだろうと、前々から気になっていたのだけれど空を飛べるようになったのなら話は早い。これはもう行くしかないよねってことで直行することにした。

雲の上の旅は、少し日差しが強いくらいで快適そのものだった。


「ふぅー、気持ちいいねー。」


ウサ吉を撫で回しながらあたりの風景を見渡す。と言っても私達の下には雲が広がっていているだけだった。そろそろ目的地付近まで来ているが、浮遊島はどこだろうか。マップと照らし合わせながら周囲を見渡す。すると、クーちゃんは急に雲の中に潜り始めた。


「うわ、何も見えないや」


真っ白い世界を突き進み、やっと雲の下にでたときだった。周囲には複数の空に浮かぶ島々が点在していた。


「おぉー!これが浮遊島か!」


島ごとに色とりどりな木々は生い茂り、ある島は黄色とオレンジといった紅葉みたいな木だったり、他にも一面ピンク色で桜みたいな木々、他にも白や青など普通では存在しないようなカラフルな光景だった。他にもゴツゴツとした岩だらけの島に、水が湧いて大きめの池がある島だったりと個性豊かな島々が浮かんでいた。私はその中から、草地が広がってる島を選びクーちゃんに着陸してもらった。


「おー、けっこうひろーい!」


上空から見ていたよりも実際に降りてみるとかなりの広さだった。野球場の倍くらいはあるんじゃないだろうか。端の方には水が湧いており、小さな川になって島の縁まで流れてそのまま落ちていっていた。見渡すと外周は林に覆われており、ところどころに大きめの岩が点在していた。

そんな島の中央に大の字になって寝そべってゴロゴロしていると、ゲーム内アラームが鳴った。どうやらもう夕飯の時間らしい。一旦ここまでにしよう。

ウサ吉とクーちゃんを魔結晶に戻して、ログアウトの手続きをすませた。




現実世界に戻ると窓から夕日が射していた。もうすぐ夏休みだ、日差しも強くなってきている。ま、私は基本的にゲーム内にいるから関係ないのだけど。今日もクーラーの効いた部屋にこもりっきりだし。


さて、夕飯は何にしようかな。冷蔵庫の中を漁り、残ってる野菜を出して適当なサイズに切って炒める。今日は野菜炒めだ。ササッと夕飯を済ませて、お風呂もシャワーで済ませる。私もすっかりゲーマーになってしまったようで、現実世界のことは最近おざなりになりつつある。これだけ急いでいるのにも理由があって、実は今日中にやってしまいたいことを思い出したのだった。髪を乾かす時間すらもったいないと思いつつ、きっちり髪を乾かしておく。でないとVRヘルメットの中で蒸れちゃうからね。結局ゲームを再開するまで2時間ちょっとで済ませてしまったのだった。




戻ると相変わらず心地の良い日差しが私を迎えてくれた。このままここで寝てしまいたいが、その前にしないといけないことがあるのである。と、言うのも夕飯を作りながら私はこう考えた。ここに住みたいなって、景色もいいしのどかでのんびりできそうってのが理由だった。そしてすっかり忘れていたある要素を思い出した。それがクランハウスの存在である、ここに建てれるかわからないけど思い立ったらやってみたくてしょうがなかった。

さっそくメニュー画面を開き、クラン機能から目的の項目を探して決定を押す。


《この場所をクランハウスに設定しますか?》


出てきたホログラムを確認すると、どうやら島全体を所有することができるみたいだった。私達だけで占領していいのだろうかとちょっと考えたが、基本的に早いもの勝ちなのだから気にすることはないかと開き直った。一旦設定をキャンセルして、一応二人に連絡を入れておく。二人にはいい場所を見つけたのでクランハウスをそこに設定してもいいかとだけ聞くことにした。


ユウさんからは『アカリが決めたならどこでもいい』とあっさりした返事だけが帰ってきた。

ルリさんからは『私もそろそろ落ち着いてきたので、場所だけでも決めておきたかったんですよ。でもいい場所が見つかったんならよかったです。明日にでも連れて行ってください。』とこちらも賛成してくれそうな感じだった。

二人には明日案内すると言う旨で返事をして、了承をもらった。

一旦場所取りのつもりで、再度設定からクランハウスとして場所を設定する。これでこの島は私達の場所だ。我ながらいい場所を見つけたものである。


明日二人を連れて来るためにも、今日中に町に戻っておきたいのでクーちゃんを召喚する。


ブシューー!!!


出てきてすぐに豪快な潮吹きをした、元気で何よりなんだけどちょっとビビっちゃうじゃん。と心のなかで訴えた。やれやれと思いながら背中の上に乗ってクーちゃんに町の近くまで飛んでいくようマップから指示を出す。明日サプライズでクーちゃんを見せたいため、近くまでは飛んでいき、その後は歩いて帰ろうと思う。


キュピーーーー!!


鳴き声とともに加速しながら空を泳ぎだした。空の旅はやはり気持ちよく、爽快感があった。

|ω・) 花粉が辛い…

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