35 オアヘッジホッグ
少し逸る気持ちを抑えながら慎重に歩みを進める。
テイムできると分かれば話は別だ、むしろあの可愛い生き物をなぜテイムしようと思わなかったのだろうか。
さっきの場所まで戻るも探知に反応はなく丸まっていたオアヘッジホッグはどこかに行ってしまったらしい。ちょっと残念。
さて探しに向かうか。にしても鉱山と言うなだけはあって大きな洞窟のあちらこちらに小さな脇道が伸びている。脇道にはランタンは無いようで薄暗い空間が広がっていた。
にしても不気味な雰囲気だけど、探知の反応がその脇道の先にあるんだよな。どうしよう、行くのは少し勇気がいる。明かりがあればなあ、あっ。
忘れてたわけじゃないんだけど、思い出したように社員さんを召喚した。社員さんは少し不機嫌そうな顔で静かに怒っていた。
ごめんよ、でもこの柔らかな光りは今はとても助かるよ。やっぱり君は縁の下の力持ちだよ。
社員さんから離れないようにしながら奥へ向かう。足元は暗く社員さんの照らす範囲はそんなに広くはないため慎重に一歩一歩進む。進む先からは先程も聞いたゴリゴリと壁を削る音がしてきた。
音に向かって進むと光の範囲に音の主が入った。やはりオアヘッジホッグで間違いないようだった。照らされたことに驚いたのか丸まってしまった。
「怖くないよー、これあげるから仲良くなろー。」
そっと近くに鉄鉱石を置いて少し離れて様子をうかがうが、やはり丸まったまま動く様子もなく少し不安になる。ま、ルリさんが嘘を教えるわけもないだろうし信用して待ってみよう。そっとウサ吉を抱いてもふもふしながら待つことにする。
今日もいいもふもふ具合だよ、ウサ吉。私の精神安定剤として今後もよろしくお願いします。お、レイももふもふされたいのか?よーしよしよし、君もいいさわり心地だよ。可愛い子たちだ、社員さんもこっちこないかい?うん、まだご機嫌は良くないようだ。
そうやって時間を潰しているとオアヘッジホッグの方に動きがあった。丸まった状態からもとに戻っていた。今は鼻でスンスンと鉄鉱石を匂っているようだった。まだ一応警戒が解けてはないようだ、今少しずつ鉄鉱石に近づいていってる。念入りに確認した後にようやく食べ初めた、カリカリと音を立てながら削り食べている。あんなに硬そうなものを夢中になって食べてるけど美味しいのだろうか。
食べ終わると仰向けになって座った。満腹なのだろうか、お腹をポンポンと叩いている。今は舌で前足を舐めて余韻に浸っているようだった。今ならできるかな。
「ちょっとごめんねー、テイム!」
《テイムに成功しました》
よかったー、無事テイムできたみたいだ。と思ったがパーティー上限のためか魔結晶になってしまった。とりあえずウサ吉を魔結晶に戻して入れ替える。
名前も決めたし、召喚!
【マル】(オアヘッジホッグ)Lv6
体力(HP) 30/30
スタミナ(ST) 70/70
筋力(STR) 30
知力(INT) 10
俊敏性(AGI) 50
器用さ(DEX) 100
重量(WT) 5
スキル:<収集(鉱石):Lv3> <防御態勢:Lv3> <針千本:Lv3>
とても器用な子らしい、他は意外と俊敏性が高いくらいか。
収集(鉱石)は名前の通りで鉱石の採掘能力があるようだ、まさかルリさんこれ目当てでテイム勧めたんじゃなかろうか。
防御態勢はあの丸まるのがそれらしく、物理ダメージを無効化とウサ吉の増毛と似た効果だった。
最後の針千本だが、針を生成し飛ばすという攻撃のスキルのようだった。あとで見てみよう。
手に乗せ軽く撫でてみる。やっぱり少し針が怖いが、頭から撫でるようにすれば刺さることはなさそうだった。逆撫でするのはやめよう、うん。背中は冷たくひんやりとした質感だが、手で触れているお腹部分はとても柔らかくふんわりしている。うりうりと指で鼻筋を撫でてあげると気持ちよさそうに目を細めてくれた。
テイムも終わったしルリさんに報告しに行こうっと。
社員さんの光を頼りに来た道を戻った。
|ω・) 今週はがんばります
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