表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/142

46 ヌシ


ヌシモンスター、それは最新のアップデートで追加されたレアモンスター。なんでも普通の個体よりも強くなっており、しかも定期的に仲間を呼び寄せるらしい。


「ユウさん、どうします?」


「一旦戦ってみよう…。」


「ルリさんに一応連絡しときます。」


ユウさんはその提案にうなずくとすぐ戦闘体勢に入った。私も急いでルリさんにメッセージだけ飛ばして戦闘に参加する。ヌシはユウさんが相手しているようで、私は残りの雑魚2匹を相手すればいいようだ。


「社員さんはみんなのサポート!マル、針千本!」


頭の上のマルから2匹のネットスパイダーに針の雨を降らせる。相手も反撃に糸を飛ばしてくる。が、さっき見た攻撃だ。対処は考えてある。


「ポータル!」


飛んできた糸の前にポータルを出して吸い込み、ネットスパイダーに向けて出口を設置しお返しする。うまく行ったようで返っていった糸に絡まって2匹とも行動不能になっている。


「マル、もう一度針千本!」


と、攻撃しているその時だった。


フシャーーーーーーーー!!


ユウさんの戦ってるヌシが前足を上げて大きく叫んだ。思わず振り向いてしまった。どうやらユウさんも警戒して少し距離を取ったようだった。

すると周囲に新たなネットスパイダーの反応が2匹出てきた。これが仲間を呼ぶってやつか。周囲にはヌシを含め5匹のモンスターに囲まれる形となってしまった。流石にやばいか。


「ユウさん、どうしましょう?逃げたがいいんじゃ?」


「いや、もうちょっとやれる…。きっとルリなら来るはず…。」


と言いながらユウさんはヌシと対峙する。やっと1割削ったと行ったところだろうか。大丈夫だろうか、不安になりながらユウさんの判断に従う。

なんとか4匹から飛んでくる糸をワープやポータルでさばきながら弱った個体へ集中攻撃をしてやっと1匹倒し終わった。残りの3匹中2匹はポータルで糸を返したおかげでまとまって拘束されてもがいている。今のうちにまとめて攻撃しておこう。


「マル、動けない2匹に続けて針千本!」


マルに指示を出しながら残りの1匹の動きに注意する。目を向けるとちょうど飛びかかってこようとしていたみたいだった。反応が間に合ってなんとか横に飛んで避ける。危ない危ない。


フシャーーーーーーーー!!


2度目の咆哮をヌシが放った。すると探知の反応に追加で4匹増えた。やばいやばい、7匹は流石に手に負えないよ。


「ゆ、ユウさん、もう無理だよー。」


「いや、もう大丈夫…。」


そうユウさんがつぶやくとすごい勢いで視界の端から影が走り去って拘束されている2匹のネットスパイダーを轢き飛ばしポリゴンになって消えた。


「ンモォー!」


モカさんだ、闘牛モードで全力の体当たりをお見舞いしたようだ。


「おまたせ~。」


と、後ろから緊張感のない声で遅れてルリさんが走ってきた。手には大きなミニガンを持って登場した。


「それで~、今何回目かしら~?」


「ん…。さっき2回目したとこ…。」


えっ?何の話なんだろう。何か数えているようだ。


「じゃ~、ヌシは倒さないようにお願いね~。あと私のスタミナ回復よろしく~。」


呆気にとられているとルリさんから指示が飛んできた。それに従い社員さんにルリさんのスタミナ回復を優先するように伝える。


「それで、私は何をすれば?」


状況がわからず、ルリさんに指示を仰ぐ。


「アカリちゃんは私へ飛んでくる攻撃を防いでくれるかな~。手が空いたら一緒に攻撃してね~。」


そう言うとルリさんは手に持ったミニガンを回転させ、すごい勢いで撃ち始めた。マルの針千本とは比にならないほどの数の弾を浴びせていき、すぐに1匹を蜂の巣にして倒してしまった。そのままもう1匹のネットスパイダーへ砲身を向けて撃ち出し、あっという間に倒してしまった。あれ?私いらないんじゃ。


フシャーーーーーーーー!!


すぐさまヌシは吠えて味方を呼び寄せる。次は6匹も増えた、これどんどん増えていくんじゃと言う予感がよぎった。

しかし、ルリさんは慌てることなく端から弾幕を浴びせて処理していく。たまに飛んでくる糸を私がポータルで返して防ぐ。


フシャーーーーーーーー!!


そしてまた咆哮だ。追加で何匹か増えた、もう数えることが大変になってきた。それでも二人共特に驚くことなく討伐を続けている。


「あはは~、弾撃ち放題だわ~。」


どんどん増える敵に撃ち続けて変なスイッチが入ってしまったのか、少しルリさんがハイになっている気がする。でもルリさんの弾幕のおかげでほぼほぼ敵が消滅して行っている。


フシャーーーーーーーー!!


だが更にまた追加される。周囲には更に大量のネットスパイダーが押し寄せてきている。


「よ~し、これで最大数かな~。倒すの間に合うかしら~?」


どうやらこれで最大らしい。よかった、これを倒してしまえば終わるのかな。

なんとかルリさんとマルの攻撃のおかげで順調に数を減らしていく。


フシャーーーーーーーー!!


えっ?最後じゃなかったの?どーゆうことー?

やっと減った敵も再度咆哮で補充される。


「ん~、討伐間に合ってそうね~。じゃ、30分くらいやりましょうか~。」


「うん…。」


その後も鳴り響く銃声と次々と倒れていくモンスター達。

ねー誰かこの状況を説明してー。と心のなかで叫びながら戦闘を続ける。

私のスタミナはもう尽きてルリさんとマルがずっと攻撃を続けている。


ズドドドドドドドドドドドー


「あははははははは~」


っと完全にルリさんはもう壊れてしまった。ずっと笑い声を上げながら弾を打ち続けている。ダメだ、社員さんのお陰でスタミナほぼ無限のルリさんを止めることは出来ない。


《アカリのレベルが上がりました、ステータスポイントを10獲得しました》

《スキルレベルが上昇しました》


レベルが上がる頃にはヌシはすでに瀕死になっていたが、ユウさんはとどめを刺さずに立ち回っていた。




こうしてかれこれ30分が過ぎたが一向に終わる気配もなく戦闘は続く。すっかり日も沈み始めてしまった。


「あはははは~、ってあれれ~?弾がなくなっちゃった~。」


日が沈んだことで社員さんのスタミナ供給が止まったのか、ルリさんの弾幕が止まってしまった。スイッチが切れたのかルリさんはその場に倒れ込んだ。周囲にはまだ数匹残っている。


「ユウさん、もうみんなスタミナが!」


そう叫ぶと、ユウさんはコクリと頷きやっと瀕死のヌシにとどめを刺した。すぐさま残りのネットスパイダーもユウさんが仕留めてしまった。


「ん、終わった…。」


そうつぶやくユウさんに私は少し怒りながらこう言った。


「どういうことか説明してください!!」

|ω・) みんなパルってる?

誤字脱字等ありましたら報告いただけると助かります。

感想や評価、ブックマークやいいね等していただけると喜びます。

更新は毎週火曜と金曜を予定してます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ