57 アメジストスコーピオン
さて、私は節足動物気持ち悪いとは思っていない。むしろかっこいい、もしくはきれいとまで思っている。世間一般的な人からすると忌避する人も多いだろう。キャーって悲鳴を上げる女の子になりたかったけど、そんなことはなかった。で、そんな話をし始めた理由は今眼の前にいるモンスターがあまりにもかっこよくてこう思ってしまったからである。この子が欲しいっと、このアメジストスコーピオンが。
周囲にある紫色の水晶はどうやらアメジストらしく、ここはアメジストジオードとらしい。そのことを知ったのは戦いが終わったのだけどね。それでなぜそんな話をしたかと言うと、今目の前にいるモンスターの甲殻はすべてそのアメジストで出来ているみたいだ。言葉に表すのも難しいがまるで宇宙の写真のような濃ゆい紫の中に点々と白く光る模様が星雲のようで目を奪われてしまった。
「アカリ…!危ない…!」
しまった、つい見とれてしまった。眼の前には大きなハサミが迫っていた。えっとえっと、やばい、逃げなきゃ。思考に行動が間に合わず私は大きなハサミに挟まれることを悟ってしまった。
カキィン!!
小さな火花と大きな金属音と共に私を挟もうとしたハサミは弾かれた。眩しさに顔を被った腕を下ろすとそこにはトゲトゲの小さなボールがいた。いや、これはマルだ。どうやらマルのスキルの防御態勢で守ってくれたみたいだった。ありがとう、マル。
「アカリさん、集中して~。」
そうだ、今は戦闘に集中しなきゃ。とりあえず距離を取ろう。二人も今こっちに向かって走ってきてくれている。
「ワープ!」
アメジストスコーピオンの後へ瞬間移動する。ちょうどユウさん達の後方になるようポジションを入れ替える。今はちょうど私の子たちが前方を、ユウさん達が後方を囲む形になっている。
「打撃が弱点だよ…。」
打撃かあ、今のメンバーだとモカさんの突進くらいか。
「モカさん、闘牛!からの突撃!」
ンモォオオオオオオ!!
雄叫びを上げて猛突進していく、がしかし相手もただで受けてはくれなかった。ハサミをクロスするように構えて受け止めた。力関係は同じくらいなんだろうかお互いに押し合って拮抗いる。どうやらユウさん達二人も追いついたようで左右から後ろ足を殴りつけている。その加勢が効いたのかモカさんが優勢になったようでアメジストスコーピオンが後ろに下がり始めた。カスミとマルも遠距離攻撃で加勢に入る。それがどうやら効いているようで体勢を崩した。私も鼓舞を発動してサポートする。
ウモォオオオ!
再び雄叫びを上げてモカさんが全力でアメジストスコーピオンを突き上げた。宙に舞ったアメジストスコーピオンはひっくり返って地面に叩きつけられた。どうやら元の体勢に戻れずもがいている。
「これで止め…!」
ユウさんは大きく飛翔してお腹目掛けたハンマーを振り下ろそうとしている。
「待ったあああああああああああ!!」
その攻撃を私は全力で叫んで止めてしまった。
|ω・) 次の更新は来週です、すまね
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