05 城壁の外へ
「さて意気込んでみたはいいものの、まずは依頼をやらないといけないんだっけ。たしか、何かを納品しないといけなかったような。」
とりあえず忘れてしまったものは仕方ないので受付にいたお姉さんにもう一度話を聞くことにした。
「あの、最初の依頼についてなんですけど…」
「はい、コットンラビットの兎毛の納品ですね。ギルドを出てまっすぐ大通りを進んだ先に城門があります。そこから出たら周囲に生息していると思いますので倒すと手に入ります。もし戦闘が苦手でしたら捕まえて毛を刈ることもできますので、道具屋でハサミを買って行ってください。」
懇切丁寧に説明してくれるお姉さんに感謝しながらついでに道具屋さんの場所も聞いてギルドをあとにした。
大通りを歩きながら教えてもらった道具屋さんへ立ち寄った。
木製でできた温かみのある店内の奥にあるカウンターに男性が一人立っていた。
「いらっしゃいませ、何をお求めですか?」
店員が言い終わると目の前にパネルが出てきてアイテム名がズラッと並んでいた。回復薬などの薬関係のものから鍋やまな板など料理道具にクワにシャベルと農具など多岐にわたる商品の中からお目当てのハサミを選んで購入しようとしたときにふと気づいた。私お金持ってるんだったっけ。
慌てて購入をキャンセルしようとしたところ、パネルの左下に所持金が表示されていた。意外なことに1000Gも持っていたため安心して買い物を続けた。
結局、ハサミ以外にも回復薬や便利そうな道具を選んで購入を済ませた。
「ありがとうございました。」
そんな店員の声を聞きながら道具屋から出て、また大通りを城門に向かって歩いていった。
遠くに見えていたときはそこまで大きく見えなかったが、段々と近づくに連れて想像よりも大きくなっていく城壁に少し驚きながら歩き続けて城門の前に着いた。
城門の前には全身を金属の鎧に身を包み、片手には長めの槍を持った騎士さんが立っていた。特に検問などはないようで自由に出入りできるようだった。
少し緊張しながら騎士さんの横を通りながら城門をくぐった先には大きな木製の跳ね橋がかかっていた。
跳ね橋の下には大きめの川が流れていて、渡った先には広大な草原が広がっている。現実ではなかなか見れないような大自然の風景に心を踊らせながら歩みを進めた。
「うおー、きもちいー」
思い切って緑の絨毯に飛び込んだ。意外にもふかふかな草の上に寝っ転がって叫んでいると近くの草むらで何かが動く音がした。
振り返った先には白くて丸い大きな毛玉が転がっていた。毛玉の上にはコットンラビットの文字が浮かんでいた。どうやらこれがお目当てのウサギさんらしい。なんて気持ちよさそうな毛玉なんだ、けしからん。
「えいっ!」
とその毛玉に向かって跳びついたが、腕の間をするりと抜けて後ろ足で蹴られて逃げられた。蹴られた衝撃で後ろに尻もちをついた。体力が少し減ってしまったが痛くはなかった。
少し離れたところでくるっとこっちに向き直った。正面から見た毛玉はまん丸としたフォルムにちょこんと小さなピンクの耳が着いていてちゃんとうさぎの顔をしていた。めちゃくちゃかわいい、もふもふしたいしできれば3時間くらい撫で回したい。きっと柔らかくて気持ちいいんだろうな。
そんな事を考えていたらコットンラビットは私の周りをぴょこぴょこ飛び回ったあとにどこかへ逃げてった。
|ω・) やっと冒険の始まり?
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次回からは火曜と金曜に更新します。