63 クーちゃん
キュピッ!
「ほいっ」
キュッ
「えいっ」
キュッ
今、私達はウサ吉をボール代わりにしてキャッチボール?をしている。最初はもぐもぐと大量の雲の食べていたクラウディーセタスももうお腹いっぱいのようで次はウサ吉とじゃれ合い出した。鼻先でウサ吉をつついて転がしてはしゃいでいたのだが、途中からウサ吉を空に打ち上げては優しくキャッチして遊んでいたので、私も混ぜて欲しくなり結果今は交互にウサ吉を投げ合うかたちとなった。
バシッ!
ぽーんと高く空に投げたウサ吉を追ってクラウディーセタスが空を舞う、そして空中で宙返りをして尾びれを使って勢いよくアタックをかましてきた。かなりの速度となったウサ吉ボールは私の顔面目掛けて飛んできた。
「へぶしっ」
無様に顔面ブロックをする形になってしまった。一応攻撃判定らしく、体力の8割ほどが消し飛んだ。こんなに仲良くなったのに、危うく死んでしまうところだった。
キュピキュピ?
ゆっくり近づいてきて心配した様子でこちらにすり寄ってきた。
「大丈夫だよー、でも今度からは手加減してねー。」
通じるかわからないが一応注意だけしておいた。本人もわかったのか頭を縦にブンブンと振ってくれている。
《残り時間10分です》
急なアナウンスにビクッとしてしまった。どうやら時間制限があるようだ。時間切れになるとどうなるんだろうか、追い出されるのかな?その前に仲間にできないか試しておかないと。
「ねぇ、仲間になってくれない?」
クゥーン?
なんのこと?って感じで首を傾げた。んー、とりあえずやってみるしかないか。
「えっと、そのままにしておいてね。テイム!」
魔法の光がクラウディーセタスの体を包みこみ、そしてゆっくりと発光がやわらいでいった。
《テイムに成功しました》
《アカリのレベルが上がりました、ステータスポイントを10獲得しました》
《スキルレベルが上昇しました》
「おぉー、これからよろしくね!」
無事に仲間にすることができた。さっそくステータスを。
【】(クラウディーセタス)Lv25
体力(HP) 1000/1000
スタミナ(ST) 200/200
筋力(STR) 110
知力(INT) 300
俊敏性(AGI) 40
器用さ(DEX) 50
重量(WT) 1500
スキル:<巨漢:Lv10> <エアブラスト:Lv10> <スターレイザー:Lv10> <自動航行:Lv10>
規格外なステータスだった。初めて4桁の数字を見た気がする。しかもスキルが4つのある、他の子達もレベルが上がれば増えるのだろうか。
スキルの説明としては、まずは巨漢から。これは広い空間がないとそもそも召喚が出来ないのとパーティー枠を3枠消費してしまうというデメリットスキルだった。まぁ、こんだけ強ければ仕方ない気もする。次にエアブラスト、これは最初にやってきた空気砲のことらしい。説明分としては、体に空気を取り込み勢いよく吐き出すというシンプルなものだった。そしてスターレイザー、これはまだ見たことのない攻撃スキルのようで、背中の星を空に浮かべてそこから無数のレーザーを照射すると書いてあった。実際に見てみないとどんなものか想像ができなかった。最後に自動航行、これはテイムしたプレイヤーが側にいなくてもマップで指定した場所まで飛んでいくというものだった。また、パーティーを組んでいれば誰でも乗って移動することができるとのこと。これは物資の輸送なんかに使えそうでとても期待している。
それで、名前はどうしようかなと顎に手を当て首を傾げて悩んでいると、それを見ていたクラウディーセタスは真似をするかのように近寄ってきて同じように首を斜めに傾けてきた。
ク?
んー、こういうときにユウさんとか居たらいい名前を思いついてくれそうだけど。私にそんなセンスはなく、安直な名前が頭の中を埋め尽くしている。悩んでも仕方ない、シンプルに行こう。
「君の名前はクーちゃん!よろしくね!」
キュピキュピ!
喜んでくれているみたいだ、よかった。これからよろしくね。
そうこうしていると、戦闘フィールドから転送されて山頂手前まで戻された。周囲には人はいなさそうだった。急にこんな巨大生物がでてきたら怖がらせそうだったので誰もいなくてよかったと少しだけ思った。
さっそくクーちゃんの背中に私とウサ吉は乗り込んだ、実はついでに行ってみたいところがあったのでクーちゃんに指示を出して初めての空のお散歩を始めるのだった。
|ω・)ただま、新作もよろしくね~
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