51 ロックゴーレム
いくつかの分かれ道をガイドに従って進んだ先には大きな真っ黒い穴が空いていた。そして手前には透明な壁がいつものように張ってあった。その壁に触ると見覚えのあるメッセージが表示された。
《フィールドボス:ロックゴーレムに挑戦しますか?》
パネルに表示される「はい」「いいえ」のボタンを迷わず「はい」を選んで押す。するとボス専用フィールドに転移する。
あたりを見渡すとドーム状の岩の壁に包まれており、天井にはぽっかり丸い穴が空いていた。その穴は外に繋がっているようで、太陽の光が指していた。壁面には所々に多種多様な色の結晶が生えており、その結晶が光を反射して地面にカラフルな色が映っていた。
そんな光指す大穴の真ん中には、岩が積まれており小高い山ができていた。その場から私は1歩歩き出すと同時に、その岩の山が動き出した。地面に落ちていた岩たちがそれぞれ宙に浮き形が変わっていく。岩たちはまるで生きているかのように集まり大きな岩の人形に形を変えた。3mはあるだろう大きな岩人形は顔には光る目が2つこっちを向き、大きくサムズアップして口を開け吠えた。
ウゴオオオオォォォーーー!!
ロックゴーレムとの戦闘が始まった。にしても岩が吠えたよ、どうやってんだろう。
「ウサ吉は増毛して私の護衛!社員さんはみんなのサポート!残りは適宜様子を見て攻撃!」
みんなに指示出しをして、私は魔導書に魔法をセットする。ロックゴーレムを半円で囲うようにみんなは展開していった。レイの遠吠えで全員を強化し、私も鼓舞で更に強化する。
「マルとカスミは遠距離から攻撃!レイとモカさんは隙を見て足元を狙って!」
みな果敢に攻撃しているが、全然ダメージになっていない。やはり岩だからダメージに耐性でもあるのだろうか。一応昨日話した感じだとルリさん曰く楽勝って言ってたんだけど、ほとんどダメージ入ってないじゃん。意地はらずに攻略法聞いておけばよかった。
そんなことを考えていたらロックゴーレムの足に飛びかかったレイを腕を大きく降って潰そうと殴りかかる。しかし、レイはそれに反応してうまくパリィしたのか振り下ろされた腕は大きく跳ね返した。すると次は反対の手を地面に伸ばすと、地面が盛り上がり岩が出来た。その岩を持ってカスミに向かって投げつける。すごい勢いで飛んでいった岩はカスミに当たり、そのまま壁に激突する。土埃の中から立ち上がりカスミは元気に飛び立った。どうやら無事のようだ、社員さんの光の加護が守ってくれたみたい。ヒヤッとしたが、無傷でよかった。
と、実況ばっかりしてないで何か攻略法を見つけないと。みんな適度に攻撃をしているがほとんどロックゴーレムのHPに変化はない。依然として満タンだ。私に何ができるだろうか?ロックゴーレムはその場からはあまり動かずその場で岩を飛ばすばかりだ。試しに飛んでくる岩を跳ね返してみようかな。
考えがまとまったところでちょうどロックゴーレムが社員さんに向けて岩を投げようとしている。私は急いでワープで社員さんも元へ移動し、正面から飛んでくる岩にポータルを向け吸い込む。もちろん出口はロックゴーレムに向けてだ。勢いよく飛んでった岩はロックゴーレムに当たり砂埃が舞う。砂埃の中からはボロボロっと岩が転げ落ちる音がした。すると煙の中から片足を無くしたロックゴーレムが出てきた。どうやらやっと攻略の糸口が見えてきたようだ。
「みんな、できるだけ私のところに集まって!岩を跳ね返してみるから遠距離攻撃も中止!」
指示に従ってみんなは飛んでくる岩を避けながら私の周りに集まってくれた。一応先頭にウサ吉を配置し、ポータルの魔法を詠唱しておく。さて、準備出来たし飛ばしてこい。
ロックゴーレムは片足を失いながらも、片手で岩を投げ飛ばしてくる。それをすかさずポータルで反射する。またもやクリーンヒットしたようで、もう一つの足が崩れ落ちてとうとう胴体から下がなくなってしまった。だがいまだHPは減っていない。
ウゴオオオオォォォーーー!!
ロックゴーレムは再度サムズアップし咆哮をした。すると洞窟全体が揺れ始めた。バランスを崩さないようなんとか踏ん張ったところ、天井から岩が落下してきた。
「みんな散開して回避!」
今度は落石攻撃か。雨のように降ってくる岩を避け続ける。なんとかみんなうまくさばけているようで、軽微な被弾で済んでいた。私もなんとか避けつつ、危ないときはウサ吉を盾にしてなんとか凌いだ。
それと、私は見てしまった。落石を避けながらロックゴーレムに注意していると自分の頭の上に落ちてきた岩に当たって頭の部分が地面に転げ落ちていた。そんなロックゴーレムで頭を探すべく手探りで辺りを頭を探して何食わぬ顔で元の場所に戻していた。なんかちょっとかわいいかも。
落成フェーズが終わったのか揺れは収まり、降ってくる岩もなくなった。
そしてロックゴーレムは再度地面から岩を生成し、投擲を始めた。しかもつぎは2つ同時にだ。
「みんな、もう一回集合!」
またみんなで集まって反射する準備をする。魔法の詠唱中はウサ吉に耐えてもらった。
「よし、こい!」
と、飛んできた2この岩をポータルで両方吸い込んで跳ね返す。きれいにお返しした岩にロックゴーレムは両腕が崩れ落ち、もう残るは胴と頭だけになってしまった。すると胴も崩れ落ち、頭だけがころっと転がり落ちた。これが生身の人間だったらホラーだよなあ、とか思いながら身構える。
ウゴゴ・・・ゴ・・・ゴ・・・
頭の上には満タンのHPバーが表示されているが、どう見てももう瀕死の状態だった。
「カスミ、ウォーターボール!」
私の合図により、カスミが転がった頭めがけて水の塊を射出した。一直線飛んでったウォーターボールは頭にヒットするとHPが少し減った。それを確認した私は続けて指示を出す。
「カスミとマルは全力で攻撃!」
と、私の投げやりな指示に従って集中攻撃を2匹は続けた。みるみるうちにHPが減っていき、1分もかからずすべて削りきった。
《アカリのレベルが上がりました、ステータスポイントを10獲得しました》
《スキルレベルが上昇しました》
|ω・) カレーそばってなんでないんだろう
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