45 ネットスパイダー
ズドドドドドドドドドドド
鳴り響く銃声。
「あははははははは~」
こだまする女性の笑い声。
次々と湧いてはポリゴンになって消え行くモンスター達。
《アカリのレベルが上がりました、ステータスポイントを10獲得しました》
《スキルレベルが上昇しました》
定期的に流れるシステム音。
いつまで続くのか分からないこの状況に唖然としてただ見ているだけの私。一体どうしてこんなカオスな状況に。私のスタミナは尽きもうできることがない、それでもで続けるモンスターにみんなは戦い続けている。一体いつまで続くのだろうか…。
(1時間前)
伐採作業を始めたルリさんと一旦別れて、私はユウさんと周囲を散策していた。ユウさんと二人っきりになるのはひさびさな気がしている。
「ユウさんは銃には興味ないんですか?」
「ん…。あんまり興味ない…、どちらかというと体動かすほうが好きだから…。」
へー、そうなんだ。運動好きなのはちょっと意外かも。ま、確かに戦闘中のユウさんはすごく素早く華麗な剣捌きで運動神経が高いのだろうけど。見た目はとてもそうは見えない華奢な美人さんなんだけど。
「銃はアカリにはおすすめかもしれない…。社員さんもいるし…。」
「それはどういうことです?」
「銃はそれなりにスタミナ消費をするからサポートがほぼ必須…。だからアカリにはおすすめ…。」
なるほど、そうなんだ。あとでルリさんに戦闘してるとこ見せてもらってから考えようかな。でも私に使えるのかな?
おっと、そうしていると探知に反応があった。
「ユウさん、そこの木から敵反応です。」
声をかけるとユウさんはすぐに短刀を抜いて戦闘態勢に入った。私もマルを地面に置いて本を構えて魔法を唱える。
反応のあった木の上では葉っぱが揺れており、そこから下へ何か大きな黒い影が落下した。落下してきたその影は地上から5mくらいのところでピタッと止まった。止まった影からは足が8本伸びて木をがっしり掴んだ。名前から分かってはいたけどやっぱり蜘蛛だ、しかもそこそこでかい。目算だけど私の身長くらいの大きさだろうか。にしてもこのゲームの生き物はある程度デフォルメされてるおかげであまり恐怖感はなく、むしろ少し可愛さすら感じる。もともと苦手じゃないってのもあるんだろうけどなかなかに大きな目が可愛らしさをかもし出している。
ネットスパイダーと睨み合っているとお尻を振ってこっちに白い糸の塊のようなものを飛ばしてきた。飛んできたその白い塊は少したつと蜘蛛の巣状の大きな投擲網のように大きく広がった。ユウさんと社員さんは軽々と横に飛び避けた、私はワープを使いなんとか避けれた。が、マルはどうやら避けれなかったようで網に捕まっている。糸に絡まってマルがもがいている。
「あっ、えっと、どどどどうしよう。」
慌てる私を尻目にユウさんは素早くマルに近づいて、糸を切り裂いて救出する。こういう時に冷静に動けるユウさんってやっぱかっこいいな。
「はい…。持ってた方がいいかも…。」
「ありがとう」
ユウさんのアドバイスに従いマルを手に乗せて戦う。右手に魔導書、左手にはマル、はたから見ると変な格好している気がする。
手のひらのマルを見て目的を思い出した、そういえばマルの能力を確認するんだった。
「マル、あの蜘蛛に向かって針千本!」
指示をするとマルの棘が上を向き光る。その後ネットスパイダーに向かって無数の針が射出された。
「おーすごい、めっちゃ飛んでる。」
語彙力のない感想をもらしてしまった。だが今の攻撃でネットスパイダーは怯んだのか木から逆さに落ちてきた。その隙を見逃さなかったユウさんは落下地点にダッシュし、何かをつぶやきながら光りだした剣で斬りつけてとどめを刺したのかネットスパイダーはポリゴンになって消えていった。あれが多分アーツってのなんだろうか、後で聞いてみよう。
「おつかれ…。はい、ドロップ品…。」
ユウさんの手には白い糸の塊が2つあった。
【ネットスパイダー粘着糸:ネットスパイダーの出す糸。接着剤としてよく使われている。】
【ネットスパイダー硬化糸:ネットスパイダーの出す糸。強度が高く色んな用途に使用される。】
どうやら両方ネットスパイダーの糸らしいけど、種類があるようだ。一旦ユウさんから渡されたアイテムは私が預かる。荷物を多く持つと動きが遅くなるからと言う理由でユウさんはあまり持ちたくないらしい。
戦闘後の余韻に浸っていると更に探知に反応があった。今度は3匹のネットスパイダーの反応だ、しかもジリジリとこちらにその反応は近づいてきている。
「ユウさん、こっちに向かってネットスパイダーが3匹来ます。」
「ん、わかった…。」
反応のあった方に体勢を整えて構える。すると茂みが大きく揺れだして、中から2匹のネットスパイダーが飛び出してきた。そして更に大きく茂みが揺れ、少し大きな足音とともに前の2匹の倍はある大きなネットスパイダーが出てきた。体からは紫色のオーラのようなものがメラメラと出ており、一目で普通とは違うとわかる風格をしていた。
大きなネットスパイダーに向かって目を凝らすとネームが表示された。
《ヌシネットスパイダー》
|ω・) 冒頭までたどり着けなかったぜ、すまん
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