58 大理石
「待ったあああああああああああ!!」
私の叫びによってユウさんは振り下ろそうとしていたハンマーを止めた。
「なに…。」
「私、この子がほしいの!」
「も~、いっぱいテイムしてるでしょ~。うちじゃ飼えません!パパも何か言って上げて~。」
「誰がパパよ…。ま、いいよ…。」
さっきまで戦闘モードだった二人がルリさんのボケで急にコントののりになった。パパから許可が出たのでテイムしてみる。
「じゃ、遠慮なく。テイム!」
ひっくり返ってもがいているアメジストスコーピオンにテイムをかける。光がアメジストスコーピオンを包んだが急に弾けてしまった。どうやら失敗してしまったらしい。
「あら~、通常テイムじゃないのかしら~?」
どうやらルリさんもテイム方法は知らないようだった。んー、困った。どうしようかな。
「じゃ、一旦倒すってことで…。」
パパは容赦なく加減もせずに全力でハンマーを振り下ろした。アメジストスコーピオンは粉々のポリゴンになって消えていった。残ったアイテムはカスミが運んできてくれた。
【紫結晶蠍の甲殻:アメジストスコーピオンの硬い外装。魔法に親和性がある。】
深い紫色をした甲殻は神秘的な色だった。説明通りに結構硬いみたいで指で叩くとコンコンっといい音がした。
「この素材っていりますか?」
「ん~、魔法使いには重宝されてるからアカリさんの防具更新に充てたらいいんじゃないかしら~。」
ふむふむ、防具もそろそろ更新したいし今度大量に入手したいね。やりたいことが増えてきたからやること整理したがいいのかな。
戦闘が終わったルリさん達は採掘作業に移っていた。アメジストをガリゴリ削っていっている。どうやらアメジスト以外にも取れているようだ、白い石を切り出している。どう見てもツルハシで砕いてるだけなのにきれいな立方体でドロップしている、まぁゲームだし細かいことは気にしないことにしておこう。
「今は何を取ってるんですか?」
「ん~、実はこれ大理石なんです~。ちょっと大手のギルドから家具の依頼が入ってて~。」
だ、大理石なの!高級品じゃん!ゲームだから価値は違うかもだけど、確かにきれいな白い石だ。にしてもルリさんの人脈はどこまで広いんだろうか。にしても大手の人たちはもうそんなとこにまでお金かけれるくらい進んでいるのか、すごいなぁ。そういえば昔行ったトレードショップも大理石だった気がするけど、なんだか懐かしいな。
やることがない私は暇なので邪魔にならない程度に広場をぐるっと歩きながらスクショなどを撮って時間を潰していた。ちょうど最初にアメジストスコーピオンがいたところに来た時だった、壁に他のアメジストよりも更に濃ゆい紫色の水晶があった。ちょうど私の身長だと、手を伸ばして届きそうな高さだった。
「んー、あとちょっと。わっ!」
手で触るとその水晶はポロッと落ちてきて、私の頭に激突した。
「いててて、まさか落ちてくるなんて。ってこれって!」
【紫結晶蠍の卵:時間経過で孵化する。仲間にするにはテイムスキルが必要。】
水滴型のその結晶は、まさかの卵だった。大きさ的にはバスケットボールくらいだろうか。なるほど、これがテイム方法だったのね、謎が溶けてよかった。にしてもこの卵が孵化するまで抱えとかないといけないのかな。ま、愛情を込めて温めさせていただきます。
「二人共ー!卵拾ったー!」
「あら~、そんなものがあったのね~。とうとう私たちにも孫ができちゃうのね~、ね、パパ~。」
「だから誰がパパよ…。」
その後も大量の大理石やらを積めるだけ積んで本日の探索は終了した。帰り道もラバコダイルに襲われながらも無事帰還できた。
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