42 なら一緒…
「それで他には何が変わったんですか?」
せっせと武器を作り出したルリさんの後ろの壁際で私とユウさんは話を続けた。
「クラン機能が追加されて…、クランハウスが実装された…。」
「クラン機能って言うのは同じ目的の人達や好きな人達が集まって作るチームみないなもので~、クランを作るとそれぞれのクランごとに街やフィールドに自分たちの家を建てれるんですよ~。」
ユウさんが説明をほとんどしてくれないのを見越してなのか作業しながらルリさんが間髪入れずに補足してくれた。
「なので~、今後大工スキル持ちの需要がたぶん上がるんですよね~。私にとっては稼ぎ時なんですけど~、アカリさんはクランどうされます~?」
「そうですねー、自分たちの家ってのはすごく魅力的なんですよね、モンスター達をみんな出してまったりできる場所が欲しくて。でも特に一緒にゲームやってる人も居ないのでなんとも。」
「なら一緒…。」
「あ、でも一人でもクランは建てれますよ~。」
ユウさんが何か言いかけた気がしたがルリさんが被さるように話が挟まって聞こえなかった。にしても一人か、それはなにか気が引ける。
「んー、一人ってのもなんとも。二人はどうされるんですか?」
「私は自分の作業場があればいいなあ~って考えてるくらいで~。ただ土地代とか一人だと大変そうだなって感じで様子見ですかね~。あっ、でも町中の土地以外だと土地代がかからないらしいわよ~。探す手間があるけどね~。」
「私は別に…、どうでもいい…。」
ユウさんは何故か少し機嫌が悪いのか、どうやら拗ねているみたいだけど大丈夫かな。
「でも結局一人で家建てるにしても素材集めが大変なのよね~。」
「そうなんですね、じゃぁ3人で一旦クランだけ作りませんか?素材集めは私手伝いますし、土地はみんなで探せばいいとこ見つかるかもですよ。」
「私はいいですよ~、モカさんの輸送力があれば素材集めもすぐでしょうし~。願ってもない話です~。ユウはどうします~?」
「うん…、いいよ…。」
ほんのり機嫌が戻った?気がした。気の所為かもだけど。
「じゃ、決まりってことで。それでクランってどうやって設立するんですか?」
「ギルドでできるよ…。一緒に行こうか…?」
「ところでリーダーは誰がやるんですか?」
という疑問に二人はキョトンとした顔でこっち向いた。
「こういうのは言い出しっぺがやるもんよ~。」
「私はやらない…。」
ということでどうやら私がやることになるらしい。二人の圧に負けた形で決定した。
「じゃぁ、私が一応リーダーってことでよろしくお願いします。」
とりあえずまだルリさんは製作に時間がかかるようなので、今のうちにユウさんとギルドに出向くことにした。久々に行くし、前回受けたクエストも報告しておきたいな。
ギルドに入るといつもと違い受付に多くの人が並んでいた。道中のユウさんの説明によると受付で申請するようなのでみんなその行列なんだろう。少しづつ進んでいく間、あまり会話の話題もなく気まずい空気が流れていた。
実際ユウさんと出会ってからまだ間もないわけだし、こういうときに困るよなあ。もともとあんまり喋らないユウさんだからなおさら話題を振りにくい。某夢の国ではアトラクションの待ち時間のすごし方でカップルが分かれるとかなんとか聞いたことあるしここは何か話したほうがいいんだろいうか。
「そういえばユウさんは最近何してたんですか?」
「ん…、特には…。」
まずは当たり障りない会話から行ってみたが、初手で会話が終わってしまった。んー、話しづらい。話しかけづらい雰囲気はいつものことなんだけどどうしよう。
そんなことを考えていると前方からクランの申請をしている人たちの声が聞こえてきた。どうやらクラン名と紹介文などの入力が必要なようだった。えっ、何も考えてないんだけどどうしよう。
「ユ、ユウさん、どうしよう。クラン名とか考えてなかったよ。今からルリさんに相談しに帰りますか?」
「ん…、大丈夫…。アカリが好きにつけていいってルリが言ってた…。」
どうやらすべて私に丸投げのようだ。さてどうしたものかと考えていると前の人がはけていきとうとう私達の番が来てしまった。
|ω・) 仕事はじめだー
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