36 私、ルリ
戻ってみるとルリさんはさっきまで居た場所には居なかった。モカさんと荷車も一緒に移動したようだ。
「あれー、どこ行ったんだろ。」
ルリさんにメッセージを送って居場所を確認しよう。
『どこに移動されましたか? アカリ』
《メッセージ:1件》
『私、ルリ。今あなたの後ろにいるの。 ルリ』
慌てて後ろを振り返るとすっと人影が現れた。
「ばぁ!どうです?驚きました~?」
「もうどこに行ってたんですか?後ろから現れて驚きましたよ。」
いたずらっ子のようにニコニコしながら現れたルリさんに呆れた顔でそう答えた。
「実はここの採掘が終わったので近くの脇道に採掘しに行ってました~。アカリさんが戻っていくのが見えたので後ろから追ってきました~。」
「それなら声かけてくださいよ、全くもう。それよりテイムできましたよ!」
「それはよかったです~。早速採掘の手伝いをお願いします~。」
「やっぱりそのつもりだったんですね。」
「バレちゃいました~?ま、テイムの補助したんで許してくださいよ~。にしても可愛いですね~。」
けっこう計算高いんだよな、この人。ま、せっかくだし手伝いますけど。
「手伝いますから採掘場所まで案内してくださいね。」
は~いというゆるい返事のあとにそのまま歩き出したルリさんの後をついて行く。ルリさんは最初の脇道に入り慣れた足取りで暗い道を歩いていく。その後ろをアタフタしながらなんとか付いていく。足元の石ころにつまづきつつも進むこと少し、先の方に明かりが見えてきた。よく見るとモカさんとその後ろには大量に鉱石を積み込んだ荷車が繋がれていた。ルリさんはちゃんとランタンを持ってきていたらしい、借りればよかった。
「では、ここで採掘をお願いします~。」
指示された壁にはヒビが入っていた。たぶんここが採掘ポイントなのだろうか。そう言った後にルリさんは別のヒビに向かって移動していった。
「じゃあマル、採掘をお願い」
マルにそう命じると最初に見つけたオアヘッジホッグと同じように丸まってヒビに向かって転がりだした。ガリガリと音を立て景気よく回って採掘してくれている。一個、二個と石ころがどんどん出てくる、鉄鉱石だけじゃなく水晶のようなものから宝石のようなものまでさまざまだ。これはルリさんに聞かないとどれが必要なものかわからないなあ。
気づけば小さな石ころ達の山ができていた。マルも採掘をやめてその場に仰向けに座った。私はそっと抱き上げて顔を撫でてあげる。
ふーっ、ひと仕事やりきったぜって顔が妙に可愛いな。
ひとしきり戯れているとルリさんが採掘から帰ってきた。
「採掘終わったみたいですね~。えっと、これとこれとこれは必要で。こっちはいらなくて、これは欲しいな~。」
ものすごい勢いで仕分けしていくルリさんは仕事モードのようで普段の3倍くらいの速度で動いている。必要な物だけモカさんの荷車にどんどん積んでいくけどもうすでにけっこう山積みだけど大丈夫なのだろうか。
「あのー、ルリさん。荷車ってまだのせても大丈夫なんですか?」
「ん~、今で8割位かな~。あっちで私が掘った物も載せたら今日は終わりかな~。」
ま、引っ張るのはモカさんだし心配することはないのだろうけど。とりあえず今日の手伝いは残りの物を積んで帰れば終了のようだ。
ルリさんが採掘していた場所まで少し移動して、残りの鉱石類を載せて帰路についた。
特に帰り道はハプニングもなくのんびりと下山して町までついたのだがこの荷物はどこに保管するのだろうか。そんな疑問を抱えたままルリさんに連れられてあの大きな鍛冶場までやってきた。
|ω・)頑張ろうとしたら風邪ひきました。
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